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「2030年代の鉄道新線」が続々と本格始動! 一方で「そんな事故起こるの!?」が多発 鉄道の2025年

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鉄道整備が各所で動き出した

 世界を揺るがしたコロナ禍から早くも5年が経過し、社会経済活動はすっかり正常化しました。鉄道業界においては定期利用者の減少など不可逆的な影響は残るも、インバウンドなど定期外利用は完全に回復したといってよいでしょう。

Large figure1 gallery12万博輸送のメインを担った大阪メトロ中央線(画像:PIXTA)

 2020年代の折り返しとなった2025年は、2030年代の到来を予感させるニュースが相次ぎました。鉄道事業者の変化を象徴するのが、2025年3月27日にまちびらきを迎えた高輪ゲートウェイシティ(東京都港区)です。残る街区は2026年3月28日に全面開業予定で、モビリティ事業と生活ソリューション事業の2軸経営を目指すJR東日本にとって試金石となります。

 4月13日から10月13日まで夢洲で開催された「大阪・関西万博」は、一般入場者数2557万人を記録して終了しました。期間中2分30秒間隔で運行した大阪メトロ中央線夢洲駅の乗降人員は約4000万人(行きと帰りの合計)で、来場者数の7割以上が中央線を利用しました。

 夢洲には2030年の開業を目指してIR(統合型リゾート)が整備される予定です。大阪府と大阪市は第2、第3の夢洲アクセス路線を検討しており、8月にJR桜島線(JRゆめ咲線)桜島~夢洲間、京阪中之島線中之島~九条間(中央線乗り換え)の延伸が優位とする提案を発表しました。

 関東では新たな鉄道整備が具体的に動き出しました。東京都は11月27日に多摩都市モノレール上北台~箱根ケ崎間の事業許可を受けたと発表し、2025年度中に着工、2034年度の開業を目指します。また、都営大江戸線光が丘~大泉学園町間の事業化に向けて国交省と協議を開始しました。

 東急電鉄の新空港線計画も動き出しました。新空港線は第3セクターの羽田エアポートラインが整備主体、東急が営業主体となる上下分離方式で整備されますが、4月4日に整備構想・営業構想の認定、10月3日に速達性向上計画の認定を受けました。開業は「令和20年代前半」を予定しており、まだまだ先ですが、JR東日本が整備を進める羽田空港アクセス線とともに羽田アクセスは大きく変貌しそうです。

 良いニュースばかりではありません。リニア中央新幹線は当初、2027年に開業する予定でしたが、様々な区間で工事が遅延しており、静岡県南アルプストンネル問題も決着していないため、品川~名古屋間の開業見通しが立っていません。JR東海は10月29日に総工事費が4兆円増の11兆円になると発表しており、名古屋~大阪間の延伸に暗雲が漂っています。

事故やトラブルも続いた

 そして残念ながら今年も様々な事故、トラブルが発生しました。特に近年、相次いで輸送障害が発生しているのが東北新幹線です。3月6日に東北新幹線「はやぶさ」と秋田新幹線「こまち」の連結器が走行中に外れて分離し、緊急停車するトラブルが発生しました。

 前年9月にも同様のトラブルが発生しており、その列車から取り外した制御盤を載せ替えたのが今回の当該編成でした。JR東日本は装置そのものに問題があった可能性が高いとして、分割スイッチの改修を進める方針です。

 6月17日には山形新幹線の新型車両「E8系」の補助電源装置に不具合が発生し、4編成が走行不能となりました。7月末までE8系の単独運転を中止し、運転本数を減らして福島~山形・新庄間で折り返し運転を行い、夏休み輸送に影響が出ました。

 JR東日本は7月1日に新しいグループ経営ビジョン「勇翔2034」を発表し、すべての人にとっての「安心」を事業の基盤に位置付けましたが、東北新幹線では2024年以降様々なトラブルが相次いでいるのが実情です。今後、結果で示す必要があるでしょう。

私鉄でも大きな事故が

 10月5日に東急田園都市線梶が谷駅構内で発生した列車衝突事故は、鉄道業界全体に波及する騒動となりました。信号システムの設定条件に不備があり、回送列車の最後尾車両が線路上にはみ出ていたにもかかわらず、上り列車に青信号が出てしまったのです。

 東急が全駅で緊急点検を実施したところ、二子玉川と新横浜の計3か所でも不備が見つかりました。国土交通省が全国の鉄道事業者に点検を指示したところ、JR東日本、JR西日本、京急電鉄、阪急電鉄など計10事業者15駅(11月12日時点)で同様の問題が判明しました。

 地方でも大きな事故が発生しました。熊本市交通局(熊本市電)は2024年に脱線事故など計16件の運行トラブルが相次いで発生し、第三者委員会を立ち上げて再発防止策を議論していましたが、3月25日に熊本城・市役所前電停で電車の追突事故が発生し、乗員乗客15人が負傷しました。

 5月21日には長野電鉄で、突風に吹き飛ばされた農業用の金属製パイプ小屋が走行中の列車に衝突し、乗客1人が死亡、2人が負傷しました。列車運転中に乗客が死亡した事故は、2005年12月の羽越線脱線転覆事故以来のことでした。

 秋田内陸縦貫鉄道では12月12日に快速列車が脱線転覆する事故が発生しました。まだ詳細は明らかになっていませんが、倒木にぶつかったとみられています。列車は線路から5m下に転落しましたが、幸い乗客はおらず、運転士も救出されました。地方鉄道が十分な安全対策をするための経営支援が求められます。

 2025年は良くも悪くも鉄道を取り巻く環境の変化を感じさせる1年だったといえるでしょう。

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