早期発見難しい「膵臓がん」は喫煙だけが原因じゃない!? 専門医が説く“発症を招く生活習慣”
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膵臓(すいぞう)がんは早期発見が難しい病気として知られており、SNS上では「サイレントキラー」「沈黙のがん」などの声が上がっています。そもそも、なぜ膵臓がんになるのでしょうか。膵臓がんの原因となる食べ物や生活習慣などについて、池袋ふくろう消化器内科・内視鏡クリニック東京豊島院(東京都豊島区)院長で、消化器病専門医、総合内科専門医の柏木宏幸さんに聞きました。
喫煙は膵臓がんの大きなリスク要因
Q.膵臓がんの主な原因について、教えてください。
柏木さん「膵臓がんの明確な原因はまだ完全には解明されていませんが、いくつかのリスク要因が指摘されています。特に関連性があるのは、喫煙、糖尿病、慢性膵(すい)炎、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)/膵嚢胞(すいのうほう)、家族歴(遺伝性)です。主に要因が複合的に作用して発症すると考えられています」
(1)喫煙
喫煙は膵臓がんの大きなリスク要因の一つです。膵臓がんを発症した患者の約20~30%は喫煙が原因と考えられます。また、喫煙者は非喫煙者に比べて膵臓がんを発症するリスクが2倍高くなります。
(2)糖尿病
糖尿病の患者は、膵臓がんを発症するリスクが糖尿病でない人の約2倍高くなります。膵臓がんの発症は糖尿病の発症1~3年以内で最も高く、5年以上糖尿病にかかっている人は膵臓がんを発病する可能性が高くなります。
(3)慢性膵炎、遺伝性膵炎
慢性的に膵臓に炎症が起こる慢性膵炎は、膵臓がんのリスクを高めることで知られています。主な原因は飲酒で、一部遺伝性なども関与しています。慢性膵炎にかかった場合、膵臓がんの発症率が健康な人の13.3倍高くなるとされています。特に遺伝性の膵炎では、発症リスクが健康な人の69倍と非常に高くなります。
(4)肥満
肥満の人は、正常体重の人に比べて膵臓がんを発症するリスクが高くなります。男性では特に関連性が明らかとなっており、男女ともにリスクとなります。日本国内の研究では、20代で肥満指数(BMI)が30以上の男性の場合、膵臓がんのリスクが正常のBMIの人の3.5倍に増えたという結果があり、20歳時点での肥満が膵臓がんのリスクになることも分かっています。
(5)飲酒
大量の飲酒は慢性膵炎の原因となり、間接的に膵臓がんのリスクを高めます。
(6)遺伝的要因、家族歴
膵臓がんの約10%は、家族歴に関係しているといわれています。母親や父親、兄弟、子どもが膵臓がんを発症した場合、自身も膵臓がんになる可能性は2~3倍高くなります。家族に50歳未満の若年発症がある場合や、家族内で複数人が膵臓がんを発症している場合にはさらにリスクが増加します。遺伝性の乳がんや大腸がん、遺伝性膵炎などの病歴がある場合、膵臓がんを発病するリスクが増大します。
(7)加齢
60歳ごろから膵臓がんを発症する人が多く、50歳以降がリスクとなります。膵臓がんは加齢とともに発生率が高まります。
(8)食生活
高糖質食品や高脂質食品、赤肉、加工肉が膵臓がんのリスクとなり得ると考えられています。果物や野菜のほか、青魚やアマニ油、エゴマ油などのオメガ3脂肪酸を含む食品は膵臓がんの発病リスクを低下させる可能性があります。
(9)膵管内乳頭粘液性腫瘍/膵嚢胞
膵管内乳頭粘液性腫瘍は、膵臓の中の「膵管」と呼ばれる管(膵液の通り道)にできる腫瘍です。多くの場合は良性ですが、稀にがん化することがあるため、定期的に経過観察が必要です。その他の膵嚢胞(膵臓の中にできる袋状の構造物)に関しても経過観察を要します。
(10)男性(性別)
男性は女性よりも膵臓がんと診断される人が多いです。膵臓がんのリスクとなる喫煙率の高さも関連していると考えられます。
(11)血液型
A型やB型、AB型の人が膵臓がんにかかるリスクはO型の1.9倍といわれています。
(12)感染症
感染症は健康な人に比べて、膵臓がんの発症リスクを上げます。例えば、ピロリ菌に感染した人は1.4倍、B型肝炎に感染した人は1.6~5.7倍、C型肝炎に感染した人は1.5倍、発症リスクが高まるとされています。
Q.では膵臓がんを引き起こしやすい飲食物や生活習慣について、教えてください。
柏木さん「膵臓がんのリスクを高める可能性のある飲食物や生活習慣は次の通りです」
■喫煙
