「街中で視線が集まりました」 成婚退会からわずか2カ月…38歳女性に「婚約解消」を決意させた41歳男性の豹変ぶり
- オトナンサー |

婚活は、それまでお互いのことを全く知らなかった者同士が、サイトを通じて知り合います。そこから、お見合いをして仮交際、真剣交際、成婚退会、そして結婚へと進むのですが、お見合いから成婚退会までの期間は約3カ月というのが通例です。期間が短いので、お相手の第一印象が変わったり、内面が読み切れなかったりすることがあります。
結婚相談所を運営している筆者からのアドバイス! 不安になったり、疑問に思ったりしたときには、周りに相談したり、お付き合いを振り返ったりしながら、冷静にお相手を見ていくことが大切です。
幸せに慣れると次の幸せが欲しくなる
えみさん(38歳、仮名)は、みきおさん(39歳、仮名)とお見合い後、仮交際に進み、お会いするたびにみきおさんへの思いが深まっていきました。
お菓子やお茶などの小さなプレゼントをしたり、デートのときには笑顔を絶やさないようにしたり、話の聞き役に回ったりと、「みきおさんの気持ちをなんとか手に入れたい」と、一生懸命でした。そして、念願の真剣交際に入ったのです。
ところが、真剣交際に入って3週間がたった頃、えみさんからこんな相談が来ました。
「なんだか真剣交際に入ってからというもの、連絡を入れるのがいつも私からになりました。LINEを入れれば、すぐに返事をくださるのですが、デートを誘うのは私から、お店を決めるのも私から。最近、放っておかれている気がしています」
結婚相談所では、仮交際期間中は複数と交際してもよいですし、新しいお見合いをしてもよいのですが、真剣交際に入ったら、お一人と向き合うことになっています。
仮交際期間中のえみさんは、「見えないライバルたちには負けたくない、なんとかみきおさんに振り向いてほしい」と、さまざまな努力をしていました。ところが、真剣交際に入り、もうライバルがいないという安心感からか、今度は「もっと私のことを大事にしてほしい」という気持ちが芽生えたようです。
逆にみきおさんは、真剣交際に入ったことで、2人の関係が安定したと思い、安心しきってしまったのかもしれません。
私がみきおさんの相談室に連絡を入れてみると、みきおさんの仲人さんが、こんなことを言いました。
「今、仕事が本当に忙しいようなんです。先日、連絡を入れたときも『こんな状況でも、なんとかえみさんに会う時間はつくり出そうと思っています』と言っていました」
そこで私は、そのことをえみさんに伝えました。すると、えみさんが言いました。
「そうだったんですね。そんなに忙しい中、私がLINEを入れるとすぐに返信をくださる。真剣交際に入って、なんだか幸せな状況がマヒしてしまって、『もっと大事にされたい』と、私がわがままになっていました」
欲しかった幸せが手に入ると、人間は欲張りになり、次の幸せが欲しくなることがあります。
時に、それが相手には“わがままな女性”と映る場合もあります。えみさんは、早めにそのことに気付きましたが、気付かずにわがままがエスカレートすると、「思っていた女性とは違っていた」と交際終了が来ることもあります。
幸せのマヒには、注意したいですね。
成婚退会したら態度が豹変
念願のプロポーズをされて、成婚退会をしていったゆみえさん(38歳、仮名)から、その2カ月後に「婚約は解消しました。もう一度婚活をします」と連絡がありました。
お相手のようじさん(41歳、仮名)とあんなに幸せそうに成婚退会していったのに、一体何があったのか。事務所にやってきたゆみえさんに、婚約を解消した理由を聞きました。
「相談所でお付き合いしているときには、怒ったことが一度もなかったのですが、成婚退会してからというもの、ささいなことで怒るようになりました。時には、声を荒げて怒鳴ることもありました」
怒る原因というのが、ゆみえさんに言わせれば、“ささいなこと”なのだそうです。
2人でお酒を飲んでいるときに、ようじさんのグラスが空になったのに、それに気付いてあげられなかった。彼が「服を選んでほしいから、土曜日に一緒に買い物に行こう」と言っていたのを忘れていた。待ち合わせの時間に遅刻した、などなど。
