アメリカより先行っていた!?「日本初の四駆」富士山の麓で快音を奏でた!「唯一無二のエンジン音、ぜひ聞いて」
- 乗りものニュース |

太平洋戦争において旧日本軍が使用した九五式小型乗用車、通称「くろがね四起」は、日本初の実用4輪です。日本では希少な実走可能な車体が、このたび陸上自衛隊の駒門駐屯地で展示されたので見てきました。
自衛隊イベントで公開された激レア車たち
2025年4月18日(土)、静岡県御殿場市にある陸上自衛隊の駒門駐屯地において、創立65周年の記念行事が執り行われました。ここには、戦車や装甲車両の教育を担う機甲教導連隊が所在しているため、10式戦車や16式機動戦闘車など多種多様な自衛隊車両を見ることができます。
2025年4月18日、静岡県御殿場市の陸上自衛隊駒門駐屯地で行われた創立記念イベントで展示された、実物の九五式小型乗用車「くろがね四起」(吉川和篤撮影)。
今回の創立記念行事は、部隊の意向で例年行われていた式典やパレードをなくし、むしろ地元住民が家族でお祭りに参加して楽しみ、自衛隊とのふれあいを増やす「フェスティバル」の形態で開催されていました。
それでも毎年の恒例行事となった各種戦闘車両による体験乗車やデモンストレーション走行などは行われ、一風変わったところでは16式機動戦闘車の人力牽引体験などもありました。
このように、年に一度の駐屯開放イベントで賑わうなか、敷地内の一角にはいつもと違った展示が行われていました。並んでいたのは、日中戦争や太平洋戦争当時に旧日本軍が運用した九五式小型乗用車、通称「くろがね四起」の前期型と九五式軽戦車、通称「ハ号」。どちらも、世界的に数少ない可動する実物の旧軍車両です。
これら2両は、御殿場市で活動するNPO法人 「防衛技術博物館を創る会」が所有・管理するもので、どちらも時間と費用を掛けて自走可能な状態までレストアされた貴重な技術遺産です。
「くろがね四起」は9年前の2016年に国内でレストアが完了したもので、一方の九五式軽戦車は海外でレストアされて3年前、すなわち2022年に里帰りが実現した車体です。
両車とも国内に1両しかない貴重な実物であり、そのような激レア車が多くの人でにぎわう自衛隊の駐屯地イベントで展示され、さらにエンジン始動のデモンストレーションまで行ったのですから、注目を集めないワケがありません。
四駆の代名詞「ジープ」より先に誕生
来場者の中には、これを見に関西地方から足を運んだ人もいたとのこと。かくいう筆者(吉川和篤:軍事ライター/イラストレーター)も、「くろがね四起」のエンジン音を聴きに前日から御殿場入りしました。そしてどちらも見事に快音を響かせたのです。
太平洋戦争前の1939(昭和14)年頃に野戦重砲兵連隊で使用されている「くろがね四起」の前期型。ヘッドライトには、回転式で破損防止用のカバーが見える(吉川和篤所蔵)。
ちなみに、ここ駒門駐屯地は前身が1936(昭和11)年に建設された旧日本陸軍の富士裾野演習場駒場廠舎で、のちに陸軍重砲兵学校富士分教場も設置されています。ゆえに当時、このあたりを「くろがね四起」が走り回っていたかもしれないと思うと、歴史のロマンを感じます。
そもそも、「くろがね四起」誕生のきっかけは、旧陸軍が偵察や連絡または将校などの人員輸送用として、1934(昭和9)年より豊田自動織機自動車部(現在のトヨタ自動車)や発動機製造(現在のダイハツ工業)など、国内メーカー数社に開発を依頼したのが始まりです。
競合の結果、当時オート三輪のメーカーとして知られた日本内燃機(現在の日産工機)の試作車が選定され、1936(昭和11)年より量産されています。
なお、同車は日本初の4輪駆動車として誕生しましたが、これは4輪駆動車の代名詞的存在であるアメリカ製の「ジープ」より4年も早く、軍用自動車としても世界初の試みでした。これは開発当時、すでに中国では満州事変が始まっており、悪路や不整地の多い大陸の道路事情を考慮したためだと言われます。
軍用オートバイから進化した小型四駆
エンジンは、バイク同然のV型2気筒OHV強制空冷エンジン(排気量1300cc)を搭載。これは、後に登場する他国の軍用4輪駆動車のように小型トラックから進化したわけではなく、あくまでも偵察や連絡用の自動二輪(オートバイ)や側車付自動二輪(サイドカー)の代用として位置付けられていたことを示します。
海外でのレストアを終えて日本に里帰りを果たした九五式軽戦車(ハ号)。現在、新たに里帰りした九七式中戦車の新砲塔チハ車がレストアを待っている(吉川和篤撮影)。
そのため、前期型は定員3名で積載量も小さなものでしたが、それでも後期型は車体を大型化して4名へと増加、エンジンも1400ccに拡大されています。さらに後部を荷台にしたピックアップトラック型も作られ、終戦までに各型合計で4800台近く生産されました。
いわば、旧日本陸軍の「軍馬」として日中戦争や太平洋戦争で活躍した「くろがね四起」ですが、戦中・戦後に酷使されたこともあり、現存するのは世界でも数台程度でした。
しかし、2013(平成25)年に前期型のボディとシャーシが京都市内で発見され、これを譲り受けたNPO法人「防衛技術博物館を創る会」がクラウドファンディングで資金を集めて、3年の歳月を掛けてレストアを完成させました。
この九五式小型乗用車は、九五式軽戦車と共に御殿場市で建設を予定している「防衛技術博物館」(仮称)での展示を目指していますが、それまでの間は時折こうしたイベントで顔を見せるかも知れません。
日本製の4輪駆動車というと、トヨタ「ランドクルーザー」や三菱「パジェロ」などが有名ですが、それらの始祖ともいうべき存在が「くろがね四起」こと九五式小型乗用車です。機会があれば是非、先人が形にした日の丸4輪駆動車の息吹、空冷エンジンの音を聴いてみてください。
【映像】快調だなぁ! これが「日本初の実用四駆」のエンジン音です
実は損している?
ニュースを読んでポイントが貯まるサービスがあるのを知っていますか?ポイントサイトのECナビでは好きなニュースを読んでポイントを貯めることができるのです。(※ECナビはPeXの姉妹サイトです。)今日読んだニュースが実はお小遣いになるとしたら、ちょっと嬉しいですよね。
ポイントの貯め方はニュースを読む以外にも、アンケート回答や日々のネットショッピングなど多数あるので、好きな貯め方でOK!無料で登録できてすぐに利用できます。貯まったポイントはPeXを通じて現金やAmazonギフトカードなどに交換できます。
運営実績も15年以上!700万人以上の方がポイントを貯めています。毎日好きなニュースを読んでお小遣いを貯めてみませんか?
簡単無料登録はこちらYOUの気持ち聞かせてよ!
いいね | ![]() |
|
---|---|---|
ムカムカ | ![]() |
|
悲しい | ![]() |
|
ふ〜ん | ![]() |
