「SLぐんま」の窮地を救う“大物助っ人”出動へ!? SLの代わりは“SLしかない”のか? 故障に続く脱線で全列車運休の異常事態
- 乗りものニュース |

JR東日本の観光列車「SLぐんま」に使う蒸気機関車(SL)が脱線事故を起こし、2025年9~11月に予定していた全列車が運休する異常事態に追い込まれました。JR東日本幹部は難局を打開するため、“大物助っ人”の出動を検討していることを明らかにしました。
SL全列車運休で観光業にも打撃
群馬県に観光客を呼び込む目玉となってきた観光列車「SLぐんま」の蒸気機関車(SL)「D51形498号機」が2025年9月4日、みなかみ町の上越線で試運転中に脱線しました。ぐんま車両センターに所属するもう1両のSL「C61形20号機」も大宮総合車両センター(さいたま市)での大規模な検査に入っており、出動できるSLが不在の中で、25年9~11月に予定していた「SLぐんま」の全列車が運休しました。
D51形498号機。このときは「SLみなかみ」として上越線で運行(大塚圭一郎撮影)
SLぐんまが走る区間の沿線には、水上温泉(みなかみ町)や、磯部温泉(安中市)といった群馬県が誇る名湯が連なります。客寄せパンダとなってきたSL列車が秋の行楽シーズンに全面運休したことは、観光業にとっても打撃となりました。
筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長)がJR東日本幹部を取材したところ「脱線したD51は修理をする」と明言したうえで、急場しのぎのピンチヒッターとして“大物助っ人”の出動を検討していることを明らかにしました。
「バランス良く走れなくなっていた」?
試運転のため高崎から水上へ向かっていたD51と5両の12系客車は2025年9月4日午前11時45分ごろ、みなかみ町の上越線後閑―上牧間で脱線しました。試運転のため乗客はおらず、乗務員にもけがはありませんでした。
上越線の不通になった区間は翌5日13時50分に運転を再開。9月4、5両日で計39本の列車が区間運休し、計約4500人に影響が出ました。
事故原因は国土交通省の運輸安全委員会が調べていますが、JR東日本関係者は「D51の動輪を引きずったトラブルにより、バランス良く走れなくなっていたとの見方も出ている」と打ち明けました。
ピンチを乗り越えた矢先の事故だった
このトラブルとは、ディーゼルエンジンで発電した電気でモーターを回して走る電気式気動車GV-E197系を併用した一番列車となった2025年7月19日に、D51が故障したことです。高崎駅(高崎市)から信越本線横川駅(安中市)へ向かう快速「GV・SLぐんま横川」は先頭のGV-E197系が牽引し、3両の12系客車を挟んだ最後尾にD51をつなぎました。
電気機関車EF64形1031号機が代走した列車(大塚圭一郎撮影)
高崎を出発後、本来は回っていなければならない動輪が止まったまま引きずられたD51が故障しました。列車は1つ目の停車駅の安中(安中市)で運転を打ち切りました。
D51の故障により、トラブルが起きた翌日の2025年7月20日に高崎から横川へ向かった「GV・SLぐんま横川」と横川から高崎への「SL・GVぐんま横川」はD51の代わりにC61を連結。7月26、27両日と8月2、3両日に高崎―水上(みなかみ町)間を往復した「SLぐんま水上」もC61が牽引しました。
「代走」が人気 「俺」の役不足が露呈?
しかし、C61は検査周期が来たためSLが2両とも不在となり、夏休みのヤマ場となる8月9~11日の「山の日」の3連休に借りてきたのは新潟車両センター所属の電気機関車EF64形1031号機(1981年製)でした。
この機関車は引退した電車を引っ張って解体する工場などへ運ぶ役割を担ってきたため、鉄道ファンから「死神」の俗称を付けられた変わり種。話題性抜群の電気機関車の緊急登板を受けて客車はほぼ満席となり、沿線には大勢の「撮り鉄」が押しかけるSL顔負けの人気を見せつけました。
一方、SLの代わりにGV-E197系が牽引した「SLぐんま水上」は、客席がガラガラだったとされます。JR東日本は「SLを引くのは俺だ。」の標語とともにGV-E197系を紹介するポスターを駅構内に貼り出して売り込みましたが、SLをひくことができても“客引き”には力不足なのが露呈しました。
D51の復帰を急ぐべく「引きずられた動輪を、委託先の企業がお盆期間を返上して修理した」(関係者)とのことで、修理後の動輪を取り付けて2025年8月25日に試運転が始まりました。試運転が順調に進めば秋の行楽シーズンに間に合うとの期待感が出ていましたが、脱線事故を受けてもくろみが外れました。
「死神」に続いて招へい検討の“大物助っ人”とは
脱線事故を受け、JR東日本は万全の状態でD51を復帰させたい考えです。そのため幹部は、「死神」と呼ばれるEF64形1031号機に続き、新潟車両センターの“大物助っ人”を一時的に呼び寄せる「ウルトラC」を検討していると明らかにしました。
JR東日本が駅構内に貼り出した「SLを引くのは俺だ。」の標語とともにGV-E197系を紹介したポスター(大塚圭一郎撮影)
それは、磐越西線の新津(新潟市)―会津若松(福島県会津若松市)間を走る観光列車「SLばんえつ物語」を牽引しているSL「C57形180号機」です。
C57はスマートな外観から「貴婦人」の愛称を持ち、180号機は第二次世界大戦終了翌年の1946年に三菱重工業が製造しました。新潟機関区配属。69年いったん引退し、磐越西線の脇の新津第一小学校の前庭で静態保存されました。
しかし、動態保存してほしいとの地元住民らの強い熱意を受けて復元修理され、1999年4月に「SLばんえつ物語」の牽引機として現役復帰を遂げました。SL列車で国内最長の片道111kmを楽しめるコスパ抜群の列車として高い人気を誇ります。
ただし、「SLばんえつ物語」は冬期を除く土曜と祝日に運行しており、これは例年の「SLぐんま」の運転日と重なります。この点を幹部に尋ねると、「もしもC57を『SLぐんま』に使う場合には、『SLばんえつ物語』の運行日以外に代走させる」と解説しました。
D51の動向が不透明な中で、検討されている「SLぐんま」のC57代走案が現実になるかどうかは分かりません。ただ、「貴婦人」が上州路を駆ける日が来れば、観光客らが押し寄せる起爆剤になることは疑う余地がありません。
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