プロのドライバーは「眠気対策」どうしてるの? 十分な睡眠・適度な仮眠・もう一つの要素とは?
- 乗りものニュース |

プロのドライバーの「眠気対策」とは?
長距離運転中、突如やってくる生あくびと睡魔。大声を出したり、頬をつねったり、窓を全開にしてみたり……それでも睡魔を追い払うことはできず、すぐさま近くのSAなどに立ち寄る人は多いと思います。
長距離運転中に生あくびが出たら危険サイン(画像:写真AC)
この点、長距離運転のプロ・トラックドライバーたちは、どのようにして眠気飛ばし対策をとっているものでしょうか。専門家に聞きます。
元大型トラックドライバーの交通心理士で、近畿大学・生物理工学部の島崎 敢准教授によれば、「眠気(睡魔)は生理現象なので、プロのドライバーだろうと一般ドライバーでも、その仕組みに違いはない」と前置きしながら、こう解説します。
「プロのトラックドライバーだからと言って、何か魔法のような特別な眠気覚ましがあるわけではなく、皆さんが思いつくようなこと……『ガムを噛む』『コーヒーを飲む』『歌を歌う』『窓を開ける』といったことを、プロのドライバーも同じように実践しています。
しかし、結局のところ最も効果があるのは『寝ること』です。多くのドライバーはこれを意識していて、『仕事の前の日はしっかり寝る』という準備をしています。休日ですら、次の仕事のために睡眠を優先させているため、本当に大変な仕事ですし、ありがたいとも思います」(島崎准教授)
長距離などを走行している合間でも、時間が許せば仮眠を取るのが有効だと島崎准教授は話します。しかし、今の道路環境ではそれが難しくなっているとか。
「一つは、特に夜間は高速道路のSAやPAが慢性的に混雑していて、大型車が停まれる場所が物理的にないという問題です。
そして、もう一つが最新の排ガス規制への対応です。マフラーに非常に高価な触媒がついていて、アイドリングのまま長時間停めておくと、触媒の温度が下がりすぎて故障の原因になってしまいます。
20分程度なら大丈夫だそうですが、それ以上となると、暑さや寒さを凌ぎながら快適に眠るというのが難しい環境にあります」(島崎准教授)
刺激が少なくなると、脳が覚醒レベルを下げ睡魔を呼び起こす
プロならではの必殺技があるのかと思いきや、意外にも一般ドライバーと同じ悩みを抱えているようです。ここで、島崎准教授はそもそもの「睡魔の正体」についても解説してくれました。
睡魔は生理現象の一つ。「プロも一般ドライバーも変わりがない」と島崎准教授(画像:写真AC)
「『眠くなる』というのは、脳の働きに関係します。脳は重さこそ体重の3%ほどですが、全身の酸素の30%も消費してしまう非常に燃費の悪い臓器です。
そのため、隙あらば『省エネモード』に入ろうとします。情報処理すべき刺激がたくさんあれば脳は起きていられますが、例えば『単調な道』に入ってやることが少なくなると、脳が『今はがんばらなくていい』と判断して覚醒レベルを下げてしまいます。これが運転中の眠気の正体です」(島崎准教授)
その上で、重要なことは「脳への刺激を一定レベル以下にしないこと」だとも島崎准教授はいいます。
「世の中には『運転中に他のことをするのはけしからん』という風潮があります。しっかりした運送会社ほど、こうした行為を制限する傾向にありますが、実は非科学的です。
もちろん、運転への注意資源を奪うという意味では余計なことをしないほうが良いのは事実です。しかし、単調な道路で眠気を覚ますという観点に立てば、運転以外の刺激を取り入れる方がむしろ安全だということが複数の研究で明らかになっています。
そのため、ラジオを聴いたり、無線やLINE通話などで会話をしたりすることは、低刺激状態にある脳を覚醒させ、安全に寄与する有効な手段です」(島崎准教授)
島崎准教授によれば、「しっかり寝て運転に備えること」「仮眠をとること」「適度な刺激を得ること」は、プロ・アマ問わず多くのドライバーにとって、運転する上で不可欠だといいます
「体調の管理は、プロ・アマ問わずドライバーにとっては安全運転に直結する『要素の一部』といえます。ただし、誰でもそうですが、悩み事や嫌なことがありイライラしていると、なかなか寝付けないものです。
今の運送業界ではカスハラやパワハラといった問題がよく取り上げられますが、ドライバーがこういったストレスに晒されることは、彼らの良質な睡眠を妨げ、巡り巡って道路交通システムのリスクを高めることになります。
だから私たち一般人は、ドライバーに嫌な思いをさせるような接し方を厳に慎むべきだとも思います」(島崎准教授)
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