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ティーガーI戦車の源流か ドイツWW2初期の重装甲「軽」戦車 期待された役割とその顛末

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  • 乗りものニュース
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第2次世界大戦期のドイツ戦車ティーガーIには、これを彷彿とさせる先行車両がありました。ただし武装は貧弱で、戦車の定義を問いただしたくなるようなものです。防御に振り切った軽戦車で、ドイツはなにをしようとしていたのでしょうか。

言うなれば「ミニティーガーI」

 ひと口に「戦車」といっても、第2次大戦終わりまではその装甲や武装などにより大まかに重戦車、中戦車、軽戦車と分類されていました(現代戦車ではこの分類はあまり使われない)。そして「軽戦車」といえば装甲は薄く、武装も強力ではない一方で機動力に優れる、というのが一般的なイメージでしょう。ところが第2次世界大戦期のドイツ軍は、軽戦車である「I号戦車」「II号戦車」にトンデモ派生型を作ってしまいます。「I号戦車F型」と「II号戦車J型」と呼ばれています。

Large 191029 tiger 01ソ連軍に捕獲されたI号戦車F型。幅の広い履帯(キャタピラ)と角ばった厳つい車体。独特の複雑な挟み込み式の車輪(転輪)は後に登場するティーガーIを彷彿させる。

 目を引くのはそのフォルムです。ドイツ戦車独特の車輪(転輪)を重ねる複雑な挟み込み式で、履帯(いわゆるキャタピラ)幅も太い500mm。厚い平板圧延装甲を組み合わせた角ばり厳つい車体は、のちに登場する「ティーガーI(VI号戦車I型、タイガー戦車)」を彷彿とさせ、とても軽戦車には見えません。「ミニティーガーI」とも呼べるような凄みさえあります。

 ティーガーIは強力な88mm戦車砲を搭載していますが、I号戦車F型の武装は7.92mm機銃2丁のみ、II号戦車J型は20mm機関砲と7.92mm機銃という貧弱さです。対戦車戦闘など、とてもおぼつきません。厳つい車体に貧弱な武装というとてもアンバランスな戦車でした。ドイツは「ミニティーガーI」で何をしようとしていたのでしょうか。

重装甲軽装備で目指した先は…?

 I号戦車F型は対フランス戦を見越して考案されました。用途は、ドイツ、フランス国境沿いにフランスが築いた、マジノ要塞線の攻略です。

「軽戦車」とは本来、その機動力を生かして、偵察をしたり敵の後ろに回り込んで奇襲したりといった任務を想定したものでした。特にドイツ軍は第1次大戦の戦訓から、敵の主力となるべく戦わず動きまわり、敵の弱点や後方の司令部や補給路を奇襲して混乱させ、組織的に崩壊させるという、いわゆる「電撃戦」を目指していましたので、攻撃力や防御力よりも速力を重視していました。

 しかしI号戦車F型は、逆に敵の待ち構える要塞正面へ投入され、敵の攻撃を引き付ける「おとり役」になることが任務でした。アンバランスなまでの重装甲は、要塞からの攻撃に耐えるためだったのです。一身に敵弾を受けることになる乗員には同情するしかありません。

Large 191029 tiger 02II号戦車J型。ティーガーIを小型化したような特徴的な外見をしている。一方で武装はアンバランスなまでに貧弱(画像:ドイツ連邦公文書館)。

 初期に生産されたI号戦車、II号戦車の車体前面装甲は13mmしかなく、小銃弾に耐えられる程度だったのに対し、I号戦車F型、II号戦車J型の車体前面装甲は80mm、側面でも50mmにもなりました。当時ドイツが主力にするべく生産を急いでいたIII号戦車の車体前面装甲は50+20mm(1939〈昭和14〉年のポーランド戦訓で20mm装甲板が急遽、追加取り付けされた)、IV号戦車D型の車体前面装甲は30+30mm(同じくポーランド戦訓で追加)だった時代です。

 80mmといえば中戦車に分類されるV号戦車パンターの車体前面装甲と同じですので、その重装甲ぶりが分かります。装甲が厚くなって砲塔が大きくなったため、I号戦車F型、II号戦車J型ともに車体上部に乗員が出入りするハッチを設けることができず、側面に円形ハッチが備えられています。

 ところが、エンジンはフリードリヒスハーフェン・マイバッハ発動機製作所製のHL45P 直列6気筒液冷ガソリンエンジンで150馬力しかありませんでしたので、機動性は著しく悪く、路上でもI号戦車F型は最高速度25km/h、II号戦車J型は最高速度31km/hというものでした。

フランス戦には間に合わず出番は東方へ

 I号戦車F型は1939年12月に先行生産車30両分の生産契約が交わされ、1942(昭和17)年12月までかかって完成しました。II号戦車J型は1939年11月に試作車4両、先行生産車30両が発注され、1942年12月までに30両完成します。しかし目的とされたフランス戦には間に合わず、1942年にもなるとIII号戦車、IV号戦車の数もそろい、“本物の”ティーガーI(VI号戦車I型)の生産も1942年8月に始まっており、「ミニティーガーI」の出番はなくなり生産は打ち切られます。

 I号戦車F型とII号戦車J型はほとんど同じコンセプトで外見、生産時期、生産台数も同じようなものでした。担当メーカーはI号戦車F型がクラウス・マッファイ社、II号戦車J型がMAN社とダイムラー・ベンツ社と一応、分かれていましたが、後にII号戦車J型にクラウス・マッファイ社も加わるよう指示されています。効率の悪い多品種少量生産で同じようなコンセプトの車体をわざわざ2種類製作した理由は、よくわかりません。

Large 191029 tiger 03第12機甲師団に配属されたII号戦車F型。東部戦線で実戦行動中の貴重なカット。

 1943年に第12機甲師団へI号戦車F型は7両、II号戦車J型は22両配属され、東部戦線に投入されています。ソ連軍は塹壕を掘り、対戦車砲を並べる防御戦術に長けていたので、本車は敵の攻撃を引き付ける役割は果たせたかもしれませんが、戦果の程ははっきりしません。ソ連軍に捕獲された写真が残っているので、ソ連軍と銃火を交えたのは間違いないようです。

 後に登場するティーガーIも分厚い装甲と強力な戦車砲で敵の正面に立ちます。I号戦車F型とII号戦車J型のコンセプトがティーガーIの基本設計に影響を及ぼしたことは間違いなく、1939年当時に前面装甲80mmという「軽戦車」がいたということは驚くしかありません。

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