【体験談】「小1の壁」をどう乗り越えた? 学童に、旗振り当番に、PTA…。共働き夫婦の分担方法
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『産後が始まった! 夫による、産後のリアル妻レポート』『夫婦のミゾが埋まらない 産後にすれ違う男女を変えるパートナーシップ学』(ともにKADOKAWA)など、夫婦のパートナーシップに関する著書がある渡邊大地さん。マイナビ子育てで連載していた『渡邊大地の令和的ワーパパ道』より、2022年4月に公開した記事を再配信します。
執筆者プロフィール
渡邊大地さん
株式会社アイナロハ 代表取締役/札幌市立大学看護学部 非常勤講師
大学卒業後、会社員を経て、2011年に株式会社アイナロハを設立。2012年より「産後サポート “ままのわ”」事業をスタート。自治体の産後サポート事業、全国の産院での両親・父親学級の開催、講演など、多方面で活躍中。三児の父。
◆株式会社アイナロハHP:https://www.ainaloha.com/
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先日、中学校に上がる息子の制服ひと揃えが自宅に届きました。採寸のときは使いまわしのヨレヨレの服で試着していたので、たいして期待していませんでしたが、いざ新品が届くと、あまりのカッコよさに驚きました。中学校の制服って、こんなにオシャレだったっけ??
自分の中学生のときを思い返すと、ジャケットは重いばっかりで着心地が悪く、一方のスラックスはペラペラに薄くて3年間で何度破けたことか……。
それが今や、冠婚葬祭どこに出しても恥ずかしくないような素敵なお召し物で、なんと冬用・夏用とスラックスが2タイプも。校章のワンポイントも、昔のような胸元にデ~ンと貼ってあるものではなく、ささやかで控えめでお洒落にふわっと添えられています。いいな~、制服いいな~。
それもそのはずです。ぼくが持っているどの服よりも値が張る代物ですよ。1枚5,000円もするワイシャツなんて着たことないし。本革のバッグ(学校指定)なんて持ってないし。なにより新入学の出費がすさまじい……。
皆さん、こんにちは。渡邊大地です。今回も、「ワーパパ」とは何たるかを一緒に考えていきましょう!
「小1の壁」は、ママにとっての壁?
いよいよ4月、新年度。保育園や学童保育を利用予定の家庭は、早ければすでに新生活をスタートさせていることでしょう。そんなドキドキワクワクの新年度ですが、我々共働き家庭にとっての大きなハードルとなる「小1の壁」というのがあるのも事実です。
「小1の壁」とは、保育園児だった子どもが小学校に入学したことで、仕事と家庭の両立が難しくなることを言います。なかには、子どもが入学するタイミングで仕事を諦める、という人もいます。
これを読んでくださっているママの皆さんにとっては、「4月に入って『小1の壁』語られても遅いわ!」と思われることと思いますが、「小1の壁」は、ママたちとパパたちでは、かなり温度差があると感じています。実際に先日、子育て中の夫婦向けの講座でお話ししたときに、パパたちに「小1の壁、知ってます?」と聞いたら、「子どもが小学校に入って勉強についていけないこと?」と言った人もいました。ですから今回、パパたちにこそ知ってほしいんです。
「小1の壁」は共働きを阻む高い壁で、乗り越えるには“夫婦の協力”が欠かせません。パパが「小1の壁」の現実に気づかなかったり、協力を惜しんだりしために、ママだけ壁の向こう側に取り残された例はたくさんあります。共働きをしたいのならば、そして、妻の働くことを応援したいのならば、ぜひとも壁を越えていってください!
