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「坂道らくらく」でも時速24kmでパワーゼロなぜ? 電動アシスト自転車の“法律の壁” 違法な自転車との境界は

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電動アシスト自転車、実は時速10kmからパワー減少するって知ってた?

 自転車の坂道走行や漕ぎ出しのような、大きなパワーが必要な局面で車体を押し出すような力を与えてくれる、電動アシスト自転車。誕生から30年以上が経過し、すっかり市民権を得た乗りものですが、スピードが乗ってくるとアシストの手応えが薄れ、いつのまにか“ただの重い自転車”になってしまいます。

Large figure1 gallery4電動アシスト自転車でも、急ぐ時はペダルを目一杯こいでしまうもの(画像:PIXTA)。

 その境目とされる速度が「時速24km」です。ただし、それまで一定だったアシストが、時速24kmに達した瞬間に突然ゼロになるというわけではありません。補助力は時速10kmから徐々に弱まっていき、時速24kmに達した時点でゼロとなります。

 なぜ、このようなシステムとなっているのでしょうか。このルールを定めているのが、道路交通法施行規則です。人がペダルを漕ぐ力に対して、モーターが補助できる力の比率(アシスト比率)は上限が決められています。具体的には、時速10km未満では漕ぐ人の力の最大2倍までアシストできますが、時速10kmから24km未満では速度が上がるにつれてアシスト比率が徐々に減っていきます。そして、時速24km以上ではアシストがゼロになります。

 つまり、いちばん力強く感じるのは漕ぎ出しから時速10kmあたりまで。そこから先は速くなるほどアシストが控えめになり、時速24kmで完全に人力依存の走行へと切り替わるわけです。この段階的な減り方が、法令で定められた基準です。

 では、なぜ「時速24km」というキリの悪い数字が、境界線に選ばれたのでしょうか。

24kmを超えて補助すると「自転車」ではなくなる?

 この「時速24km」は、電動アシスト自転車が法律上の「自転車」であるための基準のひとつです。時速24km以上でモーターの補助力が加わる車両は、道路交通法上の電動アシスト自転車の要件を満たしません。

Large figure2 gallery5小型自転車のような見た目だけれど「特定小型原動機付自転車」に分類されるglafitの「NFR-01 Lite」(画像:glafit)。

 ただし、なぜ上限が時速20kmや25kmではなく24kmになったのかについて、法令や警察庁の公表資料には、明確な制定理由を見つけることはできませんでした。

 なお、時速24km以上でも補助が続くなど、法令上のアシスト比率を超える車両は、電動アシスト自転車には該当しません。構造やモーターの定格出力などに応じて、一般原動機付自転車または自動二輪車として扱われます。

 一方、ペダルを漕がなくてもモーターだけで走れる車両は「ペダル付き電動バイク」などと呼ばれ、ペダルだけで走行する場合も原動機付自転車の扱いとなります。そのため公道を走るには、電動アシスト自転車とは違う資格や装備が求められます。具体的には車両区分に応じた免許やナンバープレート、自賠責保険、保安基準への適合などが必要になります。

電動アシスト自転車、不透明だった10銘柄中9銘柄が基準不適合に

 この基準は、決して形だけのものではありません。国民生活センターは2023年10月25日、インターネット通販で自転車として道路を通行できる旨を表示しながら、型式認定の記載がなく、基準への適合性が不明だった10銘柄をテストしました。その結果、9銘柄でアシスト比率が道路交通法の上限値を超えていることが判明しました。

Large figure3 gallery6最近話題のLUUPなどの電動キックボードも、特定小型原動機付自転車に分類されている(画像:写真AC)。

 しかも、うち6銘柄はペダルを軽く回すだけで時速20km程度以上まで加速し、時速24kmを超えてもモーターの出力が止まりませんでした。3銘柄では、取扱説明書に記載されたアシスト停止速度が時速45kmまたは65kmに設定され、その値を調整する方法まで書かれていたといいます。

 同センターによると、基準に適合しない車両で歩道を走行中、ほかの自転車に衝突する事故が発生し、その運転者は有罪判決を受けるとのこと。見た目が自転車でも、法令上の基準を外れれば、電動アシスト自転車として道路を通行することはできません。

 日本の電動アシスト自転車市場は、1993(平成5)年にヤマハ発動機が世界で初めて商品化した「PAS」の登場から本格的に始まりました。

 当初の基準では、人の力に対するアシスト比率は時速15km未満で最大1(同程度の力)でした。2008(平成20)年12月1日の改正では、発進時や低速時の安定走行、登坂性の向上などを目的に、時速10km未満で最大2倍まで引き上げられました。最大比率や適用される速度域は変化しましたが、時速24km以上で補助力をゼロにする基準は変わらず維持されています。

 ペダルを踏む力をセンサーが読み取り、車速に合わせてモーターの補助をきめ細かく調整する。その電動アシスト自転車のメカニズムには、「自転車」であり続けるための緻密な電子制御と、法律の線引きが詰まっているのです。

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