子どもの「NO」は親の存在を否定しているわけではない。親子の“境界線”を見つめ直すために知っておきたいこと
- マイナビウーマン |

「うちの子、またひとりで遊んでる……」「友達とうまくやれてないのかな?」——そんなふうについ先回りして心配してしまうこと、ありませんか?
\子育てに不安や悩みを抱えるすべてのパパ・ママに/
ハーバード大学医学部准教授で小児精神科医としてマサチューセッツ総合病院小児うつ病センター長を務める3児の母・内田舞さんが、日々さまざまな思いを抱えて子育てに向き合う親たちへ、【専門性】×【育児の実体験】でアドバイスとエールを送ります。
今回は、子どもを大切に思うからこそ、あいまいになりがちな「親子のバウンダリー」について、書籍『小児精神科医で3児の母が伝える 子育てで悩んだ時に親が大切にしたいこと』(日経BP)から一部抜粋してお届けします。
子どもの望みは親とは違うかもしれない
※画像はイメージです
私の人生が私のものであるように、子どもの人生は子どものものです。しかし、自分と子どものバウンダリーがあいまいになると、子どもの問題と自分の問題があいまいになることがあります。また、親の目から見た「子どもが抱える問題」と、子ども自身が「自分で認識している問題」は、異なる可能性があります。そして、その二つが同じだったとしても、親が思う解決方法と、子どもが自分で考えている解決方法が、同じだとは限りません。
以前、「子どもが、学校や学童でいつも1人で過ごしていることが多く、心配している」というお母さんから相談が寄せられたことがあります。
子どもがひとりぼっち、友達がいないというのは、親としても心配だと思います。でも、もしかしたらこのお子さんは、こうした状況に困っていないのかもしれません。友達と一緒にいることよりも、1人で本を読んだり考えごとをしたりして過ごすことの方が楽しいという可能性もあります。
まずは本人の希望や興味に目を向けてみる。そして、本当に友達がいないことを気にしているのであれば、どうしたらいいか、本人と相談してみるといいかもしれません。
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もしかしたら、お母さん自身が1人で過ごすのが苦手なタイプだったために、子どもが持っている「1人で過ごす方が楽しい」という感覚が理解できないだけだったり、「自分が子どものころは、人付き合いが苦手で、友達の輪に入りたかったのに入れず、寂しい思いをした」といった経験があったために、子どもの今の状況を見て心配になっていたりするのかもしれません。その場合は、「子どもの問題と自分の問題は別のもの」と考えてみてほしいと思います。
ただ、これはなかなか難しいことで、私もかなり意識していないと、つい「自分がこうだったから、子どももそうなのではないか」と考えてしまうことが多いです。しかし、子どもには子どもなりの好きなこと、嫌いなこと、楽しいこと、楽しくないことがありますし、子どもも別の人格、バウンダリーを持つ人間です。それを常に意識しておく必要があるでしょう。
子どもからの「NO」に慣れる
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バウンダリーを尊重すると、子どもからの「NO」に慣れる必要も生まれます。
そもそもバウンダリーは、自分と自分以外の人を隔てる境界線であり、相手に対して「私の世界に、ここまでは入ってきてもいいけれど、これ以上は入ってきてほしくない」という境目です。子どもから「これ以上は入ってこないで」と拒否されたり、子どもが「お母さんはこのやり方がいいと思っているかもしれないけれど、私はそうは思わないから、違うやり方をしたい」と、親とは違った選択をしたりすることも出てきます。
これは、「子どもにとって一番良いことを選んであげられるのは自分だ」と信じて、子どものためを思ってあらゆる決断を請け負ってきた親にとっては、かなり大きなショックですし、難しい意識の転換が必要になります。
その場合、まずは、子どものNOという意見を、“いったん受け入れる”ところから始めると良いと思います。
子どもからのNOを受け入れるというのは、何でもかんでも子どもの言う通りにするべきだと言っているわけではありません。例えば、子どもが、通い始めたばかりの英会話教室に、もう行きたくないと言い出した場合。「まだ通い始めて3カ月しか経っていないのに、やめるなんてダメ」と、最初から子どものNOをはねつけるのではなく、「そうなんだ。もう行きたくないんだね。なぜ行きたくないの?」と、いったんNOを受け止めて、子どもの気持ちをしっかりと聞いてみるのです。その上で、今度はお母さんの方から、「なぜお母さんはあなたに英会話教室を続けてほしいと思っているのか」を説明します。
