もはや「異端のハイブリッド」 日産はなぜe-POWER一本打法に? 進化版は“最大の弱点”を覆したか
- 乗りものニュース |

実は少数派なハイブリッド方式
日産の誇る独自のハイブリッドシステムが「e-POWER」です。e-POWERはスムーズな走りに関して評価が高いものの、実際の燃費性能はそれほど高くない、というイメージを持たれることがこれまで少なくありませんでした。
第3世代e-POWERを搭載した日産「キックス」(乗りものニュース編集部撮影)
一方、日産は2026年より最新の第3世代e-POWERを搭載した、新型の「キックス」や「エルグランド」などを相次いで発売しています。この第3世代e-POWERは、従来までの定評は覆すことができたのでしょうか。ここではe-POWER誕生までの経緯や、システムの特色を解説しつつ、日産製ハイブリッド車の現在地について分析していきます。
もともと日産は、1990年代後半からハイブリッド技術の開発に挑戦しており、2000(平成12)年には100台限定で、5ドアワゴンの「ティーノ」のハイブリッド版を一般に向けてリリースしていました。
ところが2000年代に入り、当時のカルロス・ゴーンCEOをトップとする体制へ本格移行すると、ハイブリッド車よりもEVに傾注することに。そのため日産は、トヨタ「プリウス」の大ヒットを軸とする、2000年代後半からのハイブリッド人気の急上昇という市場の大波を、横目で見送ることになります。
その後、2010年代には「フーガ」「スカイライン」「エクストレイル」といった車種にハイブリッド仕様を設定したものの、本格的な自社製ハイブリッドモデルの市場投入は、2016(平成28)年の「ノートe-POWER」発売まで待たれることに。これがe-POWERの歴史の始まりとなりました。
そんなe-POWERの最大の特徴は、「シリーズ式」と呼ばれるハイブリッドシステムを採用していることです。このシステムは、エンジンは発電に、モーターは駆動にと、それぞれの役割分担を完全に分けているのが特徴です。
一方、トヨタがプリウスなどに採用しているのは、エンジン駆動とモーター駆動を、状況にあわせてシームレスに組み合わせる「シリーズ・パラレル式」のハイブリッドシステムです。また、ホンダの最新ハイブリッドシステムである「e:HEV」は、走行の大部分をモーター駆動でまかないつつも、一部の高速走行などをエンジン駆動で担うもの。これもシリーズ・パラレル式となります。
さらにいえば、三菱「アウトランダーPHEV」のプラグイン・ハイブリッドシステムもホンダと同じ方式です。そういう意味で、e-POWERのように駆動をモーターへと完全に任せているシリーズ式のシステムは、昨今少数派であるといえます。
他社が選ばなかったシステムに挑戦!
では、なぜ日産以外のほとんどのメーカーがシリーズ・パラレル式を採用しているかといえば、それは「より効率がよいシステムだから」です。
2016年にマイナーチェンジした先代「ノート」。e-POWERを初めて搭載したモデルとなった(画像:日産)
シリーズ・パラレル式は構造が複雑であるものの、高速走行ではエンジン駆動の利を活かして、燃費性能を稼ぐことができます。トヨタのみならず、ホンダや三菱のシステムが、高速走行時にエンジン駆動へ切り替えているのはそのためです。
日産も実のところ、前述のフーガやスカイライン、エクストレイルのハイブリッド仕様では、シリーズ式ではなく、エンジン駆動を主体とする「パラレル式」のシステムを採用していました。もちろん、日産はいろいろなハイブリッド方式を研究していたのですが、それでも先行して採用されたのはシリーズ式以外だったということになります。
つまり論理的に考えると、低速から高速まで全領域をモーター駆動でカバーするシリーズ式について、多くの国産メーカーが「効率の悪いシステム」だと捉えていたことが推測できます。だからこそ、日産がシリーズ式のe-POWERを開発・市販化したことは、当時は業界で驚きをもって受け止められたのです。
事実、実燃費では不利だった
とはいえ、最初の「ノートe-POWER」を振り返ると、やはりほかのメーカーが考えていた通り、燃費性能で特段大きなアドバンテージを持ったクルマにはなっていませんでした。
一部グレードではまずまずのスペックを出していましたが、主力グレードの燃費性能は、当時のJC08モード測定値で34km/L。ライバルであったトヨタ「アクア」の37km/Lに及びませんでした。
また当時の新車試乗では、ノートe-POWERは高速主体で走ると、実燃費がより辛い数値であったことを覚えています。少なくとも筆者(鈴木ケンイチ:モータージャーナリスト)の経験で言えば、「e-POWERは燃費がいまひとつ」というのは単なるイメージではなく、事実だったのです。
