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ボーイングの旅客機が宙返りをキメた! なぜ? 本当にあった「旅客機バレル・ロール」伝説

16,022 YOU
  • 乗りものニュース
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ジェット旅客機でのアクロバティック飛行は、できないことになっています。ただこの原則をかつて大きく覆したのが、ボーイング社のテスト・パイロットによるバレル・ロールです。なぜこのようなことが起きたのでしょうか。

「ジェット旅客機では無理です」が模範解答

 ときどき筆者(種山雅夫、元航空科学博物館展示部長 学芸員)は「ジャンボ・ジェットは宙返りできるんですか?」「ジェット旅客機は戦闘機のようなアクロバット飛行はできるんですか?」というご質問をいただくことがあります。

 この答えは、単純に言えば「できません」となるのですが、もしかすると「できないことになっています」という方が正確なのかもしれません。

 航空機は、設計の段階でどのような用途に使用するかということを前提に、スペックを決定していきます。空中へ安全に浮かび上がるには、どれほどの機体重量(乗客、貨物なども含む)にできるかをはじめ、寸法、速度、搭載エンジンなどを検討していくわけです。

Large 01ボーイング707の原型、ボーイング367-80(画像:ボーイング)。

 用途を踏まえ、どこまでの機動性が必要か判断し強度設計に反映しますが、この段階において、一部を除く軽飛行機やジェット旅客機などの場合、上昇、旋回、降下などの基本的な機動以外は想定しません。これは、必要以上の機動を想定すると、強度をもっと上げる必要があり、重量がかさむためです。

 では、実際にジェット旅客機がアクロバティット飛行をしたことはないのか?というと、実はあります。

 その最たる例が、1955(昭和30)年にボーイング707の原型機である「ダッシュ・エイティ」こと367-80が行った、宙返り飛行です。もちろんこれは故障などではなく、意図的なものです。

 1955年8月7日、ボーイング社のシアトル工場近くにあるワシントン湖で、ゴールド・カップ水上機レースが開催され、ボーイング社でもブースを出して招待客を集めていました。レースの前には、「ダッシュ・エイティ」のフライパス(会場上空でのデモンストレーション飛行)が実施されました。

 同機を操縦したのは、ボーイング社のテスト・パイロットであるアルヴィン・ジョンストン機長。なんとここで、機体を裏返しさせ、戦闘機でおなじみ「バレル・ロール」を観客の目の前で披露し、機体の性能をアピールしたのです。

なぜ「バレル・ロール」したの?

 1950年代初頭、“超最先端の乗りもの”であったジェット旅客機は、展示飛行などで各社が革新的なフライトを実施していました。当時一般的だったプロペラ機と比べて、ずば抜けた性能を、見物者や航空会社にアピールしていたように思えます。

「ダッシュ・エイティ」以前にも、たとえば初のジェット旅客機であるデ・ハビラント「コメット」はエア・ショーで90度バンク(左右の傾き)を決め、後発のダグラスDC-8も試験飛行中に一時的に音速を超えています。「ダッシュ・エイティ」のバレル・ロールは、同機がベースとなった、ボーイング初のジェット旅客機「707」の開発においても、何かアピールを……として思いついたものだったのかもしれません。

 その後新型旅客機が開発されるたびに、航空ショーなどを始めとする披露の場で、アクロバティックな展示飛行を実施するのは“お約束”となりました。しかし、ボーイング社では旅客機のバレル・ロールはその衝撃ゆえ後年まで“禁則事項”となっており、のちのボーイング777の初飛行ではバレル・ロール禁止令まで出たとか、出なかったとか。

 このことでも明らかな通り、ジョンストン機長が行った超アクロバティックな「ダッシュ・エイティ」のバレル・ロール展示飛行は、事前に当時の上層部には伝わっていなかったようです。

実は凄いぞ!「バレル・ロール」をやった機長

 ジョンストン氏は幼少期、自分の農場で曲芸飛行家が実施した興行飛行を見たことで、飛行家の道を目指すようになりました。やがて、オクラホマの航空学校の飛行機整備コースで勉強し、操縦免許も取得。フライング・サーカスに所属しています。

 1942(昭和17)年にはベル社にテスト・パイロットとして入社し、P-39、P-63などのレシプロ機や、当時最新鋭のジェット機P-59、ロケット機X-1などを操縦しています。ただ、ベル社は第二次世界大戦の終了後、民間航空にシフトし、ヘリコプターを開発するようになります。

Large 03P-59。ジョンストン氏が操縦桿を握った機種のひとつ(画像:サンディエゴ航空宇宙博物館)。

 ジョンストン氏が飛行機に未練を残すなか、ボーイング社に欠員がでます。この補充要員として、ジョンストン氏は1949(昭和24)年、B-47のテスト・パイロットとしてボーイング社に入社。その後同社で地位を築き、1954(昭和29)年に行われた「ダッシュ・エイティ」の初飛行でも、彼が機長を務めていました。

 旅客機の歴史でもっともアクロバティックな「ダッシュ・エイティ」の背面飛行後も、ジョンストン氏はボーイング社のテスト・パイロットを継続。やがてはNASA(アメリカ航空宇宙局)の「アポロ計画」向けのプログラムの主任を務めるまでになります。

 同氏は1968(昭和43)年に第一線から退いたものの、1993(平成5)年には、テスト・パイロットとしての栄誉を評価され、航空殿堂に登録されました。

【映像】衝撃!ボーイング「ダッシュ・エイティ」のバレル・ロール

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