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「NICUにいる赤ちゃんのママたちは自分のことを責めている」根強く残る“母性愛神話”【小児科医インタビュー】

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  • マイナビウーマン
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新生児科医・小児科医としてXなどで子どもの医療啓発を続けている「ふらいと先生」こと今西洋介先生。漫画『コウノドリ』の取材協力医師でもあります。このほど『医師が本当に伝えたい 12歳までの育児の真実 親子の身体と心を守るエビデンス』(日経BP)を出版した今西先生に、子育てに不安を抱える親たちに伝えたいことを聞きました。

■不確かな育児情報に追い詰められる親たちの姿を見てきた

ーー今西先生は、新生児科医としてNICU(新生児集中治療管理室)で新生児の診療にあたってきました。そんな先生の立場から見て、親たちの不安にはどんなことが多いと思いますか?

今西先生(以下、今西) NICUにはさまざまな問題を抱えた赤ちゃんが入院してきますが、28週未満で生まれた超早産児は、その10%〜20%くらいに発達障害があると言われています。そうしたお子さんたちの親御さんの中には、なかなか受け入れられずに苦しむ人もいます。その苦しみの理由のひとつには、社会から子育てに関する誹謗中傷を受けることや、根拠のない育児情報に苦しめられていることがあると思います。

 子どものことが不安なあまり“発達障害に効く水”などとうたわれる商品を買って子どもに飲ませている人もいました。極端と思われるかもしれませんが、発達障害のある子を育てる親御さんは、だれもがそんなふうに追い詰められた経験があると思います。

ーー先生がSNSで発信を始めた理由は、不確かな情報に追い詰められる親御さんたちの様子に危機感を持ったところもあるのでしょうか。

今西 そうですね。医療機関で医師が診られるのは、子どもや家庭のほんの一部のことだけです。医師として困っている親子に何かできないかと考え、SNSで情報発信を始めました。

 ただ、コロナ禍でSNSでの医療啓発の限界を感じたことや、Xの文字量で正確な情報を届ける難しさも感じました。そこで、子どもの医療や子育てに関する正しい情報を手元に置いてもらえるように、一週間に何本か記事を書いてメールマガジンのような形で配信する「ふらいと先生のニュースレター」を始めて、この度、書籍化することになりました。

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(※画像はイメージです)

ーー子育てに困って情報を得たいとき、どんなところから情報を得るといいですか?

今西 情報の取り方って難しいですよね。ひとつは厚生労働省や小児科学会など公的機関が発信する情報です。最近はSNSで情報発信を始める学会も増えてきています。

 あとは、かかりつけの小児科などの身近な医師に聞くこと。でももし近所の医師の言うことに違和感を持つことがあれば、複数の医療機関を受診するのもいいと思います。

ーーかかりつけの小児科医に、気になることはどんどん聞いたほうがいいんでしょうか? いつもとても混んでいるので「こんなこと聞いていいのかな」と質問をためらうこともあります。

今西 医療機関もたくさんの患者さんを見なくてはいけなくて忙しいだろうし、親御さんも忙しい医師に気になることすべては聞けなくて、モヤモヤすることもあるでしょう。僕がメール配信しているニュースレターでは読者の方からのQ&Aコーナーがあり、そこには「外来で聞くほどじゃないけどちょっと気になる」質問が多く寄せられます。「ちょっと気になる」質問にエビデンスをもとに回答する記事は、読者の方に多く読まれていますので、参考にしてもらえたら嬉しいです。

■「子どもに何かあったら母親の責任」というプレッシャー

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(※画像はイメージです)

ーー著書では「3歳児神話」や「母性愛神話」が母親に与えるプレッシャーについても言及されています。

今西 僕が働いていたNICUでは、人工呼吸器が必要な子や、胃ろうで栄養をとる必要がある子など、医療的ケア児も一定数いました。病気や障害のある子のケアの担い手として、やはりお母さんに負担がかかることが圧倒的に多かったのです。

 驚くことに、医療関係者のなかにも患者家族に母性愛神話を押しつける人もいました。退院して在宅医療になった子のお母さんが「仕事を続けたい」と言うと、「この子はだれが見るの?」と、仕事を手放すようお母さんを説得することもありました。女性が自分の人生を大事に生きることが当たり前の時代じゃなかったんだと思います。

 NICUには年間500人くらいの患者さんが入院していましたが、そのうち99%のお母さんが自分のことを責めていたように思います。「妊娠中に自分が何かしたせいで赤ちゃんが入院することになったんですか」と聞かれることはかなり多くありました。

 毎回「それは違いますよ」と伝えていましたが、お母さんたちが自分を責めてしまう背景には、「子どもに何かあったら母親の責任」という母性愛神話のプレッシャーもあったと思いますし、それは今もまだ根強くあると思います。

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(※画像はイメージです)

ーーかつてに比べて父親も当然のこととして育児をする時代に変わってきていると思いますが、医療の現場でも変化を感じますか?