「遅刻のときは、前もってLINEで連絡しました。でも、待ち合わせの場所に行ったら、いきなり『遅いんだよ!』と怒鳴られました。彼が怒る度に、『ああ、私が悪かったな』と思って、『これから気を付けなきゃ』と反省していたのですが…」
ところが、あるとき、「この人との結婚はやめよう」と思う出来事が起こりました。
それは、ようじさんの地元の友達が2人の結婚を祝うために集まってくれた宴席に向かう途中のことでした。
「街中で、頭をスコーンとたたかれたんです。通りすがりの人たちの視線が、集まりました。人前で怒りの感情が抑えられなくて私をたたいたのですから、結婚したらDV夫になると思ったんです。家の中では誰も見ていないですからね」
なぜ頭をたたかれたのかといえば、帰りに皆さんにお渡しするお土産のお菓子を買ってこなかったから。
「そもそもそのお菓子は、私が買うのではなくて、ようじさんが買って持ってくるものだと私は思っていたんです」
小さなバッグだけで現れたゆみえさんに、ようじさんが言いました。
「あれ、お菓子は?」
「ようちゃんが買ってくるんじゃなかったの?」
「何やってんだよ。俺じゃなくて、おまえだよ」
そして、スコーンと平手が飛んできたのです。
「たいして痛くはなかったんですが、これまでお付き合いしてきた男性に手を上げられたことはなかったし、“おまえ”呼ばわりされたのもショックでした」
結局、近くのお店で、決めていたお菓子とは違うものを購入しました。その後、ゆみえさんは、悲しみと怒りを抱えたまま宴席に参加し、苦痛な2時間を過ごして、帰路につきました。
そして、その日は1人暮らしのマンションではなく、実家に帰り、これまでの出来事を両親に話しました。
すると、母親が言ったそうです。
「その男性との結婚はやめなさい。そんな人と結婚したら、彼を怒らせないようにしようと、ずっと相手の顔色をうかがう生活になるわよ」
父親も同意見でした。そして、婚約を解消しました。
婚活の結婚で見極めるべきこと
婚活での結婚は、お付き合いの期間が短いからこそ、相手の全てを知るのは難しいものです。しかし、結婚は人生の大きな決断ですし、その後の生活は生涯を終えるまで続きます。
見極めるべきポイントを押さえておきましょう。
まずは、「基本的な価値観が一致しているか」を見つめ直してみましょう。お金の使い方、家事の役割分担、結婚後に子どもが欲しいかどうか、また子どもをどう育てたいか、双方の親とどう関わっていくか。これらは、擦り合わせが大切です。
次に、「本来の人間性はどうなのか」。ゆみえさんの婚約者だったようじさんは、相談所で交際しているときは、言葉を荒げたり、怒鳴ったりしたことがなかったようです。ところが、成婚退会をした途端に、気が短くなり、怒りやすくなったというのです。
数カ月間なら、猫をかぶれます。短い期間で見極めるのは難しいのですが、お店に入ったときの店員さんに対する態度、仕事相手(部下)や家族に電話しているときの様子、ちょっとしたトラブルが起こったときの対処の仕方でも、性格は見抜けると思います。
車を運転する人なら、長時間のドライブで本来の姿が出ることがあります。不意に割り込みされたときや、やたら赤信号に引っかかったときに、イラッときたり、舌打ちしたりする人は、キレやすい人です。
さらに、「その相手といて自然体でいられるかどうか」を、自分に問いかけてみましょう。怒りやすい人と一緒にいると、いつの間にか「怒らせないように」と、相手の顔色をうかがうようになります。そんな相手とは、長い結婚生活がうまくいきません。
表面的な魅力だけに惑わされず、「この人と一緒に生活できるか?」を冷静に判断することが大切です。ただし、相手の全てを完璧に理解することは難しいものです。お互いに歩み寄れる相手かどうかも見極めてみましょう。
仲人・ライター 鎌田れい
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