学童は保育園とは全然違うことを理解して
つくづく保育園って素敵、って思います。だって、基本的に17時~18時まで預かってくれるうえに、事前に連絡しておけば延長保育もあるわけですから。時間によっては、夕方に軽食を出してくれる園もありますよね。
それが、小学校に上がったら、しばらくは午前授業です。そして、給食が始まっても、1年生はほとんど5時限目までなので、せいぜい14時すぎくらいには下校です。とてもじゃないけど、14時に帰宅する子どもがいては会社勤めが難しい……、という「小1の壁」がまず立ちはだかります。
※もっと言うと、保育園には「春休み」「夏休み」など長期休暇の概念がなかったので、年に数回、数週間~数ヶ月の休みがある、というのは共働き夫婦にとっては脅威です……。
そこで、共働き夫婦がまず申し込むのが「学童保育」(学童)です。
学童は、下校後に児童を預かってくれたり、学校が休みの土曜日や長期休暇中に朝から預かってくれたりする心強い施設です。時間的に保育園の利用時間とかなり近いので、保育園からスライドして学童に入ることで、働き方の変化を最小限に抑えることができます。
ですが、保育園とまったく同じというわけではありません。まず、昼食がない場合がほとんどです。その場合、土曜日や長期休暇中に預けるには、お弁当が必要になります。なかには、学童で出前弁当を頼んでくれるところもあります。ただ、これも「栄養が心配」「好き嫌いがある」「アレルギーがある」等の理由で、自前の弁当を持たせる家庭も少なくありません。
さらに、保育園のように、「みんなで何かして遊ぼう!」とか「今日は○○作りに挑戦しよう!」と子どもを楽しませることはほとんどありません。学童の建物内や隣接する校庭等で好きなように過ごしてください、というスタンスがほとんどです。
慣れている高学年の子たちなんかは好きにボール遊びしたり、ゲームをしたりして過ごしていますが、いきなり1年生が自分で遊びを見つけて一日中過ごせるかと言ったら難しいですよね。そんなこんなで、学童に入ったものの子どもが行きたがらない、という例はたくさんあります。これも典型的な「小1の壁」です。我が家の長男も毎日目を真っ赤にして大泣きで過ごし、夢にまで学童が出てきてうなされる、ということがありました。
※もちろん、1年生でも楽しませてくれる学童もたくさんあります。
夫婦で学童の壁を乗り越えた先輩パパ・ママたち
そんな学童を、先輩パパ・ママはどう乗り越えているんでしょうか。
●慣らし保育ならぬ「慣らし学童」
Aさん夫婦は、やはり子どもが学童生活に馴染みづらかったので、学童で過ごす時間を少しずつ長くしていったんだそうです。「慣らし保育」みたいな感じですね。初日はフルに預けてくじけてしまったため、二日目は数時間でお迎え、それ以降30分~1時間ずつ利用時間を延ばし、始業式のころには17時までいられるように慣らしていったそうです。もちろん、お迎えは夫婦で会社を早退する日を調整したとのこと。
●リモートワークの日を作って、学童の日を減らす
Cさん(パパ)は、学童に毎日預けることにせず、会社でリモートワークの日を週に1回設けてもらって、その日は学童を利用しない日、と決めたそうです。子どもも、毎週決まった曜日は早く帰宅できるので、それをよりどころに学童をがんばっているんだそうです。Cさんママは土曜勤務を免除(リモートワークの場合もあり)してもらい、土曜も基本的には学童に通わせていないとのこと。
●思い切って学童を変更する
Uさんの子どもは、学童に入ってすぐに高学年からからかわれたりして学童に行くのが怖くなってしまいました。そこで、ネットで調べてみると、地域には「地区を限らず誰でも入れる学童(民間の学童など)」があることが分かり、そこを見学に行きました。子どもがそこなら行けそう、ということで、思い切って学童を変更しました。平日は下校時間に子どもをお迎えに行き、学童まで送っていくという手間ができたことや、利用料が以前より高くなってしまったことはあっても、働く時間を確保できるので満足しているそうです。
こんなふうに、働き方を調整したり民間を頼ったりしながら夫婦で壁を乗り越えられると素晴らしいですよね。なお、学童によっては「3年生までしか預かれない」等の制限がある場合があり、その場合、それ以降は子どもをどうするかを話し合う必要が出てきますので、覚えておいてくださいね。
学童以外にも、毎日の生活のなかに壁が潜んでいる
「小1の壁」は「学童」だけでなく、「通常の学校スケジュール」にも潜んでいます。というのも、小学校に入ると保護者の出番が増え、小学校のために時間を費やす必要が出てきます。
●朝の登校時に決まった場所で交通安全を見守る、または登校班に親が引率する
