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4月は大丈夫だったのに…子どもの交通事故、なぜ5月&6月に急増? 元刑事が教える“慣れ”克服する5つの習慣

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子どもの交通事故を防ぐには?(画像はイメージ)
子どもの交通事故を防ぐには?(画像はイメージ)

子どもの交通事故を防ぐには?(画像はイメージ)子どもの交通事故を防ぐには?(画像はイメージ)

 新生活が始まり、生活リズムが整ってくるこの時期。一見すると落ち着いた状態に見えますが、子どもの事故という観点ではむしろリスクが上がり始める局面に当たります。

 実際に内閣府の交通安全白書でも、小学生の歩行中の事故は5月、6月に増加する傾向が示されています。それらの事故が、いつ、どこで、どのような条件のもとで起きているのかを見ていくと一貫した共通点があり、家庭内やレジャー時など、日々の生活の中にも共通しています。大切な子どもたちの安全を守るべきポイントについて、警視庁元刑事が解説します。

子どもの事故の9割は、「自分の意志で動いている」最中に起きている

 まず、子どもの交通事故の実態から見ていきます。内閣府の「交通安全白書」(2024年版)によると、小学生の交通事故による死者・重傷者のうち、55.6%が歩行中、35.8%が自転車乗用中に発生しており、この2つで約9割を占めています。この数値は、小学生の事故が「車に乗って巻き込まれる」ものではなく、子ども自身が移動している最中に集中していることを示しています。

 一般的に交通事故というと、ドライバーの注意義務や運転行動に焦点が当たりがちですが、小学生の事故に関しての注意点は、子どもがどのような環境の中で行動しているのかに目を向けることが大切です。なぜなら、事故の原因が「ドライバー側の運転の問題」だけではなく、「子どもの行動と生活動線」の方にも大きく注意する必要があるからです。

事故の多くは通学路と放課後に集中している

「移動中の事故」がどこで起きているのかをさらに見ていきましょう。交通安全白書の通行目的別の分析では、小学生の歩行中の事故のうち、登校中が12.4%、下校中が25.8%を占めており、合計すると38.2%。つまり約4割が通学中に発生しています。

 さらに時間帯では、事故は午後2時~午後3時台が最多、次いで午後4時~午後5時台に集中。これは、学校を離れて行動の自由度が高まる時間帯と重なります。

 つまり事故の多くは、特別に危険な場所よりも、日常的な通学路で見守りが薄くなる時間帯に発生しているということです。通学路のように慣れた環境ほど、確認しているつもりでも安全確認としては不十分な状態が生まれています。

5月、6月は「慣れ」によって行動が変わる時期

 なぜ5月、6月に事故が増えるのでしょうか。発生月別のデータでは、小学生の事故はこの時期に増加しており、特に小学1年生では、4月が27人だったのに対し、6月には40人まで増えています。

 4月の段階では、子どもたちも新しい環境に対する警戒が強く、慎重な行動を取ります。しかし5月に入ると、その慎重さは徐々に省略されていきます。「止まるべき場面で止まらない」「見るべき範囲を十分に見ない」といった変化が積み重なっていきます。つまりこの時期の事故増加は、慣れによって起こった注意不足が表面化していると言えるのです。

水の事故も5月以降に増加

 この時期に変化するのは交通環境だけではありません。

 こども家庭庁のデータでは、0歳から14歳の子どもの溺水事故は直近5年で246件発生しており、年齢によって発生場所が異なります。0〜2歳では浴槽が多く、5歳以上になると海や川といった自然水域での事故が増えていきます。これは、成長に伴って行動範囲が家庭内から屋外へと広がり、水に接触する機会が増えることを反映しています。

 5月末には水遊びやプール活動の開始に合わせて事故防止の通知が出されており、行政としてもこの時期を水の事故リスクが現れ始める段階として位置付けています。つまり5月、6月は、交通事故と同様に、水の事故についても「これから増えていく前段階」であり、この段階での対策の有無が、その後の事故発生を左右します。

家庭内事故も同じ構造で起きている

 さらに視野を広げると、子どもの事故は屋外だけに限られません。こども家庭庁のデータでは、不慮の事故の主な死因は窒息、交通事故、溺水であり、交通事故を除いた事故の多くは家庭内で発生しています。

 特に窒息事故は、直近5年間の0歳児における不慮の事故死のうち、64.6%を占めており、寝具や日用品、食べ物といった日常の環境そのものが事故要因になります。ここでも共通しているのは、日常の中で条件が重なったときに事故が発生するという点です。つまり、道路であっても水辺であっても家庭であっても、事故の根本原因は共通しているといえるのです。

事故は偶然ではなく「条件がそろったとき」に起きる

 ここまでのデータを重ねていくと、事故の共通性が見えてきます。

・午後2時から午後5時の間に集中、5〜6月に増加。
・子どもの水難事故は、0〜2歳では浴槽が多く、5歳以上になると海や川といった自然水域での事故が増えている。
・窒息事故は0歳で64.6%。

 これらの事故原因は「子どもが慣れた環境」「見守りの空白」「行動範囲の拡大」そして「行動制御の未熟さ」という4つの条件が重なった結果として説明できます。つまり子どもの事故は、これらの条件がそろえば、同じように起きる可能性があるということです。

事故防止のために子どもに身に付けさせたいこと5選

 では、子どもの安全を守るために、どのようなことに気を付けたら良いのでしょうか。次の5つの習慣を身に付けさせるのがお勧めです。

【交通】
・通学路を一緒に歩いて危険箇所をしっかりと伝え、そこで「止まる」「確認する」「手を挙げる」といった行動を習慣化させる。

【誤飲】
・家庭内では、誤飲につながる物を手の届かない場所に置く。

【窓、ベランダ】
・窓やベランダ周辺に足場を作らない。

【プール、水辺】
・プールや海辺、川辺などの水場では、大人が「見ているつもり」ではなく、監視を担う役割を明確にし、目を離さない体制を取る。

【教育】
・子どもに対して、ただ「気を付けて」と注意するのではなく、「なぜ危ないのか」「どのような行動をすれば危険を避けられるのか」ということを具体的に根気強く繰り返し教える。

 5月、6月は、子どもの事故が実際に増えてくる時期です。交通事故においては、通学への慣れによって確認行動が省略され始め、水の事故では屋外活動の増加によって水との接触機会が増え、家庭内では生活動線で油断が生まれます。

 いずれも共通しているのは、大人、子ども共に「環境に慣れたこと」と「行動が変化したこと」によって、それまで抑えられていた事故のリスクが顕在化しているということです。

 つまりこの時期は、事故が単に増えるというよりも、事故につながる変化が始まるタイミングと言えます。この時期に今一度、子どもの行動や置かれている環境を見直すことが、事故の予防につながっていくため、ぜひ意識してみましょう。

治安戦略アナリスト・危機管理スペシャリスト 小比類巻文隆

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