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「100歳超えSL」ついにラストランへ 煤だらけの整備に密着 “本調じゃない”と語るワケは

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  • 乗りものニュース
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「SL人吉」の牽引機として使われる「ハチロク」こと8620形蒸気機関車58654号機が、ラストランを前に3日間の交番検査を受けました。すでに製造から100年以上が経過し老朽化も目立ちますが、作業員は真っ黒になりながら整備を行いました。

初配属は長崎の浦上機関区

「SL人吉」を牽引する8620形蒸気機関車58654号機。2024年3月23日(土)に博多~熊本間でラストランを行い、翌24日(日)の熊本発 八代行きをもって運行を終了します。およそ1か月前となる2月20日から22日にかけて最後となる交番検査が行われ、初日にはその様子が報道公開されました。

Large 240222 slgh 01「SL人吉」の先頭に立つ8620形蒸気機関車58654号機(画像:JR九州)。

 熊本駅の南寄りにある熊本車両センターでは、所属する電車、気動車、ディーゼル機関車などの点検整備を行っていますが、58654号機はこのたび火を落とし、40日に1度の検査を受けたのです。

 58654号機は、1922(大正11)年11月18日に日立製作所笠戸工場で製造され、長崎の浦上機関区に配置。その後は九州内を転属し、1968(昭和43)年に人吉機関区へ配属されました。国鉄湯前線(現・くま川鉄道)の貨物列車牽引に使用され1975(昭和50)年3月に廃車となると、国鉄肥薩線の矢岳駅脇にある「矢岳鉄道館」(熊本県人吉市)に静態保存されました。

 1988(昭和63)年6月に「SLあそBOY」牽引のために車籍復活しましたが、台枠に歪みが見つかり、2005(平成17)年8月に運行を停止。その後2009(平成21)年9月に「SL人吉」として2度目の復活を遂げたものの、2020年7月の水害でJR肥薩線の八代~吉松間が不通となり、以後はJR鹿児島本線の熊本~鳥栖間で運行されていました。しかし車両の老朽化や部品調達、メンテナンス技術スタッフの確保が難しいという理由で、とうとう運行を終えることになりました。

最後の1年は「ぶっ通し」 58654号機

 今回、最後の交番検査で整備を担当したのはJR九州エンジニアリングのスタッフ6名で、煤と油で汚れながらも最後の整備を行いました。

 例年SLの運行は3月から11月にかけて行われ、運行後は翌年の3月まで小倉総合車両センター(北九州市小倉北区)で分解・整備されていましたが、今年度はそれを省略して3月まで丸1年を連続で運行。このためSLは蒸気漏れを起こし、本調子ではないということでした。

Large 240222 slgh 02熊本車両センター内の58654号機(2024年2月20日、乗りものニュース編集部撮影)。

 検査初日に行われた作業は、分解したボイラー関係の弁圧縮機の整備・点検、ボイラー内などの検査、車輪やその周辺のボルトを検査ハンマーで叩いて異常がないかを調べる足回りの検査など。またボイラー内部にある溶栓という鉛の栓を抜くために、2人の若い整備士が真っ黒になりながら、ボイラー内部から出てくるシーンも見られました。

 交番検査を終えた58654号機。残り1か月を元気に最後まで走りきってくれることでしょう。

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