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ヨガの“無理なポーズ”が脳梗塞招く!? 専門医「後頭部に激しい痛みがある場合は注意」と呼び掛けるワケ

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ヨガの際、頭や首を後ろに反る「ラクダのポーズ(ウシュトラーサナ)」が脳梗塞の原因に?(画像はイメージ)
ヨガの際、頭や首を後ろに反る「ラクダのポーズ(ウシュトラーサナ)」が脳梗塞の原因に?(画像はイメージ)

 健康維持のために運動やヨガを行う人は多いと思います。ところで、ネット上では、ヨガの際、頭や首を後ろに反らす「ラクダのポーズ(ウシュトラーサナ)」を日常的に行っていると、脳梗塞のリスクが上がるという内容の情報があります。実際に、頭を後ろに反らすポーズが脳梗塞の発症リスクを高める可能性はあるのでしょうか。

 運動やヨガ、ストレッチの際の首に負担をかけた場合の危険性について、「SOグレイスクリニック」(東京都品川区)院長で脳神経外科専門医、医学博士の近藤惣一郎さんが解説します。

椎骨動脈解離に注意

 結論から言うと、運動やヨガ、ストレッチに限らず、日常生活で首に過度な負荷をかけてしまうと、場合によっては脳梗塞やくも膜下出血を発症する可能性があります。特に気温が低下するこれからの時期は要注意です。

 運動やヨガ、ストレッチなどをする際に知っておきたいのが首の中を走行する血管「椎骨動脈」の役割です。椎骨動脈は左右に1本ずつ、計2本あります。左右の椎骨動脈は頭蓋内に入った後、合流して1本の脳底動脈となり、生命維持に重要な呼吸や心拍などをつかさどる「脳幹」、運動のバランスをつかさどる「小脳」、視覚をつかさどる「後頭葉」など、脳の後ろ側にある重要な領域に血液を供給しています。

 椎骨動脈は、首の骨である頸椎(けいつい)の横にある「横突孔」の中を、骨に守られるような形で上行しています。この走行のおかげで通常は安全ですが、運動時やヨガの際に首を過度にひねったり、後ろに反ったりするといった急激な動きや無理な力が加わると、それに連動して血管が引き伸ばされたり、圧迫されたりして血管壁が損傷しやすいという特性があります。

 このように負荷をかけることで椎骨動脈の血管壁が裂けてしまう病態を「椎骨動脈解離(ついこつどうみゃくかいり)」と呼びます。椎骨動脈解離は、内膜、中膜、外膜の三層構造の血管の壁のうち、最も内側の内膜に亀裂が入り、そこから血液が中膜内に流れ込むことで、血管の壁が裂けてしまう状態(解離)を指します。この解離が、血管の内側や外側に影響を及ぼし、脳梗塞やくも膜下出血が生じることがあります。

【椎骨動脈解離から脳梗塞が発生するメカニズム】
脳梗塞は、脳へ血液を送る血管が詰まることで、その先の脳組織が壊死してしまう病態です。椎骨動脈解離では、主に次の2つの仕組みで脳梗塞が起こります。

(1)血管の狭窄(きょうさ)、閉塞(へいそく)による血流不全
血管壁の内部(内膜と中膜の間)に血液が流れ込み、血腫(血の塊)ができると、この血腫が本来の血液が流れる道(真腔)を内側から圧迫し、血管の内腔を狭窄させたり、完全に閉塞させたりします。これにより、椎骨動脈が血液を供給している脳幹や小脳といった領域への血流が極端に不足し、脳梗塞を引き起こします。

(2)血栓の形成と塞栓
血管壁の内膜が裂けると、その傷ついた部分に血液中の血小板などが集まり、血栓ができやすくなります。この血栓がはがれ、血液に乗ってさらに末梢(まっしょう)の細い血管に流れ着き、そこで血管を詰まらせることで脳梗塞(塞栓性脳梗塞)を引き起こします。

【椎骨動脈解離からくも膜下出血が発生するメカニズム】
くも膜下出血は、脳の表面にある血管が破れることで、脳を覆う「くも膜」の下に出血が広がる病態です。

・解離の進行と外膜の損傷
内膜に生じた亀裂から始まった解離がさらに進行し、血管の壁の一番外側にある膜(外膜)にまで達してこれを破綻させます。外膜が破れると、高い圧力の動脈血が血管外、特に脳と頭蓋骨の隙間であるくも膜下腔に流れ出し、くも膜下出血となります。

解離した部分の血管壁が外側に膨らみ、こぶ状(解離性脳動脈瘤)になることがあり、このこぶが破裂することでくも膜下出血が起こるケースもあります。

 つまり、椎骨動脈解離は「詰まる(脳梗塞)」か「破れる(くも膜下出血)」という、性質の異なる2つの重篤な病態を引き起こす可能性がある、極めて危険な状態と言えます。そのため、迅速な対応が非常に重要です。

椎骨動脈解離の症状は?

