絶体絶命のピンチを救う! 山道にある「謎の砂利坂」の正体とは? “壁”にぶつけて止めるのは絶対ダメな理由
- 乗りものニュース |

正式名は「緊急退避所」 どういうとき使うの?
険しい山道をドライブしていると、道路の脇に砂利が不自然に盛り上がった短い坂道を見かけることがあります。
赤い矢印で指し示したのが緊急退避所(乗りものニュース編集部撮影)
一見すると行き止まりのようにも見えますが、実はこれは「緊急退避所」と呼ばれる、万が一の時に人命を救うための非常に大切な場所です。
緊急退避所は主に、長い下り勾配が続く区間や、急カーブ(S字カーブなど)でブレーキ操作が多くなりやすい区間において、ブレーキが効かなくなった車両を緊急的に退避させる目的で設置されます。
山道でのブレーキ故障には、大きく分けて二つの原因があります。一つは、ブレーキを使いすぎて過熱し、止める力が弱まってしまう「フェード現象」。もう一つは、ブレーキの液体(フルード)が熱で沸騰して気泡が発生し、ブレーキを踏んでも油圧が伝わりにくくなる「ベーパーロック現象」です。
もし、こうしたトラブルが起きても、この退避所に突っ込めば車を強制的に止めることができます。路面には砂利(砕石)や砂が厚く敷き詰められており、そこに車が突入するとタイヤが深く沈み込みます。
これによって大きな走行抵抗(前へ進みにくくなる力)が生まれ、ブレーキに頼らずに減速・停止させることができるのです。
なぜ「壁」ではいけないのか?
多くの緊急退避所は「スキージャンプ台」のような上り坂の形をしています。砂利による抵抗に加えて、上り坂の勾配(重力)も利用することで、さらに効率よく速度を落とす設計になっています。
箱根新道の緊急退避所。一般住宅のすぐそばに設置されていることも(乗りものニュース編集部撮影)
その一方で、砂ではなく障害物、それこそ「木の壁」のようなものを設けて坂や崖から落ちないようにするのはダメなのでしょうか。その方が短距離で止められそうですし、また狭い場所にも設けることができるため、使う土地も少なくて済みます。
もし壁に衝突させて急停止させる方式だと、停止するまでの距離が非常に短くなります。しかし、短距離で急制動をかけるとなると、車体や乗っている人に一気に巨大な衝撃が加わるため、車が止まれたとしても命に関わるような大事故になってしまう恐れがあります。
それに対して緊急退避所(グラベルベッド型など)は、砂利の中を数十メートル以上の一定の距離を使って進みながら、徐々に速度を落とす設計思想に基づいています。こうすることで、衝撃をうまく分散させて、乗っている人へのダメージを最小限に抑えようとしているのです。
突入後は砂や砂利にタイヤが深く沈み込むため、自力で脱出することは困難になります。そのため、レッカー車などの救援が必要になるでしょう。なお、一度使用された後は再び誰かの命を救えるように、管理者による砂利のならし作業などのメンテナンスが行われます。
普段は何気なく通り過ぎており、ほとんど気付かないかもしれませんが、そこには万が一の時に「安全に止める」ためのノウハウが隠されているのです。
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