なぜ京王線の線路幅は都電サイズ? 「元 京王電車ここを通る」標柱にヒントあり 廃線たどる
- 乗りものニュース |

井の頭線を除く京王線の線路幅は、JR在来線やその他の私鉄が採用する狭軌より広く、新幹線の標準軌より狭いものです。これは都電荒川線などと同じサイズ。これには歴史的な理由があります。
京王線は都電荒川線と小田急線のどちらに似ている?
東京の鉄道には、主に3種類の軌間(左右2本のレール間の幅)が存在します。鉄道に特に詳しくない方でも、京急、京成、京王(井の頭線を除く)は、JR路線に比べて線路の幅が広いと感じている人も多いのではないでしょうか。
代表的な軌間はJR在来線の1067mm(3フィート6インチ)。一般に狭軌と呼ばれ、東急(世田谷線を除く)、小田急、京王井の頭線、西武、東武の各路線もこの軌間です。
次によく知られているのが新幹線の軌間で1435mm(4フィート8と2分の1インチ)。欧米で最も普及している軌間のため標準軌と呼ばれ、京急、京成もこの軌間です。
京王線の電車(2021年3月、内田宗治撮影)。
そしてもうひとつが、全国的にも珍しい軌間で「馬車軌間」とも呼ばれた1372mm(4フィート6インチ)です。京王線と都電荒川線、それに東急世田谷線がこれにあたります。
軌間は都電の前身のひとつである東京馬車鉄道に由来します。2頭の馬が短い客車を牽いて線路の上を小走りに往来するものでした。今なお路面電車の雰囲気を色濃く残す東急世田谷線と都電はまだしも、京王線が馬車軌間とは何とも違和感があります。
そもそも現在の京王線が、「都電荒川線と、たとえば小田急線のどちらに似ているか」と問われれば、ほとんどの人が小田急線と答えるでしょう。京王も小田急も長編成の電車が、都電にはない地下区間も含めて疾走しています。しかし昭和戦前なら、京王線は小田急線より都電荒川線(当時は王子電気軌道、後に東京市電)の方に似ていると答える人が多かったかもしれません。
前身の社名に入る「軌道」の文字
1913(大正2)年に笹塚~調布間を開業した京王電鉄の当時の社名は京王電気軌道、1927(昭和2)年に新宿~小田原間を開業した小田急電鉄の社名は小田原急行鉄道でした。なお、この当時は現在の都電荒川線も、王子電気軌道という私鉄です。
王子電気軌道も京王電気軌道も、「軌道」の文字が入っていたように、道路との併用軌道区間、いわゆる路面電車区間のある路線でした。電圧も、小田急が当初からJR在来線と同じ直流1500Vなのに対し、京王電気軌道と王子電気軌道は直流600Vでした。
京王電気軌道の開業時の車両は車体長8m級、定員44人の木製4輪単車、戦後の昭和20年代前半でも14m級の車両が2両編成などで走るにすぎず、低速の路面電車を彷彿させるものでした。さらにいえば、京王電気軌道と王子電気軌道は、沿線に電灯・電力を供給する事業のウエイトが高かったことも共通していました。
以上から、JR在来線より幅の広い軌間の鉄道は、路面電車(軌道)の系譜に連なるわけです。
なお、この2社のほか東京の大手私鉄で、かつて都内に併用軌道区間があった路線として、京成押上線(京成電気軌道)と京急本線(京浜電気鉄道)があります。京成は開業時が馬車軌間で、後に標準軌へ変更、京急は開業時が標準軌で後に東京市電へ乗り入れるために馬車軌間に変更、その後さらに標準軌へ再変更しています。
上記の私鉄3社のうち、都内で併用軌道だった区間を挙げてみます。
・京王線:新宿~幡ヶ谷、仙川~柴崎(甲州街道)
・京急本線:品川~北品川、梅屋敷~雑色(第一京浜)
・京成押上線:四ツ木~京成立石(奥戸街道)
※一部を除き現在とは別線のため、付近の現在の駅間で表記。上記駅間に専用軌道区間もある。
それぞれの併用軌道だった区間には現在、そこに電車が走っていたという痕跡はほとんどありません。ただし京王線の新宿付近では、併用軌道区間があったことを偲ばせてくれる箇所があります。JR新宿駅南口から甲州街道を600mほど初台方向に進んだ文化学園大学付近です。
路面電車だった痕跡を探す
京王線新宿駅の地下化は1963(昭和38)年です。それ以前、線路は新宿駅を出てすぐに甲州街道上を約400m走り、現・文化学園大学付近でS字の急カーブを描きながら玉川上水を渡り、甲州街道に並行する専用軌道区間へと進んでいました(1945年7月~1963年3月の例。それ以前は山手線の内側の新宿追分が始終点)。
甲州街道の文化学園大学付近。正面アーチは玉川上水モニュメント。ここを京王電車と玉川上水が、甲州街道に沿って延びていた(2021年12月、内田宗治撮影)。
文化学園大学前の幅広い歩道のような場所から先、初台駅方面へと緑道が延びていますが、ここはかつて玉川上水に沿って京王線が地上を走っていた廃線跡です。玉川上水も暗渠化され、いわば廃線跡と廃川跡が一緒になっているわけです。そうした全国的にも珍しい例が、高層ビル群を間近に見る新宿にあります。
もう1か所、京王線つつじヶ丘駅(東京都調布市)付近を訪ねてみましょう。同駅近くの甲州街道に滝坂下交差点があり、そこから調布方面へ約600mにわたる甲州街道上に、1913(大正2)年から1927(昭和2)年まで線路が敷かれていました。もはやここも痕跡はないのですが、縮尺の詳しい地図を見ると、PCデポの建物付近で甲州街道から斜めに分かれた道の先で、かつての線路跡が一部分かります。線路跡に建てられた建物は他の建物と向きが異なり、線路跡をなぞる形で建物が続いているためです。
そして野川沿いの調布市立第七中学の校内には、「元 京王電車ここを通る」の案内柱が立てられています。このあたりに線路が通っていたのは、今から90年以上前(2021年末時点)なので、電車が走っていた面影はまったくなく、この案内柱に出会うととても不思議な気がします。かつての線路は布田~調布間で現在の線路に合流していました。
線路の幅の違いを見ていくだけでも、鉄道の歴史の深さを実感させられます。
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