どうせ読むならポイント貯めない?

米債務上限問題、解決後が怖い「リーマンショック級の金融不安?」...エコノミストが指摘「米国債発行の津波が、銀行破綻のリスクを高める理由」

14,697 YOU
  • J-CAST ニュース
  • |
米国国旗
米国国旗

米国の国債が史上初めてデフォルト(債務不履行)に陥るのではないか、と心配された米債務上限問題。

2023年6月3日、バイデン大統領が上限の適用を停止する法案に署名、決着した。とりあえず、世界経済の大惨事は避けられたが、安心するのは早いようだ。

米国債新規発行の津波が市場に押し寄せ、金融不安を引き起こすリスクがあるという。いったい、どういうことか。米経済メディアとエコノミストのリポートから読み解くと――。

ウォール街「これほどの流動性縮小は、リーマン危機級」

米経済メディア「ブルームバーグ」(6月4日付)「1兆ドルの米国債の津波が流動性吸い上げへ―すべての資産クラスに影響」によると、債務上限問題の決着を受け、米財務省は新規国債を大量に発行する計画だ。発行額は7~9月末までに1兆ドルを超える可能性がある。

銀行にある預金がこの購入に充てられると、流動性が低下する見込みだ。だが、市場に準備ができていないため、これによる負の衝撃は、米債務上限をめぐる前回の株価暴落の危機(2011年)の後遺症をはるかに上回る恐れがあるという。

その理由として、ブルームバーグは、FRB(連邦準備制度理事会)の量的引き締め(QT)プログラムがすでに銀行の準備金を減少させているうえに、資産運用会社が景気後退に備えて現金を抱え込んでいるからだ、と指摘する。

つまり、金融機関には、大量の国債を購入する資金の余裕が不足しているわけだ。もし、銀行が買わない場合でも、一般の顧客が銀行預金から国債購入に資金を移すと、銀行の預金が一気に減り、混乱を引き起こす。

ブルームバーグは、ウォール街のアナリストたちの悲観的な見通しをこう伝える。

JPモルガン・チェースのストラテジスト、ニコラオス・パニギリツオグル氏「米国債の洪水がQTの影響に加わり、株式と債券を合わせた今年のパフォーマンスを約5%押し下げるだろう」「これほどの(流動性)縮小が見られるのは、リーマン危機のような重大な衝撃の時だけだ」
シティグループ・グローバル・マーケッツのグローバルマクロ戦略責任者、ダーク・ウィラー氏「銀行の準備金の縮小は常に逆風だ」

国債への投資増で銀行預金が減ると、人々は「銀行破綻」を意識する

日本のエコノミストはどう見ているのだろうか。

やはり、「むしろ債務上限問題の解決後に、市場の流動性不安が高まる恐れがある」と指摘するのは、大和総研ニューヨークリサーチセンター主任研究員(NY駐在)の矢作大祐氏だ。

矢作氏はリポート「政府債務上限問題の解決後は、流動性不安にご用心?」(6月2日付)のなかで、今後、予想される市場混乱のメカニズムを、米国の財政事情の仕組みから説き明かした。FRBのバランスシート(財務状況を表わす貸借対照表)の負債の構成を表わす【図表】を示しながら、こう説明した。

「(財務省の)新規国債発行が再開すれば、債務上限問題によって減少してきた政府預金は増加に転じると想定される。テクニカルな話にはなるが、政府預金はFRBの負債に計上されている。FRBは2022年6月よりバランスシートの縮小(QT)を進め、FRBの資産に計上される国債やMBSを減らしてきた」

ちなみに「MBS」とは、政府系住宅金融公社が元利支払いを保証した証券のこと。FRBは、日本銀行と同様に国債や公的証券を大量に買い込み、政府の財政を支えているわけだ。

ところが、現在、FRBは政策金利引き上げによる金融引締めと同時に、量的引き締め(QT)を通じて、FRB自身の負債を減らす作業を行なっている最中だ。ここで、もう一度、【図表】を見てみよう。

