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1日たったの1往復! JR九州の「激レア短距離特急」に乗ってみた 豪華な内装、でも料金はお得です

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  • 乗りものニュース
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博多~直方間で1日1往復だけ運行される特急「かいおう」。名称は直方市出身の大相撲力士「魁皇」関にちなんでおり、存命中の人物に由来する列車名としては唯一です。運行は早朝と深夜なので、狙って乗車しないといけません。

2011年に引退した魁皇関にちなむ

 JR九州の博多~黒崎間を結ぶ福北ゆたか線。この路線名は、鹿児島本線、篠栗線、筑豊本線の一部に付けられた愛称で、正式名ではありませんが、2001(平成13)年より使われ定着しています。

Large figure1 gallery22博多駅に停車する特急「かいおう」(安藤昌季撮影)

 福北ゆたか線と呼ばれるようになったのは、上記の区間が電化されて一体化されたからです。この電化と時を同じくして、博多~直方間で誕生した特急が「かいおう」です。「かいおう」という列車名は、福岡県直方(のうがた)市出身の大相撲力士である魁皇博之関に由来しますが、その命名は極めて異例なものした。なぜなら、国鉄・JRで唯一、存命中の人物が由来であるうえ、2001年の運行開始時には現役力士でもあったからです。

 魁皇関は2011(平成23)年に引退しましたが、それ以降も特急「かいおう」の列車名は変更されずに現在に至ります。当初は787系電車の4両編成で1往復の運行でしたが、2003(平成15)年に6両編成と長大化し、2005(平成17)年には2往復に増えています。

 2011(平成23)年からは早朝の「かいおう1号」を、土休日のみ9時台の「かいおう5号」に差し替える変則的なダイヤが組まれた時期もありました。この時期には783系電車も使われています。

 2020年の新型コロナ禍では減便され、当面2・3号のみの運行とされますが、2021年のダイヤ改正で正式に1往復となったほか、使用車両も787系から783系4両編成に短くなりました。

デラックスグリーン連結など豪華な編成

 ところが2022年に、使用車両が787系6両編成に戻りました。コロナ禍が明け需要が回復したためか、2003~2005年のスタイルに戻ったのです。そこで現状を確かるべく、筆者(安藤昌季:乗りものライター)は2025年2月、特急「かいおう」へ乗車しました。

Large figure2 gallery23787系電車のグリーン車(安藤昌季撮影)

 博多発「かいおう2号」は、7番線から21時37分に発車します。ここは福北ゆたか線用のホームであり、通勤客で混雑していました。発着する特急は「かいおう」1往復だけ。ほかに何の特急表記もないので、足元の「かいおう」乗車口が目立ちます。

 787系6両編成は21時24分に入線してきました。デラックスグリーン席、グリーン席、グリーン個室を備えた豪華編成です。「かいおう」では、グリーン個室は販売していませんが、デラックスグリーンは予約できます。なお、普通車は全車自由席なので、指定席が設けられているのはグリーン車だけです。

 博多~直方間は47.4kmあり、本来は25kmまで500円、50kmまで750円の自由席特急料金が適用される区間ですが、「かいおう」は特例で、全区間乗車しても500円。グリーン料金も本来は特急料金+1300円の区間ですが、こちらも特例で500円と格安です。ただし、デラックスグリーンだけは2080円の通常料金となります。

 筆者はデラックスグリーンを予約しました。車内に入ると、販売されていないグリーン個室の扉が開いたままでした。途中で車掌が閉めていたので「閉じている」のが基本なのでしょう。

各駅での利用状況は

 出発直前に車内を巡ると、通常のグリーン車には3人、普通車5両には各車両15人程度が乗っていました。デラックスグリーンに座ると、リクライニング時に軋み音が。この設備は登場から20年なので無理もありません。ただし、運行開始から33年を経ても古いと感じさせない787系のデザインには、改めて感心させられました。とはいえ、その間にも普通車の肘掛けのテーブルが撤去されているなどわずかな変化はありますが。

Large figure3 gallery24終点の直方駅まで約47kmを50分で結ぶ(安藤昌季撮影)

 さて、「行き違い電車が遅れているので、かいおう2号の出発も遅くなる」旨の案内があり、発車は4分遅れの21時41分でした。

 21時45分、隣の吉塚駅に到着。2人が乗車してきました。ここからは22時5分着の桂川駅まで9駅連続で通過しますが、行き違いの関係か、あまり速度が出ません。

 4分遅れのまま22時9分、桂川駅に到着。30人以上が下車しました。わずか28分の乗車時間でも大きな需要があるのだなと感じます。22時15分、2分遅れで飯塚駅に到着。ここでも14人程度が下車しました。

 車内はがら空きになりつつも、22時18分に隣の新飯塚駅に到着。普通車から20人程度、グリーン車からも2人が降りました。結局、2分遅れは変わらず、22時31分に終点の直方駅へと到着。下車したのはグリーン車1人、普通車19人でした。下車客の大半は接続する普通列車の折尾行きには目もくれず、改札口へ急いでいました。

 特急「かいおう」は、博多→門司港方面の特急「きらめき」のような混雑はないものの、車内で休んでいる人も多く、常連客を掴んでいるように感じました。コロナ禍の利用減から順調に回復すれば、もしかしたら2往復運行に戻る日も遠くないかもしれません。

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