何歳からでもIQは上がるし、脳は変化できる。脳科学者が伝えたい、実はすごい「早生まれ」のメリットとは?
- マイナビウーマン |

日本において1月~4月1日に生まれた人は「早生まれ」といわれます。「早生まれは中学受験に不利」と聞いたことがある人もいるかもしれません。早生まれの子が中学受験に取り組むとき、親として気をつけたいことは何でしょうか。
医師として16万人以上のMRI診断を重ね、このほど様々なデータを検証し早生まれについて科学的に綴った著書『本当はすごい早生まれ』(飛鳥新社)を上梓した脳科学者の瀧靖之先生は、自身も息子の中学受験に伴走した一児の父。その体験を通じて、「早生まれの差」をはじめて実感したといいます。
早生まれの子は中学受験で不利?
※画像はイメージです
――瀧先生がお子さんの中学受験で早生まれの差を感じたのは、どんなことでしたか?
瀧靖之先生(以下、瀧) 受験勉強の様子を見ても、息子と同じ学年で遅生まれの子のほうが、「この中学に行きたい」「将来はこんな職業に就きたい」という目的意識を強く持って取り組んでいたように思います。
息子は中学に進学してからのほうが、目的意識を持って勉強をしているので、あと半年早く生まれていれば受験もまた違ったものになっていたかもしれないと感じたことはありました。
――早生まれの子が中学受験に不利と言われるのは、なぜだと思われますか。
瀧 早生まれの子は低学年のうちはとくに発育の差が大きいため、体力面や学習面で遅生まれの子に引け目を感じてしまうことがあると思います。学校生活で不利だと感じる場面が多いと、自己肯定感が下がってしまう機会が遅生まれの子よりも多いと考えられます。
つまりその子自身の生まれ持った能力がどうというよりは、生活の中で自己肯定感が下がったり、「自分には無理」と思い込んでしまったりするために、差がついてしまうという可能性はあるのかもしれません。だからこそ、中学受験を意識しているのであれば、いかに子どもの自己肯定感を高めるかが大事だと思います。
私がおすすめしたいのは、親が子どもに本気で伴走すること。親は上の立場に立って教えようとするのではなく、並んで一緒に同じ問題に取り組んでみるのです。子どもと一緒に走ることで、子どもの努力と成長を見ることができます。子どもがどれだけ難しいことを頑張っているかがよくわかるので、偏差値や点数などの結果だけを見てあれこれ言うなんてできなくなりますよ。
子どもに受験勉強を教えてもらえば自信がつく
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――先生はお子さんの中学受験にどんなふうに伴走していたんですか?
瀧 私は平日も時間が合えば一緒に勉強しましたし、週末は子どもと一緒に8〜9時間勉強しました。半分は自分の趣味のような感じでもありましたが(笑)。子どもと一緒に努力することを共有したくてやっていたので、教えることは極力控えました。中学受験の問題は本当に難しいです。子どもと一緒に解いていると、次第に子どもの方がどんどん伸びて、私の方が解けない問題も。息子に解き方を教えてもらうこともありました。
そうやって一緒に取り組んでみると、子どものテストの結果を見ても怒れなくなるし、「こんな難しい問題をよく解いたなぁ!」と尊敬の念すらわいてきます。親ができない問題を解けることは、子どもの自信にもつながるでしょう。
――とはいえ、仕事をしていたり弟や妹がいたりで、なかなか親が一緒に取り組む時間がない場合も……。
瀧 一緒に問題に取り組むのが難しい場合でも、子どもができなかったことに対して、自己肯定感を下げるほど必要以上に叱らないようにする意識を持つことは大事です。
ただこれは、僕自身、子どもの中学受験を終えたからこそ言えることで、渦中にいるとどれだけ難しいことか! なかなか意識してもできませんよね。私も我慢できず「どうして朝ちゃんと起きられないんだ」「なんで0と6をいつも書き間違えるんだ」などと、つい口うるさく言ってしまっていました(苦笑)。
でも、「必要以上に叱らない」と意識していれば、叱ってしまったあとに親も自己嫌悪に陥ります。親としての次の行動を変えられると思います。
――親としてではなく脳科学的な観点で見たとき、勉強だけでなく、体を動かすことも受験にいい影響がありますか?
