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列車の窓は“脱出口”か コロナ禍に京王線事件 なぜ「少しだけ開く窓」になったのか

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  • 乗りものニュース
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京王線の車内で発生した傷害事件では、乗客が半開きになった車両の窓から脱出する様子が報じられました。ドアが開かない時、窓は脱出口になり得るのでしょうか。そもそも、列車の窓の役割は何なのでしょうか。

列車の窓が持つ3つの役割

 3年ほど前の2018年、筆者(枝久保達也:鉄道ライター・都市交通史研究家)は乗りものニュースの記事で「列車の窓を開けたことがないという人も、今では珍しくないのではないでしょうか」と書いたことがあります。当時はまさか、列車の窓についてこれほどまでに関心が寄せられる時代が来るとは思いもしませんでした。

Large 211118 window 01列車の窓。たいていは開いても半分ほど(2021年9月、伊藤真悟撮影)。

 まずはコロナ禍です。新型コロナウイルスの感染防止には「三密」を防ぐことが重要との考えから、室内、車内など密閉空間では適切な換気を行う必要があるとされました。JR東日本などは、在来線特急車両や新幹線車両では空調装置や換気装置により、6~8分程度で車内の空気は入れ替わるとしています。

 また、通勤車両についても駅ごとにドアが開くことで換気されるほか、空調装置が定期的に外気を取り入れることで、車内の空気は5~7分程度で入れ替わりますが、これらに加えて窓を5~10cm開けることでさらに換気が促進されるといいます。

 鉄道車両の窓は元々、「眺望」「採光」「換気」という3つの機能を持っていました。加えて夏は、風を通すことによる「冷房」の機能も。眺望は車外の景色を眺めるだけでなく、放送やディスプレイなどの案内装置が普及するまでは現在地を把握するための役割を担っていました。

 採光についても、安価で取り扱いが簡易な照明装置が普及するまで、窓は明かりを確保する唯一の手段でした。現在でも一部の鉄道事業者は日中時間帯、室内灯を消灯して運行しているように、採光は今も窓の重要な役割のひとつです。

 室内灯や案内装置が普及した後も、窓が重要な役割を果たしていたのが換気や冷房です。特にぎっしりと人が乗り込む朝ラッシュ時間帯では、車内には暑くよどんだ空気が充満していますが、首都圏の通勤車両では30~40年ほど前まで車内冷房が普及しておらず、涼しく新鮮な空気を取り込むためには窓を開けるしかありませんでした。

開けられなくなった窓で起きた「事故」

 しかし車内冷房が普及したことで窓を開ける必要はなくなり、1993(平成5)年に登場したJR東日本の209系車両では、換気と冷房を兼ねた空調装置を通年可動させることで、車両端の小窓を除き、開閉しない固定窓としました。

 ところが換気と冷房を空調装置に頼るということは、停電すると換気ができなくなることを意味します。実際に2005(平成17)年8月、209系が停電事故で長時間立ち往生した際に体調不良者が続出する事態となり、結局、固定窓の一部を開閉できるように改修工事が行われました。

 この事故より前の2000(平成12)年に登場した、209系の改良型であるE231系から既に開閉できる窓が備えられるようになっていましたが、これがコロナ禍においても吉と出る結果となったのです。

 もうひとつの窓にまつわるトピックスが2021年10月、京王線の特急列車内で刃物を持った男が乗客を刺し、オイルを撒いて火をつけた事件です。特急列車は通常なら通過する国領駅に緊急停車しましたが、乗客が非常用ドアコックを操作したこともあり、ホームドアと車両のドアがずれた位置に停車したまま車両を動かせなくなってしまったのです。車掌はドア位置がずれた状態で開扉するのは危険と判断。パニックになった乗客が窓からホームに脱出する映像をニュースで見た方も多いでしょう。

 それでは、窓は脱出口としても機能するのでしょうか。現在の通勤車両の窓は上半分が開く構造が一般的です。窓の高さは約1mですから、その半分の50cm程度の幅があるため人が通ることは可能です。

 国鉄はかつて「二段上昇式」と呼ばれる完全に開けられる窓を設置していました。混雑した車内でドアまで移動することが困難な場合に、窓から乗り降りしたという逸話もあるほどです。しかし走行中に窓から身を乗り出すと対向列車や架線柱に衝突する恐れがあり危険なことから、下半分は開かない構造の窓が主流となりました。

あちら立てればこちらが立たぬ…なのか

 窓からの脱出で想起されるのが1951(昭和26)年に京浜東北線の桜木町駅構内で発生した列車火災事故「桜木町事故」です。この事故では火災の影響で車両のドアが開かなくなり、乗客は窓から脱出しようとしましたが、事故車両の「モハ63形」の窓は、中段は固定式で上段と下段が開閉する「三段窓」と呼ばれる独特な構造だったため脱出できず、100人以上が焼死する惨事となりました。

Large 211118 window 02戦前の列車で一般的だった窓。全開できるものも多かった(2017年10月、中島洋平撮影)。

 確かに窓が大きく開いたなら助かった人もいたでしょう。しかし無理に窓から逃げずとも、非常用ドアコックを操作すればドアを開けて逃げることは可能でした。ところが当時、非常用ドアコックの設置は義務ではなく、設置されていたとしても、その位置や操作方法は全く周知されていませんでした。

 事故後、非常用ドアコックの設置は義務化され、設置位置や使用方法の表示がされるようになりましたが、これは京王線での事件にも通じる教訓があるように思えます。

 今回でいえば、窓を脱出口として活用する方策を考えるのではなく、ホームドアと車両のドアがずれた場合でも確実に脱出できるようにすることが重要です。そのためにはホームドアに必ず脱出口を設置するとともに、その操作方法をある程度統一し、乗客に周知する必要があるでしょう。

 ただひとつ付け加えておかなければならないのは、非常時に車内に留まる(あるいはドアが開くのを待つ)よりも窓から逃げた方が、命が助かる可能性が高いのであれば、窓から脱出することも選択肢のひとつであるということです。多様なケースを想定した対策が求められます。

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