災害時、障害者向け「福祉避難所」はあてにならない!? ショック受けた自閉症児の母が見いだした“防災対策”
- オトナンサー |

ライターとして活動するべっこうあめアマミさんは、重度知的障害を伴う自閉症の10歳の息子と、きょうだい児である娘を育てながら、発達障害や障害児育児に関する記事を執筆しています。
9月1日は「防災の日」ですが、「福祉避難所」という言葉を聞いたことはありますか。これは災害時に障害がある人や高齢の人など、特別な配慮が必要な人が利用できる可能性がある避難所のことを指します。しかし、実際には災害時に福祉避難所をすぐに使えるとは限りません。
知的障害と自閉症がある息子を育てるアマミさんも、その事実を知ってがくぜんとした一人です。頼りにしていた福祉避難所が機能しない可能性を前に、「支援を待つ」から「自分たちで備える」へと意識を切り替えることになったといいます。
災害に対し、障害児がいる家庭はどう備えたらいいのか、アマミさんが感じた戸惑いを通して、「自分の家庭に必要な防災」を考えるヒントを探ります。
友人から「福祉避難所」の存在を教えてもらい…
「福祉避難所っていう場所があるらしいよ」
もはや何年も前の話ですが、私が住む地域でちょっとした災害があったときの話です。安否確認とともに、私に障害がある息子がいることを知る友人からLINEを通じて「福祉避難所」に関するURLが載せられたメッセージが送られてきました。
福祉避難所とは、障害がある人や高齢者など、何らかの支援が必要な人が、災害のときに使える避難所…。
初めてこの存在を知った私は、「そんな場所があるなら安心!」と思いました。調べると、福祉避難所とされている施設は住んでいる地域にいくつもありましたし、災害が起きたときは、地域の福祉避難所に避難すれば、きっと何とかなるのだろうと信じていたのです。
しかし、それは幻想でした。
自治体が開いた「障害児者の防災」をテーマにした講演会に参加したとき、私は現実を知って、言葉を失いました。「福祉避難所」は、実際にはほとんど使えない可能性が高いというのです。
私のイメージでは、福祉避難所は、他の避難所と同様に災害が起きたらすぐに開設されるものだと思っていました。そして普通の避難所での避難が不安な人が、自ら福祉避難所を希望し、直接向かうものなのだと思っていたのです。
しかし、実際は災害発生時に福祉避難所に直接避難することはできません。福祉避難所とは、避難所での避難者の状況を見て自治体が開設を判断し、なおかつその施設の管理者の了解を得て、それから開設されるものだそうです。
つまり、どんなに障害が重い人でも、災害が起きて福祉避難所に直行しても、受け入れてもらうことはできません。
また、福祉避難所がたとえ開設されたとしても、希望する人全員を受け入れることはできませんし、平常時のようなサービスも期待できません。
もっと言えば、誰がどうやってどんな人を対象に受け入れるかなど、しっかり決まっておらず、福祉避難所とは、まだ「絵に描いた餅」のような状況なのだと察しました。
ホームページなどでは詳しく書かれていない「福祉避難所」。
どんなことをしてくれるところなのか、対象者はどうなっているのかなど、詳しく聞きたいと思って参加した講演会でしたが、「これでは間に合わない…」と私はがくぜんとしました。
「支援を待つ」より「自分たちで備える」
福祉避難所が実際には機能しないかもしれないと知って、私の中で「防災」の考え方が大きく変わりました。
支援を受ける側にいる私たちも、災害が起きれば「被災者」です。つまり、「誰かが何とかしてくれる」と思っていると、助けが来る前に命の危険にさらされるかもしれないのです。
そして、普段支援をしてくれている人たちもまた、災害が起これば「被災者」。自分の家族や自分自身のことで精一杯になるのが現実です。
よく考えたら、福祉避難所だって、その指定された施設が被災するかもしれません。「災害時」という予想できない事態において、場所の機能性も、人員の面でも、福祉避難所について前もって計画するには、無理があるのかもしれません。これは、考えてみれば当然のことでした。
だからこそ、私は考えを切り替えることにしました。「支援を待つ」よりも、「自分たちで備える」、その方が早いし、確実なのです。
障害がある息子と私たち家族のために今できる備えは?

私の息子には、重い知的障害と自閉症があります。言葉でのやりとりが難しく、「いつもと違う」状況や場所が苦手です。そんな息子にとって、たくさんの人が集まる避難所での生活は、相当なストレスになるでしょう。
息子にとってもストレスでしょうが、大きな声を出したり、不審な行動を取ったりするなどして、他の人にも迷惑をかけてしまうかもしれません。
息子の場合、身辺の自立もまだまだ不安がありますから、トイレは特に心配です。普段と違うトイレでうまく用を足せるかも分かりませんし、非常時のストレスから、漏らしてしまうことも大いに想像できます。
そんな息子のことを考え、私は、家での防災グッズの充実に力を注ぐようになりました。息子のトイレは基本的には家でさせることができるように、簡易トイレキットをたくさん買いました。息子が使えるサイズのオムツはあまりないサイズなので、多めに家に置くようにしました。
あとは、基本的な防災用品。モバイルバッテリーや食料、水など、家でもある程度は過ごせるように、いろいろと用意しています。家だけではなく、車で過ごすことも考え、災害時をシミュレーションしていろいろと考えています。
頼れる人とつながっておこう
人とのつながりも大事です。息子の障害のことを考えると、安易に息子を誰かに預けることは難しいでしょう。しかし、私たち家族のことを知ってくれている人が多ければ、情報も得やすいでしょうし、いざというときは助け合うこともできるでしょう。
このように、災害時は特に人とのつながりが大事だと思うので、地域のコミュニティーも大事にしています。近所に知り合いを増やし、交流する機会も増えました。
いざというとき、たった一人で全部やろうとするのは無理です。だから、お願いできる人、声をかけられる人との「小さなつながり」を、少しずつでも広げておくようにしています。
「備え」はわが子への愛情
「防災」と聞くと、難しい言葉や専門的な知識が必要なイメージがあるかもしれません。
しかし私にとっての防災は、「息子が安心して生き延びられるようにすること」です。それはつまり、日々の生活を見つめて、小さな備えを重ねていくことです。
人任せではなく、自主防災が基本。福祉避難所に頼れない現状を鑑みて、「自分たちに何ができるか」を考えることが、わが子の命を守る力になると思っています。
ライター、イラストレーター べっこうあめアマミ
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