意外と知られていない「睡眠導入剤」「睡眠改善薬」の違いとは? 薬剤師に聞く“服用時の注意点”
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近年、不眠症状に悩んでいる人は増加傾向にあるといわれています。医療機関から処方された睡眠薬を飲んでいる人もいるのではないでしょうか。
ところで、睡眠を促す薬として睡眠導入剤と睡眠改善薬がありますが、SNS上では「睡眠導入剤と睡眠改善薬の違いが分からない」という内容の声が上がっています。これらは何が違うのでしょうか。薬の効果の違いや薬の服用時の注意点などについて、薬剤師の真部眞澄さんに聞きました。
睡眠改善薬を服用しても効果がない場合は受診を推奨
Q.「睡眠薬」「睡眠導入剤」「睡眠改善薬」の違いについて、教えてください。
真部さん「睡眠薬というのは、人に対して処方される睡眠に関する薬の総称で、その中に睡眠導入剤(入眠剤)という分類があります。これらは全て医者が処方する医療用医薬品です。
薬は作用の長さによって分類されており、不眠の原因に応じて処方されます。基本的には日常的な不眠を対象としており、マイスリー(一般名はゾルピデム)、ハルシオン(一般名はトリアゾラム)、ルネスタ(一般名はエスゾピクロン)などが有名です。
睡眠障害はなかなか寝付けない入眠困難タイプや、途中で起きて眠れなくなる中途覚醒タイプ、朝早く起きてそのあと眠れなくなる早期覚醒タイプなどがあり、それに応じて薬も異なります。睡眠導入剤は入眠剤とも言い、睡眠薬とほぼ同義語だと思って構いません。寝付きを良くすることに焦点を当てている薬なので、眠り始めが難しいという人向けに、作用が早く、短期間で代謝されて朝スッキリするタイプの睡眠導入剤が処方されるのです。
一方、ドラッグストアや薬局で販売されているドリエルやネオディなどの睡眠改善薬は、旅行先だと眠れない人やストレスがかかっている人、時差ボケなどの環境変化があった人に適しています。主成分は抗ヒスタミン成分で、眠気を引き起こす副作用をあえて活用している薬なので、効果が緩やかです。市販されているのは睡眠改善薬のみで、睡眠薬や睡眠導入剤は医師による診察と処方箋が必要な薬となっています」
Q.睡眠改善薬を飲んでも効果がない場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。その場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
真部さん「睡眠改善薬を飲んでもなかなか効かない場合、考えられる原因はストレスや不安、うつのような心因性や、慢性的な生活習慣の乱れ、夜勤や時差ボケによる体内リズムの乱れなどです。さらに、カフェインやアルコールをたくさん摂取する人、寝る前にスマホを使う時間が長い人なども、睡眠改善薬がなかなか効かないという話をよく耳にします。このほか、更年期障害や甲状腺異常、うつ病などからきている不眠も効果が出にくいでしょう。
対処方法として、まずは寝る前のスマホの操作や飲酒、カフェインの摂取を避けるといった生活習慣の見直しをしてください。それでもなかなか寝られず、睡眠改善薬を飲んでも効果がない不眠の状態が1週間以上続いたり、日中の眠気や疲労感が強かったりする場合は、ぜひ精神科や心療内科、睡眠外来などの医療機関を受診するのをお勧めします。効果が出ないのに睡眠改善薬を飲み続けるということは避けてください。
また、専門家による治療やカウンセリングによる認知行動療法といった薬を使わない方法もあるので、必要に応じて利用していただけたらと思います」
Q.ちなみに、医療機関で睡眠薬や睡眠導入剤を処方された場合、比較的長期間服用し続けることが多いのでしょうか。その場合、副作用の恐れはないのでしょうか。
真部さん「使用期限については、必要最小限の期間で使用していただくというのが原則となります。慢性的な不眠の人も、医師と相談しながら段階的に薬を減らしていくのが理想です。
しかし、慢性的な不眠の場合、長期的に薬を服用する人が多くなっています。その場合の副作用の出方は個人差がありますが、特に心配なのが依存性です。ベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系は、特に脳のGABAという物質に直接作用するので、効き目が強い分、依存性が出やすくなってしまいます。他にも、翌朝の眠気や集中力低下、頭痛、めまい、不安感、肝機能障害などの影響が出ることもあるかもしれません。また、特に高齢者の場合はふらつきや転倒のリスクも高まります。
さらに、ベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系の薬は将来的に認知機能にも影響が出る可能性があるため、高齢者の人にはあまりお勧めできないかもしれません。服薬をやめるときも注意が必要で、医師の指示に従って少しずつ減薬しないと、反跳性不眠や離脱症状が起こるケースがあります。反跳性不眠は不眠が治って薬をやめたときに、不眠に逆戻りしてしまう症状です。せっかく治ったのにぶり返すことのないよう、必ず医師の指導のもとで減らしましょう。
ちなみに、よく睡眠で悩んでいる高齢者の人で、非がついているから非ベンゾジアゼピン系は良いものだと思っている人がいらっしゃいますが、非ベンゾジアゼピン系はベンゾジアゼピン系の副作用が強いところを改良した薬であり、両方ともGABAに直接作用します。必ず医師の指導のもとで、用法、用量を守って服用しましょう。
現在はロゼレムやベルソムラ、デエビゴといった、メラトニン受容体作動薬やオレキシン受容体拮抗薬などの依存性の心配がほとんどない処方薬も出ており、特に不眠に悩む若い人などには、将来のことも考えた第1段階としてベルソムラなどが処方されることが多いです。睡眠薬は多くの種類があるので、ぜひ医師と相談して飲んでほしいと思います」
オトナンサー編集部
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