実は自沈!? ドイツ戦艦「ビスマルク」鉄スクラップの山となっても浮いていた強さのヒミツ
- 乗りものニュース |

第2次世界大戦中の1941(昭和16)年5月27日にイギリス軍艦との海戦で沈んだドイツ戦艦「ビスマルク」。敵艦の攻撃で沈んだのではなく、一説では自ら没したとも。そういわれる理由に驚異の防御力が関係していました。
戦艦「ビスマルク」の設計の原点は第1次大戦にあり
ドイツは地政学上「大陸国家」であるため、長らく「陸軍大国」でした。しかし19世紀後半に至ると、仮想敵国のひとつであるイギリスの強大な海軍力に対抗すべく、その増強に着手し始めます。その結果、第1次世界大戦の勃発時(1914年)には、当時、世界最大だったイギリスの「グランドフリート(大艦隊)」に次ぐ規模を誇る「ホーホゼーフロッテ(大海艦隊)」を擁し、イギリスに対抗できる海軍力を持つほどになっていました。
しかし、ドイツは第1次世界大戦に敗れ、イギリスやフランス、アメリカなどの戦勝国が策定したヴェルサイユ条約によって、敗戦国としてあらゆる兵器の保有について制限されてしまいます。その反動ゆえに、1935(昭和10)年3月16日、ヒトラーが同条約を破棄し、再軍備を宣言すると、ドイツは急速に兵器の増産を開始したのです。
真正面から見たドイツ戦艦「ビスマルク」の上部構造物(画像:アメリカ海軍)。
軍備拡充を推し進めるドイツのなかで、海軍力の目玉となったのがビスマルク級戦艦の2隻、ネームシップの「ビスマルク」と2番艦の「ティルピッツ」です。
新時代の戦艦の設計に際して、ドイツ海軍は、第1次世界大戦時のバイエルン級戦艦をタイプシップ(模範)としました。特に装甲防御に関しては、ビスマルク級はバイエルン級譲りの、旧式な全体防御方式で造られました。しかし、なぜそうしたのでしょうか?
「古いか新しいか」ではなく「使えるか使えないか」
1930年代当時、すでに日米英など主要国の戦艦では、「バイタルパート」と呼ばれる艦の重要部分を集中的に防御する方式が採用されていたため、艦船研究者のなかにはビスマルク級の設計を旧式と断ずる人もいます。
確かにビスマルク級戦艦の設計が古い手法だったのは事実ですが、兵器の場合、もっとも重要なのは「旧式か新式か」であることよりも、「実戦で使えたか使えなかったか」ではないでしょうか。
1939年の進水直前の「ビスマルク」(画像:アメリカ海軍)。
そもそも、ビスマルク級戦艦の原型となったバイエルン級戦艦が就役した第1次世界大戦時、敵であるイギリス海軍は、戦艦と同格の主砲を搭載しつつも装甲防御力を戦艦より削減し、代わりに高速性を追求して、「分厚い装甲防御に代えて逃げ足の速さ」を防御の主軸に据えた巡洋戦艦を開発しました。
これを知ったドイツ海軍も、早速、対抗馬となる巡洋戦艦を建造します。とはいえ、同海軍がイギリス海軍と違っていたのは、「軍艦は浮いている限り、敵に対する脅威(戦力)となり得る」という、「近代ドイツ海軍の父」とも称されるフリードリヒ・フォン・ティルピッツ海軍大臣の教えを、軽装甲であるべき巡洋戦艦にも反映させて、相応の防御装甲を施したことでした。
その結果、第1次世界大戦における最大の海戦とされるユトランド沖海戦において、ドイツ海軍の手ひどくやられた巡洋戦艦2隻は、敵の攻撃が直接の原因で沈むことはありませんでした。1隻については、浮き続けてはいたのですが戦況により帰還不能と見なされ味方の手で処分されましたが、もう1隻は、喫水線がほとんど沈んで上甲板が波で洗われるような状態になりながらも、生還を果たしたのです。対してイギリス海軍は、巡洋戦艦3隻が、弾火薬庫の防御扉を開放したままで戦闘行動をとっていた、などという問題点もあったとはいえ、いずれも轟沈(瞬時に沈没)しています。
上述した帰還不能で味方に処分されたドイツ巡洋戦艦1隻も、戦闘海域の周辺にいたイギリス艦艇の攻撃に晒されることを考慮しての処分であり、そのような危険性がなければ、味方艦艇による曳航で帰還できたと考えられます。
1隻対4隻の死闘の末
このように、ドイツの戦艦および巡洋戦艦の防御力には、同海軍ならではの優れたダメージ・コントロール技術とともに、旧式ながら全体防御方式のメリットがあったのは事実です。
では古いとはいえ、そのようなドイツ海軍流の「沈みにくい設計」、すなわちバイエルン級譲りの全体防御方式を受け継いだ戦艦「ビスマルク」の、第2次世界大戦における戦例はどうだったのでしょう。
1941(昭和16)年5月27日、「ビスマルク」は、単艦での行動中にイギリス戦艦「ロドニー」と「キング・ジョージV世」、重巡洋艦「ノーフォーク」および「ドーセットシャー」に捕捉され、たった1隻で戦艦2隻、重巡2隻と死闘を繰り広げました。
敵艦の集中砲火を受け、「ビスマルク」は主砲塔や副砲塔が被弾で使用不能となったほか、艦橋をふくむ上部構造物にも多数の弾を受け、戦闘能力を喪失しました。しかし、きわめて簡単な理屈「お風呂に浮かせた洗面器は水面下に孔を開けて水を入れない限り沈まない」のたとえのごとく、水面下の損傷がわずかだった同艦は沈みません。
そこでイギリス側は、被弾が重なって“浮かぶスクラップの山”と化した「ビスマルク」に、魚雷攻撃を加えてとどめを刺したと発表しました。これに対して、主にドイツ側の一部では、「ビスマルク」は艦底に備えられた自沈弁(キングストン弁)を開放して自沈した、という主張もされています。
真実は不明であるものの、そこまでやられても沈まなかった「ビスマルク」は、たとえ設計が「古かった」としても「使えた」戦艦であったことは間違いないのではないでしょうか。
このように「ビスマルク」を見てみると、前述のとおり兵器はスペックなど二の次で、最も重要なのは「実戦で使えたか使えなかったか」だということだといえるのです。
なお、昨今の研究では、イギリス側が主張する「とどめの雷撃」とドイツ側が主張する「自沈弁の開放」、この両方がなされたという説が有力のようです。
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