高齢者「自立した子どもに迷惑かけたくない」 迷惑をかけないための“最善策”を介護福祉士が解説
- オトナンサー |

介護現場では、高齢者から「子どもに迷惑をかけたくない」という言葉を聞く機会が多いということです。特に女性から、このような言葉を発することが多いといい、「今まで親として子どもの面倒を見ていた立場だったので、その親子関係を転換できないのかもしれません。何歳になっても、親は親なんでしょうね」と語る介護福祉士・鹿見勇輔さんに、子どもに迷惑をかけないための工夫やコミュニケーションなどについて、聞きました。
親が子どもに甘える“転換期”
子どもが自立し、親に介護が必要となれば、今度は親が子どもに甘える時期です。鹿見さんは、「このような転換期をうまく乗り越えることが、親子のコミュニケーションが活発になります」と話します。
その一方で、「一人暮らしや夫婦間介護によって、子どもに負担をかけまいと考える方もいます。そんな気合や我慢で高齢期を乗り越えることはできるのでしょうか」と指摘しつつ、「元気に過ごしているうちはいいのですが、入院や入所をする際には子どもに関わってもらう必要が出てきますし、人生の最期を迎えた時には子どもが手続きや費用負担などを行うことになります」と説明します。
「子どもに迷惑をかけたくない」という人に実際に接する鹿見さんは、その都度、「『どう過ごしていても子どもにやってもらわないといけなくなりますよ』とお伝えしています」と助言をしているとのことです。
その理由については「困る前から早めに準備をしていた方が、スムーズに対処できるものです。子どものためを思って『迷惑をかけたくない』と言われるのでしょうが、突然『助けてほしい』という方が迷惑になる可能性は高いでしょう」と語ります。
日本の介護保険制度では「家族介護」という考え方が基本にあります。「介護保険サービスを利用したからといって家族介護がなくなる訳ではありません。今一度、老後に介護が必要になれば『子どもに負担がかかるもの』という認識を持っておいてください」と念を押します。
また、鹿見さんは「高齢になり、身の回りの世話が必要な状況であれば、少なからず子どもに負担をかけることになります。できるだけ迷惑をかけないためには、元気に生活できる期間を長くするほか、ありません」とも話します。
「介護が必要となる原因疾患は、認知症、脳血管疾患、骨折・転倒、高齢による衰弱、関節疾患、心疾患などさまざまです。自分でできることといえば、普段から規則正しい生活習慣を身につけることくらいしかありません」と説明。続けて、「病は気から」ということわざを引用しつつ、「あながち間違っていないというのも、介護現場にいると実感します」と語ってくれました。
高齢になると、「もう歳だから何もできない」「体が動かないから助けてもらわないといけない」といった思考に「陥りやすいもの」と語る鹿見さん。「確かにできないことは増えますが、その中でもできていることはきっとあるはずです。自分自身が『やりたい』『実現したい』と前向きに物事を捉えている人の方が、元気に生活が送れています。心身の健康を大切にすること、何かが起こる前に子どもに相談しておくことが、『子どもに迷惑をかけない』ための最善策ではないでしょうか」と教えてくれました。
「子どもに迷惑をかけたくない」という思いは、親心として自然なものだと思います。しかし、その思いだけで、老後を乗り切るのは難しいのが現実的だと理解しましょう。元気なうちから生活習慣を整え、子どもと話し合いを重ねることが、結果として“迷惑をかけない”ということにつながってほしいと思います。
オトナンサー編集部
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