もちろん、日産は実燃費の改善に手を抜いてきたわけではありません。2020年に先代ノート、先代キックスとともに登場した第2世代e-POWERでは、モーターとインバーターの一体化などにより、出力と効率のアップを実現しています。その上で、VC(可変圧縮)ターボエンジンなどの複数のパワーユニットと組み合わせてバリエーションを増やし、e-POWERの搭載を拡大していきました。
そして、ことし投入された第3世代e-POWERでは、「5-in-1」の電動ユニットで一体化をさらに推し進め、エンジンもe-POWER専用の発電特化型ユニットへ刷新されました。まさに重箱の隅をつつくような小さく細かな改良を積み重ねてきたのです。
こうした努力により、第3世代e-POWERを搭載する新型キックスは、第2世代システムを積む先代の最高21.6km/L(WLTCモード)から、25.7km/L(同)まで燃費性能が向上。なんと20%近い性能アップで、これによりライバルであるホンダ「ヴェゼル e:HEV」の25.3~26.0km/L(同)とは、ほぼ互角の勝負ができるようになりました。
ただし、量産ハイブリッド車の元祖であるトヨタのシリーズ・パラレル式システムも進化しています。ひとクラス車格が上となる「カローラクロス」の1.8Lハイブリッド仕様は、なんとWLTCモードで26.4km/Lを達成しています。やはり効率だけを見ると、シリーズ・パラレル方式の有利さを覆すのは容易ではないようです。
e-POWERが持つ「真価」
それでも、日産がシリーズ式のe-POWERを採用し続ける理由は何なのでしょうか。
発電に特化した1.5L直列3気筒エンジンと第3世代e-POWERを組み合わせた新型「エルグランド」
一番の理由は、EVの技術や部品がそのまま使えるところにあるはずです。最初期のe-POWERには、日産のEVである「リーフ」のモーターがそのまま使われていました。技術的に意味があるだけでなく、コスト的にも大変有利です。
さらに、モーター駆動というトピックを前面に出すことで、他社の競合モデルとの差別化も図れます。ほぼすべてのライバルは、どこかでエンジン駆動を使うハイブリッドなので、「e-POWERは全部モーター駆動です」と胸を張ることができるのです。実際、日産が長年続けてきた電動走行技術のアピールにより、e-POWERをハイブリッドではなく、EVと勘違いしているユーザーも存在するようです。
つまりe-POWERは単に燃費性能だけではなく、完全な電動走行を可能としている“新しさ”を武器にしていると言っていいでしょう。実際に走らせてみれば、その差はすぐに判ります。もとよりe-POWER搭載車は、エンジンの存在感が小さいことが特色であり、それは世代が進むほどに加速化しています。
またEV開発で培った技術も手伝ってか、モーター駆動による走りも洗練を深めています。そのフィーリングは力強く、スムーズで、一種の爽快ささえ感じるほどです。
そうした違いは市場も認めたのでしょう。e-POWER搭載車は初弾となった先代ノートから、しっかりと売れました。ノートは2017(平成29)年の年間販売ランキングで2位、コンパクトカーで1位を獲得。翌年には総合1位を獲得しています。ノートはe-POWERの採用により、それ以前よりも明確に売れるようになったのです。
さらに近年は、e-POWERの実燃費に関する話を耳にする機会も減ったように思えます。シリーズ・パラレル式との差が縮まったことに加え、フィーリングの違いという、e-POWERの本来の価値が認められつつあるのでしょう。ほかのメーカーが選ばなかったシリーズ式にあえて賭けた日産の選択は、そういう意味で正解だったと言えるのではないでしょうか。
実は損している?
ニュースを読んでポイントが貯まるサービスがあるのを知っていますか?ポイントサイトのECナビでは好きなニュースを読んでポイントを貯めることができるのです。(※ECナビはPeXの姉妹サイトです。)今日読んだニュースが実はお小遣いになるとしたら、ちょっと嬉しいですよね。
ポイントの貯め方はニュースを読む以外にも、アンケート回答や日々のネットショッピングなど多数あるので、好きな貯め方でOK!無料で登録できてすぐに利用できます。貯まったポイントはPeXを通じて現金やAmazonギフトカードなどに交換できます。
運営実績も15年以上!700万人以上の方がポイントを貯めています。毎日好きなニュースを読んでお小遣いを貯めてみませんか?
簡単無料登録はこちらYOUの気持ち聞かせてよ!
| いいね | ![]() |
|
|---|---|---|
| ムカムカ | ![]() |
|
| 悲しい | ![]() |
|
| ふ〜ん | ![]() |







