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「追越車線に出てきて延々通せんぼ」トラックだって焦ってる? トラック側の言い分とは

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トラックは追越車線に出てこないでほしい…

 高速道路の追越車線を80km/h程度で走行をする大型トラック。後続車両がプチ渋滞を起こしていて、「早くどいてくれないかな」とイライラしたことがある方も少なくはずです。しかし、当の大型トラックはなかなか走行車線に戻ってくれません。

Large figure1 gallery11 追越車線を走り続ける大型トラック(画像:写真AC)

 一方、トラックドライバーの立場に立ってみれば、走行車線に早く戻りたくても、様々な要因が重なりなかなか戻れず、むしろ焦っている……ということもありそうです。それでは、「大型トラックが走行車線になかなか戻れない」事情とは、一体どのようなものが考えられるでしょうか。

 元大型トラックドライバーの交通心理士で、近畿大学・理工学部の島崎敢准教授は、「大型トラックが走行車線になかなか戻れない」理由について、こう解説します。

「高速道路におけるトラックの法定速度は90km/hに定められています。そして、トラックには『タコグラフ』という速度を記録する装置がついていて、所属会社は安全管理のためにチェックしています。

 この『タコグラフ』によって速度オーバーが見つかると、ドライバーは会社から怒られ場合によっては減給などのペナルティを課されるところもあります。さらに、『タコグラフ』の記録は監督官庁からの抜き打ち検査もあり、速度オーバーがあると会社も国土交通省から指導を受けるので、ドライバーはみんな速度管理に非常に気を使っています。

 ただし、この『気の使い方』は会社やドライバーによって微妙に異なり『90km/hギリギリまでOK』という考えもあれば、『安全優先で85km/hにしておこう』という考えもあります。さらに『90km/h』は最近改正された速度なので、改正前の『80km/h』を独自で維持しようという会社もあります。ドライバー自身も、過去に速度違反をした経験から『もう絶対超えないようにクルーズコントロールを88km/hにセットする』など、細かく意識しています。

 こういった事情から、仮に走行車線を走る車の車間が空いても、スピードを出すことができず、結果的に走行車線になかなか戻ることができない、ということはかなりあると思います。

 乗用車なら、そこだけアクセルを踏んでスッと走行車線に戻ることもできますが、トラックにはそれができないというわけです。もちろん、多くのトラックドライバーは後ろからやってきた乗用車などに追いつかれて『ごめーん』と思っているはずですが、ペナルティを課されるわけでにもいかず、法定速度内ギリギリで走らざるを得ない事情があるのです」(島崎准教授)

だから「走行車線に戻れない」

 また、追越車線に大型トラックが入った直後、坂道に差しかかったりして、やむを得ず減速し、なかなか走行車線に戻れず後続車に迷惑をかけるケースもあると島崎准教授は言います。

Large figure2 gallery12 制限速度を超えられないものの、少しでも早く目的地に着きたいのはトラックドライバーに共通する思いのようだ(画像:写真AC)。

「追越車線に入った直後、たまたま登りの坂道になった場合、トラックの荷物が満載だったりするとパワーが足りなくなり、微妙に数キロ分の速度ダウンを起こすこともあります。

 一方、走行車線のトラックもたまたま同じ速度で走っていて、いつまで経っても並走状態が続いて、走行車線に戻れないという状況に陥ることがあります。多くのドライバーが心の中で『しまった』と思っているものですが……」(島崎准教授)

 ここまでの島崎准教授の解説をまとめると、大型トラックが追越車線に入ったものの走行車線になかなか戻れなくなる理由としては、「タコグラフ」と大型トラック特有の重量などの事情があるということです。

 最後に、島崎准教授は自身の経験も含めてこう結んでくれました。

「そもそも、『前方を走るクルマとの速度差がわずかなら、無理して追越車線に入って追い抜かなくてもいいじゃないか』と思われる方もいるかもしれませんが、高速道路を利用する大型トラックの多くは長い距離を走り続けるものです。

 例えば、速度差が3km/hでも5時間走ったら、15kmもの差になってしまいます。そうすると到着時間が10分以上変わります。自分もそうでしたが、だからこそドライバーは許されるギリギリ速い速度で走りたいものなのです。こうした事情でなかなか走行車線に戻れないことがあるわけですが、どうか温かく見守っていただければ嬉しいです」(島崎准教授)

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