瀧 有酸素運動は記憶に関わる海馬の成長に非常に重要だと言われています。だから、ジョギングをしたり、外遊びをするのはすごくいいことです。実際にさまざまな研究で、有酸素運動をすると子どもの学業成績が伸びると言われています。
私もよく息子と一緒に軽いジョギングをしていました。走りながら雑談をすると親子のコミュニケーションをとることもできます。
ですが、5年生後期くらいから塾の回数が増えて、下校したらすぐ塾へ行って、夜遅くに塾から帰宅して、さらに宿題があって……と非常に忙しくなりますよね。受験期はなかなか運動の時間をとることも難しくなりますが、少しでも体を動かす時間を作るのはとてもいいことです。体を動かすことはストレスを取り除く効果もあります。
早生まれだからこそ持っている武器の伸ばし方
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――日本の学校では、4月生まれのお子さんと翌年3月生まれのお子さんが、ほぼ1歳の差がある状態で一緒に学びます。大人になれば1歳違いなんて何も問題になりませんが、幼少期の1年は大きいですよね。
瀧 たしかに子どもの1年は大きいですが、早生まれの子どもたちにとって、遅生まれの子どもたちと一緒に学ぶことはメリットもあるのです。
脳には「可塑性」という性質があり、脳は経験や学習によって柔軟に変化する性質を持っています。早生まれの子どもたちは、遅生まれの子よりも脳が若いうちに集団生活に入り、勉強やスポーツなどに取り組むことになります。さまざまなことを早い段階で始めるので、より早い段階で脳に刺激を受けることができる。それこそが、早生まれのメリットです。「変化する力」をより早いタイミングで高められる機会が与えられるということなのです。
一般論としてよく言われるのは、きょうだいで勉強やスポーツなどに取り組むと、下の子の方がどんどん成績が伸びていくということがありますよね。上の子の姿を見て、興味がわいてやってみると、下の子は経験の機会を先取りできるわけです。早生まれもそれに近い感覚だと思います。
――早く経験できることがメリットになるんですね。
瀧 早生まれは遅生まれと1年ほどの差をもったまま成長しますから、常に遅生まれの子を追いかける形になるデメリットはある一方で、脳そのものの活動性や変化をする力を高めていく上では、非常に大きな力になると思います。
以前は、IQ(知能指数)は生まれてからほとんど変わらないと言われてきました。しかし、10〜20年くらい前からIQも努力によって変化すると言われるようになりました。私たちは何歳になっても、楽しく努力をすればさまざまな能力を伸ばすことができるのです。
――なるほど、脳は刺激を受けるとどんどん成長していくのですね。そのほかにも、今回の本を執筆して「早生まれだからこそ持っている武器」のようなものに気づかれたことはありますか?
瀧 私は今回の本を作るに当たって、2月生まれの作家・綿矢りささんにインタビューしたのですが、その打ち合わせをしているときに出てきた「早生まれは受援力(じゅえんりょく)が高まる」という言葉が、とても印象にのこっています。
受援力とは、困ったときに助けを求める力のことです。早生まれの人たちは、幼児期から自然に人のサポートを受け取ることに慣れており、大人になっても困ったときにSOSを出しやすいといえるかもしれません。
世の中の物事は、自分一人ではできないことばかりですよね。たとえば私の仕事は、研究だけをしていればいいわけではなく、組織のアレンジや予算集め、ドキュメント作成、被験者さんとの上手なかかわり方など様々な要素が求められますが、1人の人間がその全部を得意としてできるわけではありませんよね。それぞれを得意とするスタッフに仕事をお願いして、成り立っています。
社会で生きていく上で、自分で責任を持って仕事することはもちろん大事ですが、できないことまで自分で抱えずに、人を頼ることも大事ですよね。人の助けを受け入れられる力を自然と身に着けられることは、早生まれの人のメリットのひとつと言えると思います。
『本当はすごい早生まれ』(飛鳥新社)
(解説:瀧 靖之先生 取材・文:早川奈緒子)
※本記事は、『本当はすごい早生まれ』(著:瀧靖之/飛鳥新社)より抜粋・再編集して作成しました。
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