喫煙は膵臓がんの最も強力なリスク要因です。タバコに含まれる発がん性物質が膵臓に影響を与えるとされています。
■過度の飲酒
大量のアルコール摂取は慢性膵炎の主な原因の一つであり、慢性膵炎は膵臓がんのリスクを高めます。
■肥満、高カロリー食
高カロリーな食事や運動不足による肥満はインスリン抵抗性を高め、糖尿病や代謝異常を通じて膵臓がんのリスクを上昇させると考えられています。
■不健康な食生活
・高脂肪食、赤肉、加工肉の過剰摂取
高脂肪食は肥満やインスリン抵抗性のリスクとなり、膵臓に慢性的な負担となります。赤肉、ベーコン、ソーセージといった加工肉などに含まれる成分が、一部の研究で膵臓がんのリスクを高める可能性が指摘されており、過剰摂取がリスクとされています。
・甘い飲料、高糖質食
糖質が高い食品の過剰摂取によって血糖値が上昇し、インスリンが過剰に分泌されます。その結果、膵臓に負担がかかり、膵臓がんのリスクとなる糖尿病の原因にもなります。
・野菜や果物の摂取不足
ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富な野菜や果物の摂取が少ないと、がんの予防効果が期待できない可能性があります。
・運動不足
運動不足は肥満を招きやすく、インスリン抵抗性とも関連があるため、間接的に膵臓がんのリスクを高めます。
・糖尿病の不十分な管理
糖尿病は膵臓がんのリスク要因であり、血糖コントロールが悪いとさらにリスクが高まる可能性があります。
これらの飲食物や生活習慣は、膵臓がんだけでなく、他の生活習慣病やがんのリスクも高めることが知られています。
膵臓がんを防ぐには?
Q.膵臓がんをできるだけ防ぐには、どのような対策が求められるのでしょうか。日常生活でできる取り組みについて、教えてください。
柏木さん「膵臓がんの予防には、先述のリスク要因を避けることが重要です。日常生活でできる具体的な取り組みは次の通りです」
(1)禁煙
最も効果的な予防策です。喫煙者は今すぐにでも禁煙を始めることが大切です。
(2)節度ある飲酒
アルコールの摂取量を控えるか、休肝日を設けることも推奨されます。特に大量飲酒は避けるべきです。
(3)適度な運動、健康的な体重の維持
適切な食事と定期的な運動により、BMIを正常範囲内に保つことが重要です。週に3〜5日、30分以上のウオーキングやジョギングなど、適度な有酸素運動を継続的に行うことが推奨されます。
(4)バランスの取れた食生活
・野菜や果物を豊富に摂取する
ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富な野菜や果物を積極的に取りましょう。ブロッコリーやトマト、かんきつ類などはビタミンCやビタミンE、カロテノイド、リコピンといった抗酸化物質が多く含まれており、こうした食べ物を摂取することで細胞のダメージを減らし、炎症を抑える効果が期待されます。
・全粒穀物を摂取する
玄米やオートミールなどの食物繊維が豊富な食べ物は、血糖値の急上昇を防ぎ、膵臓への負担が軽減されます。
・加工肉や赤肉の過剰摂取を控える
バランスの取れた食事を心掛け、加工肉や赤肉の過度な摂取を避けるようにしましょう。魚を摂取するのがよいでしょう。
・低脂肪で高繊維の食事
全粒穀物や豆類なども積極的に取り入れるとよいでしょう。
・オメガ3脂肪酸を含む食品
サバやクルミなどのオメガ3脂肪酸を多く含む食品は、抗炎症作用があるため、膵臓の負担を軽減し健康をサポートします。
(5)糖尿病の適切な管理
糖尿病の人は、医師の指示に従い、血糖値を良好にコントロールすることが膵臓がんのリスク低減にもつながります。
(6)慢性膵炎、膵管内乳頭粘液性腫瘍、膵嚢胞の管理
慢性膵炎や膵嚢胞などの膵疾患を診断された場合は、専門医の指示に従い、適切な治療と経過観察を継続することが重要です。
(7)定期的な健康チェック
一般的な健康診断では膵臓がんの早期発見は難しいですが、気になる症状があれば放置せずに医療機関を受診することが大切です。特に、家族歴があるなど膵臓がんのリスクが高いとされる人は、専門医と相談し、定期的な精密検査を検討することをお勧めします。
これらの生活習慣の改善は、膵臓がんだけでなく、心血管疾患や他の多くのがんの予防にもつながります。日々の生活の中で、できることから少しずつ取り入れていくことが大切です。
オトナンサー編集部
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