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なぜ!? ホルムズ閉鎖でピンチなのに海運大手の「業績が絶好調」な理由 “遠回り”で稼ぐカラクリ 沈んだ部門も

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「海峡ダブル封鎖」のピンチ! でもなぜ業績上振れ?

 ホルムズ海峡の航行正常化が見通せない中、日本郵船、商船三井、川崎汽船の邦船大手3社が2027年3月期の通期業績見通しを引き上げました。地政学リスクの急速な高まりが運航コストを押し上げた一方で、業績を上方修正した背景には何があるのでしょうか。特にVLCC(超大型石油タンカー)市況は「歴史的な高水準」と指摘されているほどです。

Large figure1 gallery7商船三井、川崎汽船、日本郵船の船。3社とも業績が上振れた(それぞれ深水千翔撮影)

 米国とイスラエルが2026年2月28日にイランへの大規模な軍事攻撃を始めて以来、エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡は事実上の封鎖状態に陥りました。この影響でペルシャ湾発着の貨物輸送に制約が生じ、配船停止や安全確保のための待機が発生したほか、中東からの石油製品や各種化学品、原油の出荷制限へとつながっています。

 代替ルートについても、紅海とアデン湾を結ぶバブ・エル・マンデブ海峡がフーシ派の武力攻撃に伴って通航できず、ホルムズ海峡と合わせて二重の封鎖状態に陥っているのが現状です。

 このため日本郵船、商船三井、川崎汽船などが運航する船舶はアフリカ南端の喜望峰を経由するルートへの転換を余儀なくされており、1航海あたりの日数が大幅に増加し、配船効率の低下と港湾混雑が各所で深刻化しました。実際、日本郵船の決算では、自動車船事業などで配船ルートの変更や燃料費高騰が大きな減益要因となったことが示されています。

 しかし一方で、遠回りの迂回ルートが定着したことで世界的なトンマイル(貨物量×輸送距離)が著しく伸長し、実質的な船腹需給がタイト化した結果、VLCCやドライバルク(バラ積み貨物)船のスポット市況、コンテナ船運賃が歴史的な高水準へ押し上げられるという構造的変化が生じました。

 日本郵船の伴野拓司CFOは「ホルムズの影響で、VLCCやVLGC(大型LPG船)の市況が目覚ましいことになった。VLCCに至っては日建て用船料が約40万ドルという数字になっており、そういった恩恵を大きく受けている」と話しました。

 また、原油の調達先も中東から切り替わり、「VLCCはアメリカまで原油を取りに行っている。全体的に長い距離を走れば、それだけ船の需給バランスが逼迫するため、非常に好調な収支を後押ししたという形になった」(伴野CFO)ということです。

コスト増で苦戦した事業もあるのに

 商船三井も中東情勢の緊迫化によってアメリカからの石油製品、化学製品の輸出需要が増加し、それがエネルギー事業全体の業績を下支えしています。ドライバルク事業も燃料費高騰の影響を受けて減速航行を実施したことで、船腹需給が引き締まり増益となっています。

Large figure2 gallery8日本郵船のVLCC「天順」。全長333m(深水千翔撮影)

 同社の濱崎和也CFOは「ホルムズ海峡が通れないことによって、代替輸送や減速航海などを含めて海運市況に乗っており、業績的には総じてポジティブに働いている。また、期初計画ではコンテナ船、自動車船、ケミカル船を中心に燃料費上昇や中東発着貨物の減少などを織り込んでいたが、コンテナ船もケミカル船も想定を上回る運賃の上昇があった」と説明していました。

 ただ、日本郵船、商船三井、川崎汽船の3社に共通するのは自動車船事業の減益です。日本郵船と川崎汽船の決算を見てみると、売上高は前年同期に比べて伸びているものの、経常利益は下がっています。

「サウジアラビアは自動車の大きな輸入国で、そこへ向けて持っていく場合、通常はアラビア湾の中の港で揚げていた」と日本郵船の伴野CFOは話します。しかし、ホルムズ海峡もバブ・エル・マンデブ海峡も通ることはできません。

 こうした状況下だった2026年4月から6月の自動車船事業について伴野CFOは「燃料費そのものが高騰したということはもちろんあるが、ルート変更でコストがかかった。中東向けの配船の一部で喜望峰を回って地中海を西から入り、スエズを通過して、ジェッダへ行くというオペレーションを4月以降、続けていた。それに加えて船腹全体が非常にタイトな状況になり、想定していたよりも速いスピードで船を走らせたことによる燃料消費量の増加、さらに港湾混雑で船が止まったことなどが重なり、コスト的に苦しいものがあった」と振り返ります。

どこまで続くのこの状況!?

 2027年3月期の通期業績見通しについては、日本郵船、商船三井、川崎汽船の3社ともにホルムズ海峡の封鎖状態が2026年9月末まで継続し、バブ・エル・マンデブ海峡回避に伴う喜望峰迂回ルートの利用は2026年度を通じて続くという前提で公表されています。

 日本郵船は迂回ルートの定着とエネルギー市況の高騰、さらにはドライバルク船や定期船事業における想定以上の運賃市況の良化を背景に、2026年度通期の経常利益予想を前回見通しから650億円上方修正し、前期比389億円増益の2500億円へと引き上げました。大型原油タンカーの市況が歴史的高水準で推移していることや、北米産貨物の増量に伴う長距離輸送の寄与が力強い業績下支えとなっています。

 商船三井も経常利益予想を前回から800億円と大幅に上方修正し、前期比492億円増益の2250億円に見直しました。新設したケミカルロジスティクス事業やエネルギー事業において、米国発代替ルートの定着が大きな利益向上をもたらしています。

 川崎汽船の経常利益予想は350億円引き上げて、前期比259億円増益の1350億円としました。

「ホルムズ海峡がなかなか開かないということになれば、船が足りない状態が続き、業績としてはポジティブに働いていく可能性がある。しかし、世界経済の不透明感と不確実性が増すことのリスクは読みづらく、どう考えるかというはなかなか難しい」――商船三井の濱崎CFOはこう明かしました。

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