こうして、子どもがNOと言う練習をするのと合わせて、親の方もNOを受け止める練習をする。そして、子どもの側も、親のNOを受け止める練習をするのです。そのプロセスが大切で、双方が相手のバウンダリーをいきなり越えるのではなく、相手のバウンダリーを尊重しながら、折り合いをつけていくわけです。
こうした、「お互いがバウンダリーを尊重しながらNOを伝え、自分に対するオーナーシップを育む」というやり方は、子どもたちの幼稚園での学びに教えられました。「一緒に遊ぼう」と誘われて、うれしい時もあるし、遊びたくない時もあります。ですから、一緒に遊んでも、断ってもかまわない。誘った方は、断られたとしても、そう答えた相手の回答を尊重し、受け入れることを学びます。「おもちゃを貸して」と言われたら、「いいよ」と答え貸してあげても、もちろんずっと独り占めはいけませんが、「まだ使っているからイヤ」と答えてもいいのです。
なぜ、このように教えているのか先生に聞いてみたところ、友達とおもちゃなどをシェアするためには、「自分が今使っているものを、気が済むまで使ってもいい」「誰かに貸しても、自分が必要な時には返してもらえる」と思える安心感が必要なのだと言われました。もしも「自分が使っているものを、誰かに取られるかもしれない」という不安が強いと、友達とシェアすることは難しくなるというのです。
ここで教えられていた、子どもたちの間の「同意」は、「さっき『貸してあげる』と言ってしまったから、あとで『やっぱりもう少し自分で使いたい』と思っても返してもらえない」といったたぐいのものではありません。気が変わったら答えを変えてもよく、その思いを伝えてもいい。それですべてが自分の希望通りになるわけではなく、ダメと言われることもある。しかし、そのコミュニケーションは単純に「自分の身体や自分の意思は自分のもの」という、自分を尊重する力、つまりオーナーシップを与えてくれるものだと感じます。
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誰かを誘った時にNOと言われても、自分が否定されたわけではないのです。おもちゃを「貸して」とお願いした時に「ダメ」と言われたら、ほかの子から借りたり、その場では借りられなくても、待っていれば自分の番が来て借りることができたりする。こうして、NOを受け入れる経験、NOと言われても「傷つくけれど大丈夫だ」と思える経験ができるのは、素晴らしいことだと思いました。
これは親子の間でも重要なのではないでしょうか。
子どもが親の言うことに対してNOと言うことがあっても、それは親の存在が否定されたということではありません。
私も、仕事に追われて急いでいたり、疲れていたりすると、子どもが部屋を散らかしているなど、望ましくない行動に対して、叱ることで行動を変えさせようとしてしまうことがあります。何度言っても部屋を片付けなかったりすると、つい「私が言っていることを聞かない=子どもから私への敬意がない」と考えて余計にイライラして、「親の言うことに従わせなくては」とさらに叱ってしまったりもします。
私からの「片付けなさい」という働きかけに対し、子どもたちから「片付けない」というNOの態度が返ってきた時に、それを自分への否定と捉えてしまっているわけです。しかし、子どもは単に、楽しく遊んでいて、もっと遊び続けたいだけで、私への敬意がないわけではありません。それに気付くことができれば、「子どもに言うことを聞かせる」ことではなく、「部屋を片付けさせること」がゴールであると、気持ちの方向転換ができます。「はい、片付け競争だよ! こっち半分はママ、そっちは子どもチームで、どっちが早く片付けられるか競争です。用意、ドン!」と片付けゲームにすることで、子どもたちが片付け始めることもありました。
この体験から私は「敬意」とは何かということも考えさせられました。儒教の影響からか、日本文化の中では親の言うことを聞かないことは親に「敬意」がないことで良くないことだと教えられがちです。でも、言われたことを聞かなければならないという状況は、例えば怒られることを恐れてコントロールされており、罪悪感から従順になっているなど、「敬意」とは別のところからきていることが多いことに気付くのです。だから、子どもからの敬意がないと感じる時には、必ず立ち止まって、私が求める「敬意」とはどんなものだろう、と考えられるようになりました。
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この続きは、是非書籍でご覧ください。
※本記事は、『小児精神科医で3児の母が伝える 子育てで悩んだ時に親が大切にしたいこと』(著:内田舞/日経BP)より抜粋・再編集して作成しました。
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