「東京がなんぼのもんじゃい!」 大阪人がいまだ諦めない「東京打倒計画」と地元復興
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大阪が思い描いてきた夢の軌跡
僕(神田桂一。フリーライター、文筆家)は1978(昭和53)年生まれの41歳。僕が生まれ育った大阪は、僕が幼少の頃、一種独特な空気が流れていました。それは、東京という都市に対する異様な対抗心でした。
あのような空気は、今の大阪にはもうありません。それは、東京一極集中が進んだのと同時に、大阪が衰退し、とてもじゃないけど対抗できるほどの規模が大阪にはないことを、大阪人も知ってしまったから。

しかしあの頃、まだ大阪は夢を見ることができるくらいには活況でした。これから、その夢の軌跡を追っていこうと思います。結末は、まだ僕らが知ることのない未来です。
大阪こそが世界と思っていた頃
僕が「関西中華思想」という言葉を知ったのは、いつだったでしょう。たぶん、中島らもか町田康の本だかだったと思います。これは、文字通り、関西(大阪)を世界の中心と考える思想のことで、往時の大阪人なら誰でも備えていた思想のことです。
「東京がなんぼのもんじゃ!」という言葉の根底には、この思想がありました。ご多分に漏れず、僕も、関西中華思想にどっぷり漬かっていました。
では、東京が(実質的に)日本の中心にも関わらず、なぜこのような思想が育ったのか? それにはテレビという装置が果たした役割が大きいと僕は考えます。
関西は「はみご」にされていた
大阪では当時、東京で流れていた全国ネットの番組や、東京ローカルの番組を極力流さず、関西ローカル番組を独自で作り、それを流していたのです。
テレビには、価値観や情報や思想やその他もろもろを均一化させる効力があり、日本列島を想像の共同体にさせる力があります。しかし、それが関西だけは、はみご(大阪弁で「仲間外れ」)になっていました。いわば“鎖国”されていたのです。
そこで純粋培養された大阪人は、見事に関西中華思想を持つ大阪人に育っていきます。
2000年代でもなお上京は裏切り
関西ローカルの深夜番組にこんなものがありました。大阪から東京の大学を受験した主人公を1年間密着してドキュメンタリーに仕立てた番組です。スポンサーは予備校だったような気がします。
受験生は最初、東京に行くことをめちゃくちゃ嫌がります。しかし東京に出て1年後に会ってみると、東京での生活に七転八倒しながらもなんとかなじんでいる主人公に出会うことになる……というもの。こんな番組が成立するほど、「東京に行く」ということが、とても重大で、決意のいることだったのです。

翻って、僕の場合はどうでしょうか。
僕は、大学卒業までを関西で暮らし、就職で東京に出てきました。当時2003(平成15)年。しかし、2000年代に入ってもまだ地元では「裏切り者」と言われました。そして、僕自身も東京に行くつもりはまったくなく、会社の配属によって仕方なしに行ったのです。もちろん、関西中華思想から抜け出せていませんでした。
そして、僕の幻想は崩れ去った
東京に来てJR新宿駅に降り立つと、僕は思いました。「勝てるわけねえ……」。その巨大さ、人の多さにはっきりいってちょっと浮き足立っていました。
そして僕の大阪幻想はあっけなく崩れ去ったのでした。今では、大阪の高校の修学旅行は東京にしたほうがいいのではと半ば本気で思っています。

ときを同じくして、大阪幻想から抜け出した者たちが続出していきます。その筆頭はまず、大阪名物、よしもと芸人でした。
ショートカットし出す芸人たち
「NSC」という、吉本興業(大阪市、新宿区新宿)が運営する芸人養成所が東京にも開設されると、大阪の芸人志望たちは、大阪のNSCに入らずに、“ショートカット”して東京のNSCに入るようになります。
なぜショートカットかといえば、大阪で売れて、東京進出、またゼロから始めて東京で売れるという、いわば大阪芸人は2回売れなければならなかった今までのよしもと芸人がたどってきたプロセスをすっ飛ばすからです。それが、ココリコであり、ロンドンブーツでした。こうして、大阪の芸人市場は空洞化していきます。
また折からの不況により、関西に本社を持つ企業が次々に東京に本社を移し、事業をスリム化させました。大阪は、文化だけでなく、経済でも地盤沈下していくことになったのです。
経済は確かに瀕死(ひんし)状態です。では、果たして大阪の文化は、死んだのでしょうか?
果てなき夢を見続ける街・大阪
僕はそうではないと思っています。大阪の文化はアメーバ状になって、東京に根付いたのです。全国区のテレビ番組から流れる大阪弁がそれを雄弁に物語っています。
しかし、それだけではまだ大阪人は満足していません。そのコンプレックスをうまく刺激しているのが、「大阪都構想」などを掲げる政党(日本維新の会)なのだと僕は思っています。大阪人は、東京に勝つことをまだ諦めていなかったのです。

大阪は今後どうなっていくのでしょう。
大阪のアイデンティティーは、東京の内部に入り込んで、内から侵食していきました。もう、大阪的なるものは東京にとってなくてはならないものになっているはずです。今度は、地元大阪が活況を呈するように大阪人は持っていくに違いありません。大阪人は再び、夢を見ているのです。
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