●下校時間にも交通安全を見守る、または下校班に親が引率する
●緊急時のお迎え手段や通学路を確認するために、学校まで保護者がお迎えに行く(「一斉下校」といって、学童もお休みになることがある)
●校庭清掃、除草、通学路清掃などの掃除当番
――などなど。
学校や地域によってやり方はさまざまですが、交通安全見守り(「旗当番」「立哨当番」と言うこともあります)などは持ち回りで行うので、「自分の子は学童だからみんなと一緒に下校しない」という家庭でも関係なく当番が回ってくることもあります。
友人の子が通う公立小学校では、4・5月は、下校時間には必ず“1年生の保護者”が交通安全見守りをする、というルールになっているそうで、「小1の壁の洗礼」と呼ばれています。
また、ぼくがビックリしたのは、我が子が通う小学校では、宿題の答え合わせを親が必ずしなければいけないという点です。親って、子どもに「早く宿題やりなさい!」と口すっぱく言うのが役割というか、のび太もカツオも、毎週そうじゃないですか(カツオの場合は母より姉だけど)。それが、今は逆ですよ、「パパ、早く丸付けしてよ!」って言われる時代です。
このほかにも、授業参観・懇談会は平日ですし、PTA役員やその他の係活動もありますし、学年(またはクラス)ごとの役割がある場合もあり、保育園時代と比べて保護者の出番がグッと増えます。「共働きなので時間がなくて……」というのは通用しません。意外に小学校のために時間を取られるので、ぼくら親も生活スタイルを変えざるをえないんです。
夫婦で担当を分担! 先輩パパ・ママの事例
では、そんなときに先輩パパ・ママがどうしていたのか、対処法を見てみましょう!
●「朝担当」と「夕方担当」を決める
Nさん夫婦は、パパが「朝」担当になり朝の立哨当番を引き受け、ママが「夕方」担当になり下校時の立哨当番をすることにしたそうです。パパいわく「立哨は持ち回りで週に1回程度なので、それほど会社に迷惑をかけずに済んでいる。全部ひとりだったらしんどいけど、夫婦で分担できているので問題ない。朝、子どもたちが元気にあいさつしてくれるのがすがすがしい」とのこと。
●「日常担当」と「それ以外担当」に分ける
Eさん夫婦は、パパがなかなか普段から仕事の融通を付けづらいとのことで、日常的な当番ごと(立哨当番など)をママがすることにしました。その代わり、パパは「それ以外」のときを担当することとして、年に数回の「一斉下校」や、運動会などの影響で学校のスケジュールが変わった場合のお迎え・留守番をしているのだそうです。
●宿題の丸付けはパパが担当
Tさんの家庭では、宿題を学童で済ませるように決めました。帰宅したらすぐに丸付けできるようにしておき、だいたいパパが帰宅後に丸付けをしているそうです。そして、2年生になったころには、学童の上級生で丸付けをしてくれる子も出てきたそうで、パパはむしろ役目が減って寂しがっているそうです(笑)。
なお、我が家は、ぼくが保育園担当、妻が小学校担当と分けているので、基本的に小学校関連のことについては妻にやってもらっています。
小1の壁でママの就労率が低下
今回は「小1の壁」を夫婦で協力して乗り越えるために、先輩パパ・ママの実践例を紹介してきました。ですが実際のところ、小1の壁って、多くの家庭は「ママが担当」しているのが現実です。まわりで、「子どもが小学生になったから会社を辞めます」っていう男性に会ったことありますか?
ある研究によると、子どもが小学校へ入学するタイミングで母親の就労率が10%ほど低下している(1995年から2010年の『国民生活基礎調査』のデータを用いた分析)ことが分かったそうです[*1]。
冒頭で「小1の壁」という言葉を知らなかったパパの話をしたとおり、やはり、小1の壁はまだまだ母親の範疇……だとしても、それは平成時代で終わりにしましょう。
本連載の第1回目でお話ししたように、令和のいま、“妻が働くこと”を応援できるのが「ワーパパ」です! 「小1の壁」こそ、パパの力の見せどころ! 夫婦で分担して、共働きを続けられるように乗り越えていきましょう!
あ、乗り越えるときの掛け声は「よっこいしょういち」で行きましょうね!(古かったですか?)
今回のまとめ
「小1の壁」の負担を分け合って、共働きを続けられるワーパパになろう!
(文:渡邊大地、イラスト:村澤 綾香、編集:マイナビ子育て編集部)
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参考文献
[*1]『日本労働研究雑誌』(2019年6月号)より、一橋大学准教授 高久玲音氏の論文
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