日本語ロックの伝説「はっぴいえんど」が提唱 東京の原風景「風街」とは何だったのか?
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活動期間わずか3年
昭和文化の再評価が著しい昨今、音楽の分野ではシティポップが海外の熱心なファンや若い世代に人気です。
その昔はフォークやロック、その後ニューミュージックと呼ばれたジャンルの音楽で、かつては「シティポップス」という言葉はありましたが、「シティポップ」という呼ばれかたはわりと最近になってからです。
そんななか、日本語ロックの創成期のバンドとして神格化されて久しい「はっぴいえんど」が、今また殊更にクローズアップされているのは、シティポップのルーツとしての存在だからです。
わずか3年の活動期間ながら、
・日本語の歌詞
・洋楽テイストの洗練されたメロディー
が融合した音楽を都会的な表現で創り上げたレジェンド。
東京が舞台とされた作品が多いのは、4人のメンバーうち、岩手県出身の大瀧詠一以外の3人が東京出身であることが大きいのでしょう。しかしながら大瀧のウェットな歌声は、クール過ぎない世界観を絶妙に形成する役割を果たし、はっぴいえんどの音楽に普遍性をもたらしました。
細野晴臣と松本隆は港区、鈴木茂は世田谷区の生まれ。後に職業作詞家へと転じて言葉の遣い手となる松本は、主に麻布、六本木や渋谷かいわいの古きよき東京を「風街」と表現しました。
名曲「風をあつめて」から考える
ただし歌詞に出てくるのは決してリアルな街の描写ではなく、松本の記憶をもとに再構築された、あくまでも架空の街。そこには1964(昭和39)年の東京オリンピックを契機に、東京の街からさまざまな風景が失われてしまったことが影響しています。
実際に松本は南青山で生まれ育った後に、オリンピックのための立ち退きで麻布霞町に転居したといいます。そんな喪失感を埋めるために詞がしたためられたのかもしれません。

東京オリンピック開催から7年後、1971(昭和46)年11月にリリースされた彼らの2枚目のアルバム『風街ろまん』は、松本の詩世界と大瀧、細野、鈴木のメロディーが絡み合って生まれた名盤です。
最高傑作と名高い「風をあつめて」も収録。歌詞に登場する路地ならぬ「路次」は港区の芝大門から浜松町の周辺を指したものと松本自身が語っています。そういった話を聞くと、曲から思い描く風景のイメージが一気に可視化されるのです。
3番の歌詞に出てくる「珈琲屋」については具体的な場所は書かれていませんが、松本の行きつけの喫茶店として知られる渋谷桜丘町の「マックスロード」を書いたという説があります。
同店は後にドラマ『東京ラブストーリー』で、カンチとリカが待ち合わせた店としても有名でしたが、その後、珈琲チェーン店になり、現在では一帯の再開発で跡形もなくなってしまったのは残念でした。
歌詞から見える東京の原風景
続く「摩天楼」の歌詞には、1970年代初頭の新宿のイメージが重なります。京王プラザホテルを皮切りに、新宿住友ビル、新宿三井ビルディング(ともに新宿区西新宿)と高層ビル群がまだ少なかった頃です。
「風をあつめて」に続く「暗闇坂むささび変化」は、タイトルにも掲げられている麻布の暗闇坂にまつわる伝説を題材としたノスタルジー。「はいからはくち」のフレーズは、高輪の清正公前の都電かバスの停留所でステップを飛び降りたときにひらめいたのだといいます。

アルバムの見開きジャケットに描かれた都電のイラストは漫画家の宮谷一彦によるものですが、もともとは北区の王子公園の横の坂が書かれたものでした。それを松本があえて自分がなじみ深い東京タワー(港区芝公園)近くの坂に見立て、路線番号だけが書き換えられています。現実には訪れることがかなわない街。極めてノンフィクションに近いフィクションということでしょう。
音楽の魅力は世代や境遇を超えます。半世紀以上前の東京で生まれ育った人間の、幼い頃の記憶に焼き付けられた原風景。それが現代の若い聴き手たちに共鳴を抱かせることが興味深いです。
はっぴいえんどの音楽の行方とは
つい先日、11月5日と6日には、松本隆の作詞活動50周年記念コンサート『風街オデッセイ2021』が日本武道館(千代田区北の丸公園)で開催され、2013年に急逝した大瀧以外のメンバー3人が久しぶりに公の場で顔をそろえた。6年前に東京国際フォーラム(同区丸の内)で開かれた『風街レジェンド2015』以来となります。
日替わりで多くのアーティストが出演したなかで、はっぴいえんどは2日間通しての出演。演奏をした3曲は2日間とも同じで、松本が久々にドラムを叩く姿を見せながら、「花いちもんめ」「12月の雨の日」「風をあつめて」の3曲を披露しました。

「12月の雨の日」は大瀧の代わりに鈴木慶一がボーカルを務め、「風をあつめて」では珍しく鈴木がベースを担当して会場を沸かせました。
もちろん年配の観客も多かったですが、意外なほどに若い世代の男女が客席のあちらこちらに見られたのも事実。彼らは東京の失われた風景を、意識するしないにかかわらず、音楽で追体験しているのだと思わされました。
松本隆が作詞したはっぴいえんどの音楽は、時空を超えてこれからも支持され続けてゆくのでしょう。2度目の東京オリンピックを終え、東京の風景が大きく変貌している今だからこそ、余計に感慨深いものがあります。
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