 椎骨動脈解離は主に「強い衝撃や過度な首の回旋・伸展」が原因で発生し、特に交通事故によるむち打ち、ラグビーや柔道などの激しい運動の際やゴルフのスイング時に椎骨動脈を強く引き伸ばしたり、急激にひねったりする動きが非常に危険です。

 また、「カイロプラクティックやマッサージでの首の急激な回旋」「美容院などでのシャンプー時に首を後ろに大きく反らす姿勢」「極端に高い枕を使って寝る」などの行為も椎骨動脈解離のリスク要因となります。

 椎骨動脈解離の特徴的な症状は、突然、後頭部や首筋に激しい痛みが生じることです。この痛みの程度は、通常の頭痛や肩こりとはレベルが違う激痛で、片側のみに起こることが多いとされています。もしこのような痛みが出た場合は注意が必要です。

 この痛みが数時間から数日続いた後、血流障害によりめまい、ふらつき、嚥下(えんげ)障害、手足のしびれや脱力などといった脳血流不全の症状が現れることがあります。血管解離が進行し、脳梗塞となってしまえば、これらの症状が後遺症になったり、命の問題にもなったりします。急な首の痛みや、それに続く神経症状がある場合は、重篤な合併症を防ぐためにも、早期に脳神経外科などの医療機関を受診することが極めて重要です。椎骨動脈解離は、特に若年から中年の脳卒中の原因として重要であり、「寝違え」や「激しい肩こり」と誤認されやすいです。

 椎骨動脈解離を予防するためには、首に不自然な負荷や急激な衝撃を与えないことが最も重要です。例えば、ヨガやストレッチで首を動かす際は、急激な動きや可動域を超えた無理な動き、長時間同じ姿勢で固定することに注意が必要です。特に高血圧、動脈硬化、糖尿病などの持病をお持ちの人は、日常の動作や姿勢に十分注意し、整体やマッサージなどで首に強い刺激を加えることは避けるべきです。

 もし運動中や運動後のほか、日常生活で首をひねってしまった場合に、次のような症状が出た場合は、すぐに運動を中止し、必要に応じて医療機関を受診してください。これらの症状は、椎骨脳底動脈循環不全(椎骨動脈の血流障害)のサインである可能性があります。

【受診すべき主な症状】
・めまい、ふらつき
・ろれつが回らない
・吐き気、嘔吐(おうと)
・激しい後頭部の痛み、頚部痛
・耳鳴り
・視界の異常(二重に見える、視野が欠けるなど)

医療機関に行く際の対処法

 突然の激しい頭痛、激しいめまいと吐き気、首の後ろの痛みなど椎骨動脈解離が疑われる症状の場合、自身でできる最も重要な対処は次の2点です。

(1)すぐに救急車(119番)を呼ぶ
症状が激しい場合は、一刻を争う事態である可能性があるため、迷わず救急車を呼んでください。救急隊員に、「首を無理な姿勢にしたり、ひねったりした後から症状が出た」など、状況を詳しく伝えてください。

(2)安静を保つ
できる限り横になるなどして、体を動かさず安静にしてください。首に負担をかけないよう、首をひねったり、急に動かしたりすることは絶対に避けてください。安静にすることで、血管への負担を減らし、病状の悪化を防ぐことが期待できます。

自己判断で症状を軽視したり、医療機関の受診を遅らせたりすることは大変危険です。

■椎骨動脈解離の一般的な治療
椎骨動脈解離と診断された場合の治療方針は、解離の程度、合併症(脳梗塞やくも膜下出血)の有無、患者の全身状態などによって異なります。

(1)保存的治療(主に薬物療法と安静療法)
軽度の場合や、出血や広範囲の梗塞がない場合にまず行われることが多い治療法です。

・薬物療法
アスピリン、クロピドグレルなどの抗血小板薬やヘパリン、ワルファリンといった抗凝固薬は血栓(血の塊)ができて脳梗塞になるのを予防するために使用されます。ただし、出血のリスクもあるため、医師の判断で選択されます。

高血圧がある場合、血管への負担を減らすために降圧薬を使い、血圧をコントロールします。また、激しい頭痛などの症状を和らげるために鎮痛薬が使用されます。

・安静療法
入院して安静を保ち、血管の自然修復を促します。通常2~4週間程度の入院が必要になることがあります。

(2)外科的治療(手術)
主に、くも膜下出血を発症した場合や、薬物療法では病変の進行が抑えられない場合などに行われます。

・血管内手術
カテーテルという細い管を使って、解離した部分にコイルを詰めたり、ステント(金属の支え)を入れたりして、血管を閉塞・補強する治療です。

・開頭手術
頭蓋骨を開けて行う手術です。病変部を直接処置したり、必要に応じてバイパス手術(迂回路を作る手術)を行ってから病変部を閉塞したりすることがあります。

椎骨動脈解離は、治療法や治癒の基準が完全に確立されているわけではなく、医師によっても治療方針が分かれることがあります。そのため、専門医とよく相談し、ご自身の状態に合った治療を選択することが重要です。もし、椎骨動脈解離の症状が疑われる場合は、直ちに医療機関を受診してください。

オトナンサー編集部

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