「ホルムズ海峡“封鎖”できません!」 イランでも“絶対に無理”なワケ 国際法の視点から解説します
- 乗りものニュース |

国際法における「封鎖」とは
ロイター通信などは2026年3月2日、イランの軍事組織であるイスラム革命防衛隊の司令官が同国国営メディアを通じてホルムズ海峡を「封鎖した」と報じました。報道によると、この司令官は「もしホルムズ海峡の通過を試みる者がいれば、革命防衛隊と正規海軍の英雄たちが船舶に火を放つだろう」と述べたといいます。
日本郵船の原油タンカー「高松丸」(画像:日本郵船)。
ホルムズ海峡は、ペルシャ湾とオマーン湾の間に位置し、最も狭いところでは幅が約33kmという海峡です。ここを通過するタンカーが運ぶのは、全世界の石油および液化天然ガス(LNG)供給量の約2割を占めるといわれ、まさに世界規模での海上交通の要衝と言えます。そのホルムズ海峡が封鎖されたとなれば、世界経済に与える影響は計り知れません。
ところで、この記事でも用いられている「封鎖」という言葉ですが、一般的には「出入りを出来なくすること」という風に解釈されるかと思います。しかし、国際法上はそれとは異なる概念として理解されているのです。
国際法上、封鎖(blockade)とは「敵の領土内にある、あるいは敵が占領(管理)している沿岸部や港への船舶の入港あるいは出港を、それが敵国の船舶か否かを問わずに防止する軍事行動」を言います。封鎖は、主に敵国への船舶の出入港を防ぐことで海上交通を遮断し、敵の補給路を断って武力行使の継続を困難にすることを目的としています。
そのため、たとえば一般市民を飢えさせることだけを目的とするような措置は認められません。そして、封鎖を破ろうとする船(封鎖侵破船)に対しては、その船体および積み荷を全て没収することができるのです。
伝統的な国際法において、封鎖には宣戦布告を伴う法的な戦争が発生していない場合に認められる平時封鎖(pacific blockade)と、法的な戦争が発生しているときに認められる戦時封鎖(belligerent blockade)とがあり、それぞれ封鎖を実施している国に認められる措置の内容に違いがありました。
現在の国際法では、基本的に封鎖は国際的武力紛争(主に国家間の武力紛争)に際してのみ認められる措置で、何らの武力紛争も起きていない中で他国に対して封鎖を実行した場合には、違法な武力行使とみなされるだけでなく、侵略行為にさえ該当し得ます。
ちなみに、1962(昭和37)年10月に発生したキューバ危機に際して、アメリカはキューバに核ミサイルなどを輸送するソ連の貨物船を洋上で阻止するため、「隔離(Quarantine)」と称して貨物船を停船させ、海軍艦艇による臨検を実施しました。
これは、ともすると違法な封鎖とみられてもおかしくない措置であり、かつ法的根拠を見出しにくいものでした。そこで、ソ連との全面戦争を避けたいという政治的思惑も相まって封鎖ではなく隔離という新たな用語が生み出されたのです。
ただ宣言すればOKじゃない 「封鎖」成立の3条件
封鎖は、それを実施するにあたって各種の条件が付されています。この条件が満たされない限り、先述した船体および積み荷の没収という、封鎖によって生じるきわめて強力な法的効果は生じないことになります。
海上自衛隊のP-3C哨戒機(画像:海上自衛隊)。
まず、封鎖を行えるのは敵国の領水、その先の公海、および排他的経済水域(EEZ)に限られています。従って、封鎖を実行している国や、武力紛争の当事国ではない国の領水や排他的経済水域などでは、船舶の航行を防止することはできません。加えて、国際的な航行に使用されている海峡である国際海峡に関しても、封鎖の対象海域に含めることは基本的にできません。
また、封鎖は船舶の航行を防止するに足りる兵力(水上艦艇など)により実効的に行われる必要があり、これは「実効性要件」と呼ばれます。学説上、水上艦艇を伴なわずに哨戒機などの航空機のみによる封鎖は実効性要件を満たし得るのか、という論争もありますが、アメリカなど主要国の海軍では封鎖に使用される兵器の種類に細かな制限を設けていないことから、少なくとも実務上は措置の実施を水上艦艇に限定することは支持されていないように思えます。
さらに、封鎖を行うという宣言および他国への通告が必要とされており、これは「宣言告知要件」と呼ばれます。この宣言・告知とは、封鎖を行う地理的範囲、措置の開始日、並びにとられる措置の内容を公的に発表することを指します。封鎖はきわめて強力な措置のため、武力紛争の非当事国船舶が封鎖を回避することを可能にするために設けられた要件です。
イランの宣言は「封鎖」にあらず そのワケとは
それでは、今回のイランによる「ホルムズ海峡封鎖」について、法的にはどのように評価されるのでしょうか。
ホルムズ海峡の位置関係(画像:写真AC)。
まず、今回の措置を「封鎖」と表現することに、筆者(稲葉義泰:軍事ライター)は違和感を覚えます。というのも、今回イラン側が宣言している内容は、国際法上の封鎖とはかけ離れたものであるためです。
あらためて、国際法上の封鎖は武力紛争の相手国の沿岸部での措置に限定されます。対して、イランはイスラエルおよびアメリカから攻撃を受けたことをもって今回の措置を実施するわけですから、本来であれば封鎖を行えるのはイスラエルおよびアメリカの沖合のみとなります。
しかも、ホルムズ海峡はイランおよびオマーンの領海から構成されており、仮にイランがオマーンを敵国として武力紛争を開始したとしても、結局自国の領海部分が残るため封鎖措置は取り得ません。そして何より、ホルムズ海峡は国際海峡であり、そこにおいては各国船舶の航行の自由が確保されなければならず、封鎖を実施することはできません。
また、イランはホルムズ海峡を通過する船を無差別に攻撃すると主張しているように思えます。しかし、封鎖とはあくまでも目的は海上交通の遮断による兵糧攻めであり、侵破船に対しては船体と積み荷の没収が許されるに過ぎず、無差別攻撃が許されるわけではないのです。
従って、今回の措置を封鎖と呼ぶことは適切ではないのです。実際、海外報道では封鎖を意味する「blockade」という表現はあまり用いられておらず、たとえばイギリスの公共放送であるBBCでは「blocking」や「closing」と表現しています。これを日本語に訳すとすれば、おそらく「閉鎖」や「通峡阻止」になるでしょう。
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