「裸の写真送ったほうがいいよ」同世代の子になりすまし…子どもを取り巻くオンライングルーミングの怖さ#親と子のネットリテラシー入門
- マイナビウーマン |

ここ数年で、子どもを取り巻くデジタル環境は劇的に変化。私たち親世代は、子どものデジタル機器の付き合い方や、ITリテラシーの教え方にどう向き合ったらよいのでしょうか? ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザーとして活躍し、自身も二児の母である鈴木朋子さんに教えてもらいます。
執筆者プロフィール
鈴木朋子さん
ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザー
スマホやSNSなど、身近なITサービス全般に関する記事を執筆。なかでもSNSに関しては、コンシューマーからビジネスまで広く取材を行い、最新トレンドを知るジャーナリストとして定評がある。また、安全なIT活用をサポートするスマホ安全アドバイザーとして記事執筆や講演も行う。
著書は『親が知らない子どものスマホ』(日経BP)、『親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本』(技術評論社)、『インターネットサバイバル 全3巻』(日本図書センター)など。
「SNSで知り合った少女にみだらな行為をしたとして逮捕」「SNSで知り合った男児にわいせつ容疑で逮捕」など、SNSで知り合った大人から性被害に遭う子どもは後を絶ちません。子ども達はなぜSNSで知り合った大人に会いに行き、被害に遭ってしまうのでしょうか。
オンライングルーミングとは
SNSで知り合った人に実際に会いに行く――大人にはハードルの高い行為に思えるかもしれません。しかし、今はオンラインでの出会いは珍しくなくなりました。保護者のみなさんも、Instagramで知り合った育児仲間とランチをしたり、Facebookで呼び掛けられたグルメ会に出かけたりしたことはないでしょうか。SNSでの出会いは、いいねやコメントなどでつかず離れずの交流から始まり、普段の相手の様子を知ることができます。いきなり会おうと言われれば警戒しますが、やり取りを重ねた相手であれば安心して会えるようになります。その後も、長く付き合う友人関係へと発展することもあるでしょう。
しかし、子どもの場合はSNSで誰かと出会うことは大きなリスクが伴います。子どもは知識が乏しく、社会経験も少ないため、相手が悪い人だと見抜くことが難しいからです。
子どもが悪い大人によって性暴力にあってしまうとき、「グルーミング」が行われるケースが多くみられます。グルーミングとは、加害者である大人が巧みに子どもの心をつかみ、信頼を得ることで、相手が逃げられなくなる状態にすることです。その段階で加害者は子どもに少しずつ性加害を行います。
グルーミングには、大きく分けて3つのパターンがあります。学校の関係者などのリアルの生活で知り合いである場合と、たまたま街中で出会った人などリアルの出会いではあるものの知り合いではない相手から行われるケース、そしてネットで知り合った人から受けるオンライングルーミングです。
オンライングルーミングを仕掛けてくる相手は、SNSで声を掛けてきて最初は優しく接してきます。たわいもない雑談をSNSのメッセージで交わしているうちに親しい気持ちになり、親や学校の悩みといった深い話をするようになります。
ここで実際に会う話になると、信頼関係ができあがっているため、疑うことなく会いに行ってしまいます。その後、性被害にあったとしても、「自分が会いに行ったから悪いんだ」「たまたまそうなっただけで、あの人はそんな人じゃない」と考えてしまうことがグルーミングの怖さです。
また、オンライングルーミングの場合は、実際に会って性加害を行うことは罪になると考え、ネット上だけで欲望を満たす人も多くいます。自分も同じ年の子どもだと偽り、「私の胸の形、変じゃないかな。あなたのも送って」と裸の画像を送らせたのち、「もし他の人に言ったらこの画像をネットにばら撒く」と脅して、さらに動画の送付などを求めてきます。逃げ場をなくした子どもは、要求に従うほかなくなるのです。警察庁ではこの被害を「自画撮り被害」と呼び、注意を呼び掛けています。
自画撮り被害の事例ではネットへのばらまきも
SNSでの出会いにより、実際に被害に遭った事例を警察庁が公開しています。2017年に出された資料ですが、今でも手口はおおよそ同じです。ここでは、スマホゲームで知り合った相手に加害された自画撮り被害の事例を取り上げます。
女子児童がゲームアプリの掲示板に「LINEスタンプが欲しい」と書き込みます。すると、「無料であげる」と犯人が応じ、その代償にと裸の写真を送るように脅します。さらに犯人は別アカウントを作って同年代の女子になりすまし、「裸の写真を送ったほうがいい」と不安をあおります。そこで、被害者は裸の写真を送ってしまいました。その後犯人は、その裸の写真を「裸の写真売ります」と宣伝し、ネットで応募してきた人達に提供してしまいました。
「女の子向けスマホゲームによる被害」(出典:警察庁)
この事例では、100人以上の女子児童が裸の写真を送り、実際に会って性被害を受けた子もいるそうです。犯人は逮捕されましたが、100人以上の女子の画像は今でもネットに存在する可能性があります。誰かのスマホやPCにも保存されているかもしれません。
自画撮り被害は、画像を送って犯人が検挙されても、このように本人にとってはずっと性被害が続くという特徴があります。進学、就職、結婚などの節目に、「もしかしたら私の裸の画像を誰かに見られるのではないか」と考え、つらい気持ちを抱えたまま生きていくことになってしまうのです。犯人は、あくまでもゲーム感覚で裸の画像を要求しているのでしょうが、被害者にとっては取り返しのつかない心の傷になります。また、SNSで誘い出す大人も、「相手が了承して会いに来たのだから、問題がない行為だ」と言い張ると聞きます。未熟な子どもを言葉巧みに誘っておいて、その理屈は通じないと思います。
親ができるオンライングルーミング対策とは
スマホを持ち始める中学生ぐらいの年齢になると、友人との交流にSNSは不可欠になります。では、子どもの安全を守るためには、どうしたらいいのでしょうか。
まずは、知らない人と繋がらないことです。SNSは実際の知り合いとの交流を深めるために使うものと説明し、知らない人とDMを交わさないように約束します。SNSの設定で、非公開アカウントにしたり、フォロワー以外からのDMを受けないようにしたりするだけでもかなりの効果があります。
そして、決して会いに行かないように話しましょう。「推しのグッズをくれる」と言うなど、誘い出す手口は巧妙なのですが、もし会おうと言われたら親に相談するように話しておきます。そして、保護者が問題のなさそうな相手だと判断したら、一緒について行き、人が多いところで会うようにします。
また、困ったときは親に相談するように話しておくことも大切です。SNSで知り合うことで被害に遭う人達がいること、前述のようにオンライングルーミングされる可能性があること、もし言い寄られてもあなたのせいではないなど、普段から声を掛けておくと相談しやすくなります。思春期で保護者にはうまく相談してくれないかもしれないと思ったら、行政などに相談先があることを何度か伝えておくといいと思います。
文部科学省 子どものSOS相談窓口
まとめ
子どもから被害に遭ったと相談されたら、決してお子さんを責めないことが大切です。事実を確認し、被害の内容にあった相談先に相談しましょう。性被害の場合は、性犯罪被害相談電話全国共通番号「#8103(ハートさん)」に電話を掛けると、各都道府県警察の性犯罪被害相談電話窓口に繋がります。
SNSでの出会いがすべて悪いわけではないのですが、子どもを狙う悪い大人がいることも事実です。子どもがSNSで誰と交流しているのか、普段から把握しておくと安心ですね。
(文:鈴木朋子、編集:マイナビ子育て編集部)
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