今西 僕が20年弱、小児科医をやっていて、いちばん変わったと思うのは、乳幼児健診に来るお父さんがすごく増えたことです。20年前は平日の乳幼児健診に来るお父さんはほぼいませんでした。

 昔は僕らの業界内では“置き物お父さん”って言葉がありました。両親で1カ月健診に来て、お母さんが母乳のことなどで助産師さんに呼ばれている間に、お父さんに「おっぱいは1日何回くらいあげていますか?」「うんちは何回くらいしますか?」と聞いても「わからないです」とずっと置き物みたいにたたずんでいるお父さんのことで、そういう“置き物お父さん”はけっこう多かったんです。

 しかし今は「お父さんがおっぱいあげてるんちゃうか?」と思うくらいの熱意を持って受け答えしてくれるお父さんが増えました。育休を取るお父さんも増えたと思います。大企業で働く双子のお父さんで2年くらい育休を取ったという話も聞きました。社会が変わったな、と実感しますね。

■睡眠時間が短くなりがちな日本の子どもたち

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(※画像はイメージです)

ーー日本の子どもの睡眠時間が国際的に見て短いということにも言及されており気になったのですが、家庭ではどんなことに気をつけるといいでしょうか。

今西 2010年のデータになりますが、3歳までの子どもの昼夜の合計睡眠の国際比較を見ると、日本は11.62時間で、最長のニュージーランドの13.31時間と比べると1時間半以上短く、調査した17カ国中で最も短時間睡眠となっていました。

 子どもの就寝時刻も遅くなっていると言われますが、そこにはライフスタイルの変化や、家族全体の睡眠時間が短くなっている影響があると考えられます。たとえば小学生のお兄ちゃんお姉ちゃんが夜21時すぎまで塾があると、幼児期の弟妹の就寝時刻にも影響するでしょう。

 平日と休日の起床時刻や就寝時刻が2〜3時間ずれる“ソーシャルジェットラグ”も問題視されています。生活リズムが不安定になり時差ぼけのような症状を引き起こしたり、子どもの精神状態の悪化を招くおそれがあるというものです。

 また、寝る直前まで動画などを見てしまうと寝つきが悪くなることもありますから、寝る1時間前にはタブレット視聴やゲームは止める、部屋は強い照明を避けることなどに気をつけるといいでしょう。家庭の状況もあると思いますが、脳や体の発達のためにも幼児期の早寝を優先してほしいところです。

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(※画像はイメージです)

ーー赤ちゃんに規則正しい睡眠パターンをつける「ネントレ(ねんねトレーニング)」にチャレンジする親御さんも多いと思うのですが、意識するポイントを教えてください。

今西 まずはネントレをする場合の開始時期ですが、生後1カ月では難しいです。生まれて間もない赤ちゃんは体内時計が未熟なので、夜は寝て朝は起きるようなサイクルができていません。低月齢の時期は睡眠よりも授乳で体重がしっかり増えているかを見てあげましょう。生後5カ月くらいから段階的にネントレを開始するといいでしょう。ただ、同じ月齢でも子どもの発達はそれぞれですので、お子さんの発達に合わせてすすめることが大事です。

 ネントレは赤ちゃんが自分で寝つく力を身につけるとともに、親も睡眠時間を確保できて育児ストレスを軽減するメリットがあるとも言われます。もしネントレを行うのであれば、夫婦間の方針を共有しておくことも大切です。お母さんは子どもをちゃんと寝かせたいのに、お父さんは子どもの横でゲームをしていたり、スマホを見せながら寝かせたりしてしまっては、余計にストレスのもとになります。夫婦で協力して同じ方針で行いましょう。

ーー今西先生自身、3人の娘さんのお父さんでもあります。お子さんたちの睡眠について工夫してきたことはありますか?

今西 現在私たち家族はアメリカで生活しているのですが、助産師の妻が子どもたちの生活リズムに厳しく、わが家は21時消灯を心がけてはいます。ただ長女は中学生ですし、日本にいる友だちと連絡するには時差があってどうしても夜になってしまうので、寝る前のスマホ使用を妻からよく注意されています。

 スマホやゲーム機はペアレンタルコントロール機能を使って、長時間プレイし続けないように設定していますが、実際はなかなか難しいです。今この取材中(現地時刻20時半)も、僕の近くに5歳の三女がいますが、この取材を受けるためにずっとスマホを触らせていますしね(笑)。小児科医だけれど、現実はそんなものです(笑)。

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医師が本当に伝えたい 12歳までの育児の真実 親子の身体と心を守るエビデンス

(取材・文 早川奈緒子)

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