豪新型フリゲート 「水中戦」の心臓部は日本製に決定! 選定の背景に「納期」か?
- 乗りものニュース |

日本での実績だけではない? 輸出決定の決め手とは
沖電気工業(OKI)は2026年7月28日、オーストラリアの次期汎用フリゲート艦に搭載される、えい航式パッシブソーナーおよび関連装置の供給契約を三菱重工業と締結したと発表しました。同社にとって、今回の契約は初めての海外への装備移転案件となります。
もがみ型護衛艦の能力向上型、新型FFMのイメージCG(画像:三菱重工)。
この契約は、オーストラリア政府が導入を計画する次期汎用フリゲート計11隻のうち、最初の3隻を対象としています。オーストラリア政府は2025年、同国海軍用の次期汎用フリゲート選定プログラムにおいて、海上自衛隊が運用するもがみ型護衛艦の能力向上型である「令和6年度型護衛艦(新型FFM)」の採用を決定しました。OKIが供給するえい航式パッシブソーナーおよび関連装置は、この新型FFMに搭載されるものです。
OKIは90年以上にわたり、水中音響の技術開発に取り組んできました。防衛分野を中心に、水中音響センサーなどの設計・製造を手がけています。海上自衛隊向けのソナーシステムについても、設計から保守まで一貫して対応してきた実績があり、同社はそうした実績が評価され、今回の契約に至ったとしています。
一方、今回の契約について、防衛産業に詳しい軍事ライターの稲葉義泰氏は、日本における実績以外の要因も働いたのではないかと推測します。
「もちろん、OKIが海上自衛隊の護衛艦向けに長年ソナーを提供してきたという実績は重要な要因だったと思います。しかし、今回のオーストラリア海軍向け新型FFMの輸出では、何よりも確実な納期遵守が求められており、そのため海上自衛隊向けの新型FFMから変更箇所を最小限に抑えるようにとの決定がなされています。
そのため、艦対空ミサイル、艦対艦ミサイル、短魚雷といった兵装以外の装備には基本的に変更が加えられない予定で、ソナーについても同様の措置がとられたのだと思います。もし、他国製のえい航式ソナーを新たに統合するとなった場合、対潜戦システムや船体設計の変更など、ハード/ソフト両面で影響が生じたかもしれず、結果として納入が遅れる可能性もあったでしょう」
そのうえで、今後はオーストラリアにおけるメンテナンスを含めた後方支援体制の拡充が求められると、稲葉氏は指摘します。
「防衛装備品の輸出は、一度その国での採用が決まれば終了というものではなく、その後の長年に及ぶ運用期間を通じた確実な保守・整備体制の確立が求められます。特に艦艇装備品の場合、海という過酷な環境の中でおおむね数十年は運用されるため、保守・整備の重要性は極めて高いといえます。
そこで、今後はオーストラリアにおける整備拠点の確保や、同国海軍への運用教育が必要になるでしょう。しかし、現地には現地の商習慣や文化があるため、OKI単独で実施するのは難しく、たとえば現地の関連企業との連携が必要になるのではないでしょうか」
OKIは、2026年5月に策定した「経営計画2031」において、政府成長戦略分野である防衛産業・海洋分野への注力・強化を掲げています。そこで、高まる防衛需要に応えるべく、生産能力の増強やオーバーホール体制の強化を進めるとしています。この計画を通して、今後海外における事業展開をどのように進めていくのか、注目されます。
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