甘く見てはいけない「猫背」　体調不良の原因に　整形外科医が教える症状＆改善のヒント

「猫背は体に悪い」といわれており、幼いときから姿勢を正すよう、親からしつけられた人は多いと思います。そもそも、猫背はどのような症状を引き起こすのでしょうか。猫背を自力で治すことは可能なのでしょうか。整形外科医の長田夏哉さんに、教えていただきました。

内臓が圧迫されて呼吸が浅くなる

Q.そもそも、「猫背」とはどのような状態なのでしょうか。猫背かどうかをチェックする方法はありますか。

長田さん「人間の背骨は、もともと頭や体を支える負担を減らすためにS字のカーブを描いています。しかし、猫背になるとS字カーブが崩れ、極端に背中が丸まってしまうような形が維持されてしまいます。これが『猫背』と呼ばれる姿勢ですね。猫背は首や肩、背中、胸などの筋力が低下して起きるケースと、デスクワークやスマホの長期使用などの生活習慣によって起きるケースが考えられます。

よく紹介される猫背の簡単なチェック方法は、まず壁に背を向けて立ち、そのままの姿勢を維持して壁に触れるまで下がります。このとき、お尻や背中は壁についているのに、頭やかかとが壁につかなかった場合は、猫背やストレートネックの可能性が高いと言えるでしょう」

Q.猫背になると、体にどのような症状が生じるのでしょうか。

長田さん「背骨のS字カーブが崩れると、体を支える負担を分散できなくなったり、数キロある頭を支える負担が増加したりします。すると、体のあちこちに痛みやこりなどの不調が現れる可能性がありますね。

具体的には、肩こりや首こり、ストレートネックなど、首や肩に症状が現れます。また、腰痛が生じるなど、トラブルが腰に広がることもあります。

肩が内側に入り込んでしまう巻き肩は猫背の人に多い症状ですが、内臓が圧迫されてしまうために呼吸が浅くなり、疲労を感じやすくなってしまうケースがあります。

このように、姿勢の不良は体にとって大きな負担となり、気付かないうちに体に不調を来すようになるでしょう」

Q.自力で猫背を治すのは難しいのでしょうか。医療機関を受診する目安はありますか。

長田さん「自力で猫背を治すのはなかなか難しいですが、『正しい姿勢』を意識することは非常に重要です。最初は無意識に楽な姿勢に戻ってしまいがちなのですが、意識づけることが習慣化されると、少しずつ背筋を伸ばす姿勢を保ちやすくなると思います。

ただし、すでに痛みやこりなどがひどく、日常生活に影響を及ぼしている場合は、自分で何とかせずに医療機関を受診した方がよいでしょう。近年は整形外科でも姿勢改善の施術や理学療法を行っている施設が増えたため、近くの医療機関を探してみるのもお勧めです」

＊　＊　＊

　猫背の状態が長く続くと、呼吸の浅さや疲労感などにつながる可能性があることが分かりました。現代人は筋力低下やスマホの長時間利用などで体がゆがんだり、姿勢が悪くなったりしがちなのだそうです。猫背が気になっている場合は、正しい姿勢を意識するだけでも体の不調が穏やかになるかもしれません。

オトナンサー編集部

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