日本では「矛」より「盾」で貢献したい――北欧「サーブ」の新戦略をトップに聞いた 国内外で日本企業との連携も視野に
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欧州から日本へ 新たな潮流
日本と密接な関係をもつ外資系の防衛関連企業といえば、ロッキード・マーティンやボーイング、BAEシステムズなど、アメリカやイギリスに本社を置く企業がよく知られます。しかし、第2次安倍政権以降に打ち出された多国間防衛協力の強化や、近年の防衛力強化に伴う日本の防衛予算増額などを受けて、これら以外の国々からも防衛関連企業が日本に進出してきています。
インタビューにお答えいただいたサーブ・ジャパンの宇梶代表(乗りものニュース編集部撮影)。
なかでも、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて防衛力強化を進める欧州からは、大手からスタートアップに至るまで大小さまざまな企業が日本での事業展開を強めています。北欧スウェーデンを代表する防衛大手サーブ社も、日本における存在感を強めつつある企業のひとつです。
同社が日本における事業を開始したのは今から約40年前のことですが、これまでとは異なるアプローチで日本における活動を進めていこうとしているとか。筆者(稲葉義泰:軍事ライター)は同社日本支社長の宇梶 慧氏にインタビューしました。
まず、サーブ社は日本における新たな事業展開戦略として「サーブ3.0」を発表しました。これについて、宇梶氏にその概要を伺いました。
「サーブ3.0については、3つ重要な軸があります。1つ目が戦略的パートナーシップの醸成で、弊社が防衛に携わるさまざまな日本企業との関係を深め、さらに日本政府から戦略的なパートナーとして見ていただけるように昇華していくことです。
2つ目が、それに伴った事業機能の強化です。サーブ3.0には、先んじてサーブ1.0として草創期の活動があって、サーブ2.0という発展期の活動がありました。それを踏まえて、例えば日本人が幹部になって意思決定を迅速に行うなど、今後はさらに日本における事業機能を強化していきます。
そして3つ目が、そういった弊社の取り組みですとか、製品や技術のみならず、サーブのリーダーシップや文化、価値観などを積極的に発信していくことです」
このサーブ3.0のなかで、第1の軸である戦略的パートナーシップには日本企業との協業が含まれているとのこと。その詳細について、宇梶氏は次のように語ります。
「我々は当然、これから日本に対して自社の機能や製品を提供していきたいと考えていますが、そういった中での日本企業とのパートナーシップもあります。
あるいは、これから日本企業が輸出事業拡大のために海外へ出て行かれる際に、例えば事業性の観点ですとか、あるいは他の政治的な観点から、なかなか単独で海外に行くのが難しいということもあり得ます。そうした時に、弊社とパートナーシップを組んでいただくことで、グローバル企業としてサーブが現地に有している機能やリソースなどを活用いただくことが、日本企業にとってのリスク回避策となります。
さらに、弊社としても日本企業と一緒に新しい取り組みを進めることで、既存のサーブの基盤や製品にはない革新的な取り組みを、既存顧客に対しても改めて訴求できる、こういった効果が両方にウィンウィンで得られるということを考えています」
注力するのは「防御的な装備品」 なぜ?
さらに、宇梶氏は今後の日本市場における具体的な事業展開について、日本が置かれた安全保障環境を踏まえたうえで、とくに「防御的な装備品」の提案を模索しているといいます。
インタビューにお答えいただいたサーブ・ジャパンの宇梶代表(乗りものニュース編集部撮影)。
「日本が置かれている安全保障環境は、日に日にその厳しさを増しています。その中で、戦略的抑止力を高めるためには、反撃能力や、そのための手段である長射程誘導弾のような、『矛と盾』で言えば矛の機能を充足させることが当然重要になってきます。だからこそ、サーブとしては、むしろ防衛的な機能の拡充にフォーカスをしたいという風に考えています。
攻撃的な装備品については、国内企業や、あるいはそれに一日の長があるアメリカの企業様などが中心に取り組まれている一方で、サーブとして一番日本のためになることは何かというと、まさに防衛的なところだと思うのです。特に『相手を知る』ためのセンサーですとか、監視・偵察と言われている分野、あるいはこれから実際に現場に出て、有事の際には戦闘行為に携わる方々の訓練や教育、こういったところを充実させることによって、日本全体の防衛力を高めることができると考えます。
そういう意味では、早期警戒管制機のグローバルアイ、無人機搭載用の早期警戒レーダー用ポッドはもちろん、電子情報収集(ESM)機材や電子妨害(ECM)機材、さらに各種訓練システムやボーイング社とともに取り組ませていただいている高等練習機のT-7A、こういったものを日本において展開していきたいと考えています」
たしかに、昨今日本では長射程ミサイルに代表される攻撃的な能力を有する装備品の導入に目が行きがちです。しかし、「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」という言葉もある通り、相手に関する情報収集、そして自らを鍛え上げることで、防衛力を真の意味で強化できると筆者(稲葉義泰:軍事ライター)は考えます。そこで、サーブ社が今後日本でどのような事業展開を行うのか、注目が集まります。
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