国鉄が開設した「最初のバス路線」とは? “自動車駅”も存在 当時に近いルートをたどって乗り継いでみた
- 乗りものニュース |

国鉄はかつて、鉄道や鉄道連絡船だけでなく、バスも運行していたことをご存じでしょうか。当時の車両は今も現存しています。
当初は「路線バス7台」でスタート
現在JRが管理する鉄道は、1987年までは日本国有鉄道、いわゆる国鉄が運営していました。国鉄は、日本全国で鉄道や鉄道連絡船だけでなく、バスも運行していたことをご存じでしょうか。
リニア・鉄道館に展示されている国鉄バス第1号車。2022年3月に重要文化財に指定された(水野二千翔撮影)
国鉄の前身である鉄道省は、1922年に公布された鉄道敷設法により鉄道網の新設を進める一方で、鉄道では採算を取るのが難しいと考えられる区間には、バス路線を整備することにしました。全国から7路線が候補として挙げられたなかで、第1次路線、つまり「国鉄バス第1号路線」として整備が決まったのが、国鉄バス岡多線です。
この岡多線は愛知県の岡崎と岐阜県の多治見を結ぶ路線。途中、瀬戸では多治見方面と愛知県の高蔵寺方面に分岐するようになっていました。1930年12月20日に開業し、本線である岡崎~瀬戸~多治見間57.1kmを約3時間、支線の瀬戸~高蔵寺間8.7kmを約30分で結んだといいます。面白いのは旅客輸送だけでなく、貨物輸送も行っていた点。沿線は「瀬戸物」や「美濃焼」といった陶器が重要な産業になっており、製品の運搬も岡多線の使命だったのです。開業当初は路線バス7台、トラック10台で営業をスタートしました。
瀬戸にはかつて「瀬戸記念橋駅」という、鉄道駅と同様の機能を備えた「自動車駅」が存在していました。岡多線のジャンクションとしての役割を担いましたが、現在は再開発により観光施設「瀬戸蔵」が立ちます。その一角には「省営バス発祥の地」という碑があり、往時の記憶を伝えています。
ちなみに、当時の路線バス7台のうち1台は現存しており、名古屋市の「リニア・鉄道館」で見られます。この車両は岡多線で1937年まで走った翌年、東京万世橋にあった旧鉄道博物館(後の交通博物館)で長らく展示。2007年には大宮に新設された鉄道博物館へ、2011年にリニア・鉄道博物館へ移された経緯があります。
国鉄バス「発祥の地」にJRバスの姿なし
その後、岡多線は1976年に鉄道が岡崎~新豊田間で旅客営業を開始。1988年には経営が第三セクターの愛知環状鉄道に引き継がれ、新豊田~高蔵寺間が開通しました。栄光の国鉄バス第1号路線でも、鉄道が並行するようになればお役御免。国鉄分割民営化後はJR東海バスが運行していましたが、2002年に廃止となりました。また、2009年にはJR東海バスが路線バスの経営から全面撤退しており、現在の瀬戸市内でJR東海バスを見ることは、高速バスを含めてありません。
瀬戸市コミュニティバス下半田川線で使用されるハイエース(水野二千翔撮影)
ただし、現在運行されている路線を組み合わせれば、比較的当時に近いルートをたどって、瀬戸~多治見間をバスで乗り通すことができます。
現在の瀬戸~多治見間は瀬戸市コミュニティバス下半田川線と東濃鉄道が運行する路線バス下半田川線を、瀬戸市下半田川町で乗り継ぐ形になっています。瀬戸市コミュニティバスは火曜日・木曜日・土曜日に限って運行され、1日6本を設定。一方、東濃鉄道は毎日、1日10本程度運行しています。
今回は瀬戸から多治見に向かうルートを試すことに。瀬戸市コミュニティバス下半田川線に乗車できる愛知環状鉄道の中水野駅前には、ロータリーが設けられており、名鉄バスや近郊の大学へのスクールバスが発着します。やがてやってきたのはハイエース。降りる停留所を乗車時に申告する形式が取られていました。
中水野駅を発車したバスは国道155号に入り、北へ向かいます。十軒家を過ぎると右手に水野川が現れ、木々に囲まれました。カーブも多くなり、さながら山岳路線の様相。鹿乗町を過ぎると「愛岐道路」の名前を持つ愛知県道15号を走行。左手には庄内川が迫り、爽やかな車窓が楽しめます。JR中央本線が止まる定光寺駅を過ぎると9️%の急勾配を駆け上がって、瀬戸市定光寺町の集落へ。さらに5分ほど山道を走れば、下半田川町内にある終点の妻之神に到着しました。中水野駅から妻之神の所要時間は約20分です。
往時に思いを馳せながら乗り継ぎ旅も可能
下半田川は愛知県側で最後の町。周囲は田畑が広がる、農村のような雰囲気の場所です。下半田川~妻之神間は岐阜県側からやってくる東濃鉄道も並走しており、停留所も同じ位置に設置され、ポールが仲良く並んでいるのは面白いポイント。しばらくすると、これから向かう岐阜県側から、赤と白のツートンに緑の細いラインが入った東濃鉄道のバスが姿を見せました。このバスが折り返して、多治見に向かいます。
下半田川~妻之神間は瀬戸市コミュニティバスと東濃鉄道の併走区間。停留所のポールも並んで設置(水野二千翔撮影)
東濃鉄道のバスには、妻之神から徒歩で始発の下半田川まで戻って乗車。国道248号に入ると愛知と岐阜の県境に向けてどんどん標高が上がっていき、やがて県境を通過。多治見市内にはいると一転して下り勾配に。片側2車線で中央分離帯もある、よく整備された道路を備えるニュータウン・ホワイトタウンで数名の乗り降りがありました。やがてバスは岐阜県内に入って庄内川から名前を変えた土岐川を陶都大橋でパスして、終点の多治見駅前に到着。下半田川から多治見駅前まで、26分で結んでいます。
国鉄バス開設当時とは使用車両はもちろん道路状況も異なりますが、往時に思いを馳せながら乗り継ぎ旅を楽しむことができました。
ちなみにまったくの私事ですが、筆者の祖父は瀬戸にほど近い愛知県名古屋市守山区上志段味で生まれ育ち、国鉄バスにも親しみがあったようです。筆者は幼い頃から「国鉄バスは瀬戸が発祥だった」と聞かされて育ちました。
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