「安全ピン」を刺して痴漢撃退! 正当防衛にあたる? 罪問われる?
- オトナンサー |

痴漢の被害は、コロナ禍でも起きているようですが、被害者が痴漢の加害者を撃退するために「安全ピン」を使うということが、以前話題になりました。しかし、自らの身を守るためとはいえ、安全ピンは、使い方によっては痴漢の加害者にけがをさせてしまう可能性があります。この痴漢撃退法は正当防衛として認められるのでしょうか、あるいは過剰防衛になるのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。
必要最小限の防衛行為かどうか
Q.法的に、どこまでが正当防衛で、どこからが過剰防衛かという線引きはあるのですか。相手に苦痛を与えたり、けがをさせたりしたら正当防衛になるのでしょうか。
牧野さん「傷害罪とは『人の生理機能に障害を与えること』ですので、他人に危害を加えて傷ができれば成立します。ただし、相手から与えられそうな被害から身を守るため、やむを得ずしたものと評価されれば正当防衛となり、違法でなくなる可能性があります。
正当防衛が成立するためには、防衛行為の『相当性』や『必要性』がポイントになります。他の方法で被害を防げなかったのか、被害を回避するための必要最小限度の防衛行為だったかが判断基準です。明確な線引きがあるわけではありません。
正当防衛は刑法36条1項で定められており、『急迫不正の侵害に対して、自己または他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない』とあります。いわゆる『過剰防衛』は、同条2項で『防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、または免除することができる』と示されています」
Q.電車内で痴漢被害に遭ったとき、安全ピンで加害者の手を刺す行為は、正当防衛でしょうか、過剰防衛でしょうか。
牧野さん「先述したように、正当防衛か過剰防衛か具体的に判断することは難しいです。ただ、一般的に罪状が決まるときは、まずは罪に問われた上で、その後、情状などに配慮して減刑、免除されることになります。
ただ、痴漢の加害者であったとしても、安全ピンで刺すことでけがをさせてしまえば、傷害罪が成立する可能性がありますので、正当防衛が認められて罪を問われないのはハードルが高いといえます。
特に、『この人痴漢です!』と大声をあげるなど、他の方法で痴漢を制止できたと認定されれば、安全ピンで刺す必要性がないとして正当防衛が認められず、傷害罪にあたる可能性があるでしょう」
Q.痴漢の加害者から、安全ピンで刺したことに対して「やりすぎだ」と訴えられた場合、刺した側は民事上の責任も問われますか。
牧野さん「故意や過失による権利侵害で損害を与えたとして、不法行為による損害賠償請求が認められる可能性があります。これは安全ピンだけではなく、コンパスやカッターを使った場合でも同様です」
Q.痴漢は冤罪(えんざい)も起きやすい犯罪と言われています。もし、痴漢と間違えて安全ピンで無実の人を刺してけがをさせてしまった場合、刺した側は罪に問われますか。また、刺された側は、損害賠償の請求など何らかの法的措置を取ることができますか。
牧野さん「正当防衛とは、『急迫不正の侵害に対して自己または他人の権利を防衛するため、やむを得ずした行為』であるため、『急迫不正の侵害』がないにもかかわらず行った防衛行為には、正当防衛は成立しません。そのため、傷害罪が成立するとともに、損害賠償を請求される可能性もあるでしょう」
Q.安全ピンは使わないとして、痴漢被害に遭ったとき、加害者に法的責任を取らせる方法には、どのようなものがありますか。
牧野さん「刑事責任としては、服の上から体を触ったり太ももを直接触ったりした場合は、各都道府県の迷惑行為防止条例違反となります。東京都の場合、常習性があると判断されれば、1年以下の懲役、または100万円以下の罰金となり得ます。一方、女性の陰部を直接触る、自己の陰部を押し付けるなどの悪質な行為になれば、強制わいせつ罪(刑法176条)が適用され、6月以上10年以下の懲役となる可能性があります。
民事では、痴漢行為を証明できれば、被害者は加害者に対して慰謝料の請求が可能と思われます。慰謝料を求めて民事訴訟を起こすこともできますが、実際には、『痴漢をされたことを公開の場で話したくない』という被害者の思いから、民事訴訟にまでは至らず、示談で終わることが多いようです。
また、痴漢被害を直接防ぐには、例えば、警視庁の無料防犯アプリ『Digi Police』が使えます。ダウンロードすれば、スマホで防犯ベルや『痴漢です』というメッセージを鳴らすことができ、被害に遭ったとき、周囲に知らせることができます」
オトナンサー編集部
実は損している?
ニュースを読んでポイントが貯まるサービスがあるのを知っていますか?ポイントサイトのECナビでは好きなニュースを読んでポイントを貯めることができるのです。(※ECナビはPeXの姉妹サイトです。)今日読んだニュースが実はお小遣いになるとしたら、ちょっと嬉しいですよね。
ポイントの貯め方はニュースを読む以外にも、アンケート回答や日々のネットショッピングなど多数あるので、好きな貯め方でOK!無料で登録できてすぐに利用できます。貯まったポイントはPeXを通じて現金やAmazonギフトカードなどに交換できます。
運営実績も15年以上!700万人以上の方がポイントを貯めています。毎日好きなニュースを読んでお小遣いを貯めてみませんか?
簡単無料登録はこちらYOUの気持ち聞かせてよ!
いいね | ![]() |
|
---|---|---|
ムカムカ | ![]() |
|
悲しい | ![]() |
|
ふ〜ん | ![]() |