「QTの進展に沿って、FRBの負債で減少してきたのは主に政府預金である【図表】。一方、上述の通り、国債発行によって政府預金が増加するのであれば、QTに伴うFRBの負債の減少は、政府預金以外の項目になる」

政府預金以外の項目で、減少の対象としてクローズアップされているのが「準備預金」だ。「準備預金」が減少すると、大きなリスクとなる。

矢作氏はこう指摘する。

「問題は準備預金の減少が、銀行不安を一層意識させる可能性があることだ。通常であれば、国債への投資増による銀行預金の減少は大騒ぎとならない。しかし、3月以来の銀行の経営破綻が影を落とす中で、銀行預金の減少によって流動性への不安が強まれば、人々はさらなる銀行破綻を懸念するかもしれない」
「また、銀行預金の減少は銀行によるマーケットメイキング機能の低下につながり得る。そもそも、3月以来の銀行不安を背景に、銀行経営は保守化している。マーケットメイキングなどが一層抑制されれば、市場の流動性不安が強まる可能性がある」
「銀行や市場における流動性への不安を未然に防ぐのであれば、QTのペース調整や停止が有益であろう。しかし、高インフレが懸案であるなかで、FRBもQTのペース調整や停止を決断することは難しいかもしれない。政府債務上限問題の解決後は、流動性不安にご用心である」

米政府の大幅な支出削減が、景気後退のリスクを高める

もう1つ、米政府の大幅な支出削減の面から、債務上限問題解決後の景気後退に懸念を示すのが、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。

木内氏のリポート「米下院が債務上限法案を可決し上院に送付:歳出抑制は米国景気後退リスクを高めるか」(6月1日付)によると、可決された債務上限法の削減内容は、「2024年度から2033年度の10年間に裁量的歳出は1兆3318億ドル抑制される」というものだった。

そこから、米経済に与える影響をこう試算した。

「この場合、裁量的歳出抑制のGDP押し下げ額は8434億ドルとなる。これは年間名目GDPの3.31%となる。2024年度、つまり2023年10月から裁量的歳出抑制が始められると、初年度の成長率は0.33%押し下げられる計算だ」
「これだけで米国経済が一気に悪化するわけではないが、大幅利上げ、銀行の貸出抑制によって強い逆風を受けている米国経済が、今年後半から来年初めにかけて景気後退に陥る確率を高めることに寄与するだろう」

ただし、必ずしもマイナスばかりではない。

「他方、米国は引き続き物価高騰に見舞われている。現時点では、FRBの金融引き締めによって物価の安定回復が図られている状況だ。しかし、バイデン政権の積極財政が物価高騰の一因であるとすれば、緊縮的な財政政策によって、物価安定回復に向けた金融政策の負担を一部引き受けることは、正しいポリシーミックスとも言えるのではないか」
「金融引き締めだけに頼る物価高対策には、行き過ぎた金融引き締めが経済を抑制するだけでなく、金融市場の大きな調整を引き起こし、金融不安の引き金となってしまうリスクがあるからだ」

(福田和郎)

実は損している?

ニュースを読んでポイントが貯まるサービスがあるのを知っていますか?ポイントサイトのECナビでは好きなニュースを読んでポイントを貯めることができるのです。(※ECナビはPeXの姉妹サイトです。)今日読んだニュースが実はお小遣いになるとしたら、ちょっと嬉しいですよね。

ポイントの貯め方はニュースを読む以外にも、アンケート回答や日々のネットショッピングなど多数あるので、好きな貯め方でOK!無料で登録できてすぐに利用できます。貯まったポイントはPeXを通じて現金やAmazonギフトカードなどに交換できます。

運営実績も15年以上!700万人以上の方がポイントを貯めています。毎日好きなニュースを読んでお小遣いを貯めてみませんか?

YOUの気持ち聞かせてよ!

いいね いいね
ムカムカ ムカムカ
悲しい 悲しい
ふ〜ん ふ〜ん
NEWS一覧へ
PeXポイントで賞品を当てよう!

ポイント ポイント獲得の流れ

ポイント獲得の流れ

ポイント ルール・注意事項

ポイント獲得!!