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次期戦闘機「GCAP」、英国だけ「テンペスト」呼びなぜ? 3カ国共同開発のなかで際立った英国戦闘機産業の“執念”

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  • 乗りものニュース
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「GCAP」と「テンペスト」結局どっち?

 日本、イギリス、イタリアが共同開発する次世代戦闘機「GCAP」。ところがイギリスでは、そこで開発する戦闘機を現在も「テンペスト」と呼んでいます。なぜ3か国共同開発なのに、英国だけ別の名前を使うのでしょうか。その背景を追うと、名前だけではない英国独自の取り組みも見えてきました。

Large figure1 gallery4ファーンボローに展示された「コンバット・エア・フライング・デモンストレーター(CAFD)」のコンセプト模型(布留川 司撮影)。

「GCAP」は、日本ではF-2戦闘機の後継となる「次期戦闘機」として開発が進められています。ところがイギリスの航空・防衛産業を取材していると、「GCAP」とは別に「テンペスト(Tempest)」という名前をよく耳にします。

 2026年のファーンボロー国際航空ショーでBAEシステムズの担当者に確認すると、「テンペストはGCAPの戦闘機に対する英国での名称です」と説明していました。つまり、「GCAP」と「テンペスト」という2種類の戦闘機を作っているわけではありません。日英伊が共同開発するGCAPの戦闘機を、イギリスでは「テンペスト」と呼んでいるのです。

 実際、ファーンボローに展示されたGCAPのコンセプト模型を見ると、機首にはイギリス空軍(RAF)の国籍標識であるラウンデルが描かれていました。これが「英国仕様」を意味するわけではありませんが、英国にとってGCAPの戦闘機が将来の「テンペスト」であることを感じさせる展示だといえます。

 そもそもテンペストは、2018年のファーンボロー国際航空ショーでイギリスが発表した将来戦闘機構想の名前です。BAEシステムズ、ロールス・ロイス、レオナルドUK、MBDA UKなどが参加する「チーム・テンペスト」が組織され、開発が始まりました。その後、日本が進めていた次期戦闘機計画と統合され、2022年に3か国がGCAPを発表したという経緯があります。

 ちなみに「Tempest」は英語で「大嵐」「暴風」といった意味です。イギリスには第二次世界大戦中にも、ホーカー「テンペスト」という戦闘機がありました。この機体は、ホーカー「タイフーン」の後継として開発されています。

 そして現在のイギリス空軍の主力戦闘機もユーロファイター「タイフーン」で、その後継世代が再び「テンペスト」。奇しくも約80年を経て、「タイフーンからテンペスト」という名前の並びが繰り返されているのです。

「英国が戦闘機を作れる力」を残す

 イギリスがGCAPという国際共同開発に参加しながら、自国の戦闘機開発能力も維持しようとしていることは、名称以外からも見て取れます。その象徴が、英国が独自に開発している有人飛行技術実証機「コンバット・エア・フライング・デモンストレーター(CAFD)」です。ファーンボローではBAEシステムズのブースでコンセプト模型が公開されましたが、担当者は「これはGCAPではありません」と明言。英国独自の技術実証機だと説明しました。

Large figure2 gallery5CAFDのコンセプト模型の背後には、「チーム・テンペスト」の文字と参加企業のロゴが描かれていました(布留川 司撮影)。

 では、何のための実証機なのでしょうか。BAEシステムズはCAFDについて、「英国を戦闘機の『設計、生産、試験、認証』の最前線に維持するために必要な技術を発展させる取り組み」と説明しています。また英国政府も、CAFDを英国の「技術、技能、産業能力を将来に備えるために重要」な実証機と位置付けています。

 つまりCAFDはGCAPの試作機ではなく、英国国内で実際に新しい航空機を設計し、作り、試験することで、「次の戦闘機を作れる技術と人」を維持・育成するための実証機なのです。その開発にはこれまでに100社以上の英国企業と1000人以上の人員が携わっています。

 もちろん、CAFDで得られた成果はGCAPにも生かされます。ファーンボローでBAEシステムズの担当者は「ここで得られる多くのものをGCAPへ移す予定です」と説明しており、すでに約200人がCAFDからGCAPの開発へ移っているといいます。CAFDでまず英国自身の技術、人材、産業基盤を育て、その成果をGCAPへ持ち込む。英国にとってCAFDとGCAPは、そんな関係にあるといえるでしょう。

 こうして見ると、GCAPという国際共同開発になった現在も、イギリスが「テンペスト」という独自の名前を使い続けていることも興味深く見えてきます。3か国で戦闘機を共同開発しても、英国が「戦闘機を作れる国」であり続けることを重視する姿勢は変わっていません。「テンペスト」という名前は、そんな英国の戦闘航空産業へのこだわりを象徴しているのかもしれません。

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