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「EV、エコじゃない。製造時にCO2が大量」「廃棄にも大量」そう思っている人に見せたい「指標」 ガソリン車と比較してみると

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2つの指標「TtW」と「WtW」

「電気自動車にしても火力発電の多い日本では環境に悪いのでは」「バッテリーを製造するときにもCO2を排出している」のように、電気自動車(電気自動車)導入によるCO2(二酸化炭素)削減に対する懐疑的な意見を聞くことがあります。

Large figure1 gallery9EVは各種の製造工程でCO2を排出している。写真はイメージ(画像:PIXTA)

 これを正しく理解するためには、Well to Wheel(WtW)とLife Cycle Assessment(LCA)の2つの考え方と、評価範囲を揃えることが重要です。

 自動車からのCO2排出量の評価には、Tank to Wheel とWell to Wheelという2つの考え方があります。Tank to Wheel(TtW)は「自動車の燃料タンク(またはバッテリー)からタイヤを駆動するまで」を、Well to Wheel(WtW)はこれに加えて、「油田(または発電)からタイヤを駆動するまで」を対象とします。Wellは油田の意味です。

 電気自動車の売り文句として「走行中のCO2排出ゼロ」というのは、TtWを適用したものであり、発電時のCO2排出量は含まれていません。悪く捉えるならば、都合の良いところだけ抜き出して評価しているとも言えるかもしれません。

 WtWを適用する場合には、走行に使用する電力がどのような手段で発電されたかを考慮する必要があります。発電時のCO2排出量が多い火力発電であればCO2排出量は増え、太陽光発電などの再生可能エネルギーであればCO2排出量は少なくなります。実際に充電する電力が何に由来しているかを見分けることはできませんので、その時間に発電された電力の割合を見ることが有効です。

 日本では東日本大震災以降に原子力発電が停止し、需要を賄うために火力発電の割合が増えました。その後、徐々に再生可能エネルギーの導入が進み、直近では発電割合の24%程度が再生可能エネルギー由来となっています。これを電力量あたりのCO2排出量に換算すると0.449kg-CO2/kWhとなります。これは電力を資料する側(受電端)の値であり、発電所からの送電による損失を含んだものです。

 この値を用いて、ガソリン自動車と電気自動車のCO2排出量を比較してみましょう。同じ条件とするために、ガソリンもWtWで評価すると2.65kg-CO2/Lの排出量となります。ガソリン車の2023年度の平均燃費が19.8km/L程度ですので、1km走行するのに134gのCO2を排出することになります。

 これに対して電気自動車の電費は、国土交通省の公表値がありませんが、近年走行している車両の実電費を厳しめにみて6km/kWhとすると、1km走行するのに75gのCO2排出となります。

 TtWとは異なり電気自動車でもCO2の排出がありますが、それでもガソリン自動車より46%の排出削減となることが分かります。

「資源採掘から製造、廃棄まで」も指標化される!

 もう一つのLife Cycle Assessment(LCA)とは、走行中だけではなく、「資源の採掘、自動車の製造から廃棄までのCO2排出量」を対象とします。電気自動車はエンジンの代わりにモーターで駆動し、さらにモーターに電力供給するためのバッテリーが追加されます。他にも異なる部分はありますが、追加されるという意味で一番大きな要素はバッテリーです。

 バッテリー製造時のCO2排出量については様々な研究があり、少ないものでも52kg―CO2/kWh、多いものでは173kg―CO2/kWhという結果もあります。車両によってバッテリー搭載量が異なりますが、数トンから10トン程度のCO2排出があると考えられます。

 これを、WtWで示したように走行時の削減量で回収していくこととなります。つまり、走行距離が長くなればなるほど電気自動車に有利です。

 これらを踏まえた車種ごとの比較を公開しているMIT Trancik LabによるCarboncounter.comでは、年間の走行距離など日本の実情に合わせた推計でも、ごく一部ピックアップトラックなどが燃費の優れたガソリン自動車と逆転するものがありますが、ほぼ全ての電気自動車の方が優れた結果となります。

「充電する時間帯」で評価変わる!?

 ここまで示したようにWtWとLCAを適用した場合でも、多くの場合において電気自動車の方が環境的に優れていることが分かります。これに加えて、さらに環境に良い取り組みとするためには、再生可能エネルギーの有効活用が必要不可欠です。

Large figure2 gallery10火力発電所のイメージ(画像:PIXTA)

 今後も再生可能エネルギーの導入は進んでいきますが、これを有効活用するためには、再生可能エネルギーの発電に合わせた充電時間を考える必要があります。

 再生可能エネルギーの中心である太陽光発電が多いのは昼間です。導入の進んだ近年では、昼間の太陽光発電を使いきれないために「出力制御」が行われ、無駄になっている部分があります。

 家庭での電気自動車の充電は外出の後の夜間に充電することが多いですが、外出先の会社やおでかけ先で昼間に充電することで、再生可能エネルギーを有効活用することができます。そのためには、外出先の充電設備の設置が必要となり、電気自動車によるCO2削減の取組みは、単純に車両を普及させるだけでなく、充電設備と一体となった計画が求められます。

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