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東日本に初登場! 異色の輸送艦「ようこう」海上自衛官が “たった2人” しか乗っていなかった理由

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  • 乗りものニュース
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異色の自衛艦「ようこう」初めて横須賀基地へ

 南海トラフ地震発災時における災害対処能力の向上を目的に、「令和8年度自衛隊統合防災演習」、通称「08JXR)が2026年7月21日から24日まで実施されています。

Large figure1 gallery7輸送艦「ようこう」に積み込まれる陸上自衛隊の高機動車(小林春彦撮影)

 陸上自衛隊東部方面隊は、同演習の一環として今年度初めて陸・海・空自衛隊の共同部隊である海上輸送群と連携し、災害時のインフラ復旧にあたる指定地方行政機関や指定公共機関などと共同訓練を実施。これを受け7月21日に、輸送艦「ようこう」が海上自衛隊横須賀基地で報道公開されました。

 ちなみに「ようこう」は、今回の08JXRだけでなく、昨年実施された「令和7年度南海レスキュー」や「令和8年度米海兵隊との実動訓練(レゾリュート・ドラゴン26)」などにも参加していますが、関東地方の基地・港に姿を見せたのは、今回が初めてです。

「ようこう」は、全長約120m、全幅約23m、喫水約4m、基準排水量約3500トンのRO-RO船で、ディーゼルエンジン2基により速力約15ノット(約27.78km/h)を発揮します。主に本土と島嶼間の部隊などの輸送を想定しているため、乗員のほか便乗者を運送できるよう、多層構造の居住区を有し、居住区前方に貨物倉、居住区下方に車両通路があります。貨物の荷役は艦首と艦尾右舷側に設けられた歩板装置を通じて行われます。

 21日の訓練では、横須賀基地の逸見岸壁に横付けされた「ようこう」の艦尾右舷側から、自衛隊車両だけでなく、国土交通省関東地方整備局や東京電力、NTT東日本の車両が次々と積み込まれ、整然と並べられていきました。なお、「ようこう」が自衛隊以外の車両を輸送するのは、今回が初めてでした。

 官民の車両合わせて約20両とその関係者を乗せた「ようこう」は21日夕方、南海トラフ地震で被災したとの想定にもとづき、神津島に向けて出発していきました。

輸送艦の乗組員が陸上自衛官の理由

 輸送艦「ようこう」は、前出の自衛隊海上輸送群で運用されています。この部隊は、陸・海・空の3自衛隊による共同の部隊という位置づけですが、乗組員は陸上自衛官ばかりでした。なぜでしょうか。

Large figure2 gallery8海上自衛隊横須賀基地の逸見岸壁に接岸した輸送艦「ようこう」。所属は海上自衛隊ではなく、自衛隊海上輸送群だ(小林春彦撮影)

 そもそも、自衛隊が南西諸島をはじめとする島嶼防衛を行うにあたっては、全国各地から島嶼部に自衛隊の部隊や装備品を輸送する必要がありますが、航空機による輸送に適さない重装備や一度に大量の物資を輸送するためには、海上輸送に頼らざるを得ません。しかし、海上自衛隊が保有する輸送艦艇は数が少ないうえに、艦艇の乗組員が慢性的に不足している状況が続いています。

 そこで、2018年12月に策定された「中期防衛力整備計画(平成31年度~令和5年度)」では、統合運用体制のもと、島嶼部への機動展開能力の強化を目的として、陸・海・空自衛隊の共同部隊を新編することが決定。これを受け、自衛隊海上輸送群が新編されました。

 そして、部隊新編に先立ち、陸上自衛官が「船乗り」になるため、さまざまな階級で志願者を集め、2019年から海上自衛隊の術科学校や「おおすみ」型輸送艦などで、艦艇の運航や機関の運転・整備、通信などに必要な知識・技能の修得が進められました。

 ちなみに、令和7年版防衛白書には「自衛隊海上輸送群は、陸自の装備品や部隊運用の知見を有する陸上自衛官と艦艇運用の知見を有する海上自衛官とが協力して運用」すると記載されています。

 しかし、陸上自衛官の「船乗り」育成は順調に進んでいることから、海上自衛官の比率は徐々に小さくなっています。「ようこう」の場合、現在の乗組員約40人のうち、海上自衛官は艦長と機関士の2名のみとのことです。

2026年度末には「第3海上輸送隊」新編

 海上輸送群が新編されたのは2025年3月24日付で、その2週間後の4月6日には編成完結式と輸送艦「にほんばれ」(基準排水量約2400トン)の引き渡し式が海上自衛隊呉基地で実施されたほか、5月30日には輸送艦「ようこう」の引き渡し式が行われました。「にほんばれ」は第2海上輸送隊に、「ようこう」は第1海上輸送隊に配備されました。

Large figure3 gallery9海上自衛隊横須賀基地の逸見岸壁に接岸した輸送艦「ようこう」(小林春彦撮影)

 そして、海上輸送群新編から約1年後の2026年3月23日、第2海上輸送隊が神戸市にある海上自衛隊阪神基地に移転。3月31日には「にほんばれ」型LCUの2番艦「あまつそら」と3番艦「あおぞら」が新たに配備されています。

 このように海上輸送群は順調に規模を拡充しており、2027年度までに「ようこう」型2隻、「にほんばれ」型4隻に加え、新たに輸送艇(MSV)として機動舟艇4隻が配備される予定です。

 また、JMU(ジャパン・マリン・ユナイテッド)で建造されるMSVの1番艇が2026年度末までに引き渡されるのに合わせて、第3海上輸送隊が奄美大島に新編される計画です。これに伴い人員も、発足時の約100人から2025年度末に約200人になっており、最終的には数百人規模に拡大する見通しです。

 ある意味で、自衛隊の統合運用を象徴するのが海上輸送群です。この部隊が今後、どのように発展していくのか、南西諸島方面の島嶼防衛を語るうえで、要注目と言えるでしょう。

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