空自「最新鋭戦闘機」がまさかの納入遅延 実は世界中で!? 背景にある“根深い問題”とは
- 乗りものニュース |
2025年1月10日、防衛省は航空自衛隊に配備予定のF-35A/B戦闘機について、いずれも納入が遅れる見込みであると発表しました。背景には同機のソフトウェア開発の遅延があるといいますが、じつはそれ以外にも防衛産業を巡る大きな問題が見えてきました。
最新鋭戦闘機が納入遅延に
防衛省は2025年1月10日、2024年度中に航空自衛隊への配備が予定されていたF-35B戦闘機 6機について、納入時期が2025年度(2025年4月以降)にずれ込むことを明らかにしました。
航空自衛隊が運用予定のステルス戦闘機F-35B(画像:海上自衛隊)。
また、1月18日付の産経新聞は複数の政府関係者の話として、2024年度中に航空自衛隊への配備が予定されていたF-35A戦闘機3機についても、納入時期が2025年度にずれ込むと報じています。
防衛省はF-35Bの納入遅延の理由について「ソフトウェアの開発遅延のため」と説明しており、産経新聞もF-35Aの納入遅延について同様の理由であると報じています。
F-35は、従来の戦闘機と同じようなハードウェアの更新に加えて、ソフトウェアの更新も行うことで段階的に能力が向上しています。現在アメリカでは「TR-3」(技術リフレッシュ3)と呼ばれるソフトウェアと、その実装を前提としたブロック4仕様機の開発が進められています。
しかし海外メディアによると、ブロック4仕様機のハードウェアの構成要素がなかなか決まらず、TR-3ソフトウェアを実装できない状態になっていることが、日本のみならず他の導入国でもF-35の納入遅延が発生している原因であると報じられています。そこで、暫定的に訓練モードのソフトウェアのみを実装した状態で出荷し、後で完全版にバージョンアップする方向で調整が進められているという報道もあります。
中谷 元防衛大臣は、F-35Bの納入遅延で大きな影響は生じないと述べています。しかし、アメリカのGAO(会計検査院)はF-35のバージョンアップには1年を要する可能性があると指摘しており、F-35の納入遅延が日本や他の導入国の防衛に及ぼす影響は、決して小さくはないと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。
ロシアのウクライナ侵攻やイスラエル情勢などの影響から、アメリカ製防衛装備品の需要は大きく高まっていますが、アメリカの防衛産業はその需要に応えるだけの供給が出来ておらず、F-35のみならず他の防衛装備品にも納入遅延が発生しています。
日本で生産するミサイルも「部品が来ない」
F-35の納入遅延は技術的な部分によるところも大きいのでしょうが、技術的な問題によるものではない遅延の一例として2025 年1月9日付のブルームバーグが報じているのが「PAC-3」地対空ミサイルについてです。
2024年12月、大阪に行くため東海道新幹線に乗り込むエマニュエル駐日大使(当時)。このときは59回目の乗車(画像:ラーム・エマニュエル駐日米国大使の公式Twitter〈@USAmbJapan〉より引用)。
このミサイルはアメリカ側からの要望で三菱重工業がライセンス生産を行う予定ですが、アメリカ企業からの部品供給の遅れにより、生産計画が未達成になっているといいます。
同日付のブルームバーグは、アメリカの大手防衛企業が生産設備の拡充よりも株価の上昇を目的とする自社株式の購入に資金を投入していることが、アメリカ製防衛装備品の納入遅延につながっており、アメリカ政府の高官から批判の声が相次いでいる――とも報じています。
さらに、アメリカ製防衛装備品の納入遅延は、アメリカと同盟国・友好国との関係にも影を落としているようです。
ブルームバーグは約3年に渡る任期を終えて、離任したラーム・エマニュエル前駐日大使へのインタビューを行っています。ここでエマニュエル氏は、アメリカ製防衛装備品の納入遅延について、アメリカの安全保障と抑止の信頼性にとって「中国より大きなリスクだ」と述べ、アメリカ大手防衛企業の経営姿勢を批判しています。
納入遅延、真の問題はドコ!?
エマニュエル氏が批判した、アメリカの大手防衛企業の経営姿勢もアメリカ製防衛装備品の納入遅延の大きな原因だと筆者は思いますが、防衛装備品だけではなく、数年前から工業製品全般で発生しているサプライチェーンの世界的混乱も一因なのではないかと思います。
海上自衛隊が運用するUS-2(画像:海上自衛隊)。
サプライチェーンとは、原材料の調達から生産、流通、販売に至るまでの流れを指す経営用語です。工業製品のサプライチェーン混乱の原因は、新型コロナウィルスの世界的流行や輸送力の不足など複合的なものですが、防衛装備品に限っていえば、部品やコンポーネントなどを製造する下請け企業の不足が大きな原因のひとつと考えられます。
たとえば、海上自衛隊の運用しているUS-2救難飛行艇は、胴体と翼部を供給していた下請け業者の三菱重工業と川崎重工業がUS-2のコンポーネント製造から撤退したため、2024年8月に退役した機体の部品を再利用するなどして、どうにか令和7年度予算案に1機の調達費を計上できたというのが現状です。
防衛省もこの問題を深刻に受け止めており、令和7年度予算案に供給源の多様化や、安定調達が可能な部品への切替えのための研究開発費などとして6億円を計上しています。
どれだけ優れた技術があったとしても、それを形にできる製造基盤が無ければ無意味ですから、この種の政策により注力していく必要があると筆者は思います。
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