店舗駐車場の「無断駐車したら罰金」看板　法的に有効？　もし支払い求められたら…弁護士が解説

　商業施設の中には、駐車場内に「無断駐車したら罰金を申し受けます」などと書かれた看板を設置している施設があります。このような内容の看板は法的に有効なのでしょうか。また、もしも罰金の旨を記載した看板が設置されている駐車場に無断で車を止めてしまい、施設側から罰金を支払うよう求められた場合、応じなければならないのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

高額な罰金の請求は法的に無効

Q.そもそも、無断駐車とはどのような行為を指すのでしょうか。無断駐車した場合の罰則の有無も含めて教えてください。

牧野さん「公道の駐車禁止区域に車を止めた場合、違法駐車と見なされ道路交通法違反で取り締まりの対象になります。その場合、反則金が科される可能性があります。

一方、『無断駐車』とは、私有地内で『私有地の所有者や管理者が承認していない駐車行為』を指すことになりますが、一般車両が入ることができる状態の私有地内に無断駐車した場合は、道路交通法違反による罰則の対象にはなりません。

しかし、柵などが設けられて入場を禁じられた駐車場に立ち入った場合には、『入ることを禁じた場所または他人の田畑に正当な理由がなくて入った者』として軽犯罪法違反で拘留または科料に処される可能性があります（軽犯罪法1条32号）」

Q.例えば、A店の隣にB店があると仮定します。駐車場がないB店を利用するために、A店の駐車場に車を止める行為も無断駐車に該当するのでしょうか。

牧野さん「『無断駐車』の意味が『駐車場の所有者や管理者が承認していない駐車』であるとすると、『駐車場がないB店を利用するために、A店の駐車場に車を止める行為』は、A店の駐車場の所有者や管理者が認めていない駐車になるため、無断駐車に該当すると思います」

Q.商業施設によっては、駐車場内に「無断駐車したら罰金」という内容の看板を設置していることがあります。この看板は法的に有効なのでしょうか。

牧野さん「駐車場によっては『無断駐車したら罰金■万円を申し受ける』という内容の看板が設置されていることがありますが、無断駐車の場合の罰金の旨を記載した看板を設置しただけでは、無断駐車の車両の持ち主がそれを見て高額の罰金に明確に同意したとは解釈できないため、看板の掲示だけでは『無断駐車の場合の罰金の契約』が成立していません。

さらに高額の『罰金』といった記載は、仮に契約が成立したとしても公序良俗違反で無効となる可能性が高いです。『罰金』は犯罪の刑罰として国家により科されるもので、私人が私人に対して科すべきものではないからです。従って、高額の罰金を一方的に定めても支払い義務はないでしょう」

Q.もし「無断駐車したら罰金」という看板を設置している駐車場に車を無断で止めてしまったとします。施設側から罰金の支払いを求められた場合、応じなければならないのでしょうか。

牧野さん「先述のように法外な罰金の場合、無断駐車時の罰金の旨を記載した看板を設置しただけでは、無断駐車の車両の持ち主が高額の罰金に同意したとは解釈できません。そのため看板の掲示だけでは契約が成立しておらず、仮に成立しても公序良俗違反で無効となる可能性が高いので、高額な罰金の支払い義務はないでしょう。

駐車場の所有者や管理者が無断駐車を防ぎたい場合、あらかじめ駐車時間に応じて料金を請求する仕組みを導入した方がよいと思います」

Q.「無断駐車したら罰金」と書かれた看板が法的に有効ではないにもかかわらず、なぜこのような看板を駐車場に設置している商業施設があるのでしょうか。考えられる理由について、教えてください。

牧野さん「高額な罰金の旨を掲示している場合は法的に有効とは言えませんが、商業施設を利用しないで無断で駐車する行為を防ぐ警告の意味で掲示されているものと考えられます」

オトナンサー編集部

実は損している？

ニュースを読んでポイントが貯まるサービスがあるのを知っていますか？ポイントサイトのECナビでは好きなニュースを読んでポイントを貯めることができるのです。（※ECナビはPeXの姉妹サイトです。）今日読んだニュースが実はお小遣いになるとしたら、ちょっと嬉しいですよね。

ポイントの貯め方はニュースを読む以外にも、アンケート回答や日々のネットショッピングなど多数あるので、好きな貯め方でOK！無料で登録できてすぐに利用できます。貯まったポイントはPeXを通じて現金やAmazonギフトカードなどに交換できます。

運営実績も15年以上！700万人以上の方がポイントを貯めています。毎日好きなニュースを読んでお小遣いを貯めてみませんか？

簡単無料登録はこちら