着陸で煙る「飛行機タイヤ」クルマのものとはどう違う? デカイだけじゃない工夫とは
- 乗りものニュース |

着陸した旅客機は、接地した瞬間にタイヤから煙が発生します。このタイヤは一般的な自動車で用いられているものと比べて、どのような差があるのでしょうか。また、どのような工夫が凝らされているのか見ていきます。
ボーイング747であれば計18本
空港の展望デッキなどで、着陸するシップ(旅客機)が滑走路に接地した瞬間、タイヤから煙が上がり、後方に流れることは、さほど珍しいことではありません。
これはカースタントで車体をグルグル回している際にタイヤから煙が出るのと同じく、紙やすりの様に接地面で削られたタイヤのゴムが、舗装路面との摩擦で発生した熱によって発生するものです。
伊丹空港に着陸するボーイング787型機(2019年、乗りものニュース編集部撮影)。
たとえば、かつて日本の航空会社でも数多く使用されていた「ジャンボジェット」ことボーイング747型機では、前輪に2本、胴体下の主脚2脚に各4本、左右の主翼下の主脚に各4本で、合計18本ものタイヤが用いられています。
これらのタイヤは、シップの着陸時、宙に浮いた状態のときはタイヤが回っていないところから、接地した瞬間に一気に時速300kmでこすられ、高速で回るようになります。この時速300kmは、F-1のレーシングカーの最高速度にも匹敵するもので、その超高速へ一気に到達することになるのです。
ボーイング747シリーズの最大着陸重量が約300tと仮定するならば、タイヤ1本あたり、単純計算で20t程度の重量を受け止めていることになります。ちなみに同モデルは、最大離陸重量はそれ以上の約400tにもなり、スポット(駐機場)ではそれ以上の重量を支えなければなりません。
747のタイヤはどんなもの?凝らされている工夫も
先述のように旅客機のタイヤは非常に大きな負荷がかかります。そのため、747シリーズのタイヤは1本で100kg程度あり、仮に航空機のジャンク部品を販売するイベントなどで購入した際は、クルマのトランクや荷室にどう載せるか頭を悩ますことになるでしょう。もちろん、まずその前に人力ではクルマまで運びこむのも難儀するシロモノです。
そしてこのタイヤ、大きさなどが規格外なだけではなく、その仕様も一般的な自動車のそれとは異なります。まず、タイヤ内に封入されている気体は、高級自動車でも使っている可燃性のない窒素を封入することで、万が一の際も燃え広がりにくいようにしています。
自動車用のタイヤ表面には、ジグザグの溝が彫られています。この溝はエンジンによる駆動力をタイヤに伝え、タイヤの摩擦力を前進力に変えるためのもので、ジグザクの方がグリップ性能がよくなるからです。
対して旅客機用タイヤの溝は縦の直線です。これは離着陸するため滑走路を高速で移動するとき、タイヤによって機体に前進力を与えているわけではないので、横の溝やジグザグが必要ないためといえるでしょう。縦に溝が彫られているのは、滑走路面が濡れているときに水はけを良くして、ブレーキ性能を高めるため。ちょうど、F-1カーで路面が濡れているときに使われるレインタイヤに似ています。ただし、旅客機用タイヤは、F-1のもののように、晴れているから溝のないものに交換する、というわけではありません。
では、旅客機用タイヤはどれくらいの頻度で交換されるのでしょうか。
実は超エコかも「飛行機のタイヤ」 とはいえ安全第一
日本の大手タイヤメーカーであるブリヂストンは、大型旅客機用タイヤも製造しており、ボーイングやエアバスの公式メーカーとして認められています。同社は旅客機のタイヤ交換の頻度を公表しており、その公表値は一回装着するとトラブルなどがなければ、200回ほど離着陸することができるそうです。
そして、旅客機用タイヤには、ある意味とてもエコな特徴もあります。それは摩耗し、交換時期に達したタイヤの表面にゴムを張り付け、再び使うというもので、「リキャップ」といいます。要は再生タイヤといえるものですが、なんと「リキャップ」、設計時の設定では6回まで可能とのこと。つまり、7回同じタイヤを使い回すことができるようになっています。
鹿児島空港で展示されているボーイング747型機のタイヤ(2019年、乗りものニュース編集部撮影)。
ただ、航空便の運航は安全が最優先。離陸前には、機長が機体全体を目視点検する際にタイヤもチェック、着陸後にも再びチェックをして、不具合があればその場で対応します。夏は舗装路からの照り返し、冬は吹きっさらしと寒暖の差が激しい駐機場の環境で20本近くの細かい部分をチェックするのは大変でしょうが、こういったパイロットを始めとする、航空会社のスタッフによる知られざる努力によって、日々の安全運航が支えられているのです。
離着陸時に、もしタイヤがバーストしてしまうと、自機の安全性に影響がおよぶことはもちろんのこと、シップが立ち往生する形となるため、後続の着陸機や出発機に支障が生じるほか、滑走路面に損傷があれば空港自体を閉鎖することにもつながります。まさに「たかがタイヤ、されどタイヤ」といえるでしょう。
なお、2021年現在、JAL(日本航空)やANA(全日空)において主力大型機として用いられているボーイング777型機では、胴体下の主脚2脚に各6本ずつ、タイヤが付いていますが、とある工夫が凝らされています。
777型機の主脚で最も後方にある2輪は、左右に動く「ステアリング機能」を有しています。これにより、タイプによっては「ジャンボ」をも上回る全長を持つ同シリーズでも、地上走行時に旋回半径が小さくなるような工夫が凝らされているとのことです。
※一部修正しました(2月22日15時06分)。
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