この冬いつものCMがない… 転換点を迎えた「ガーラ湯沢駅」の生い立ちと未来
- 乗りものニュース |

「ぜんぶ雪のせいだ。」など、印象に残るキャッチフレーズを繰り出してきた「JR SKISKI」のCMが今年はありません。しかしスキー場と最寄りのガーラ湯沢駅は営業中です。開業から30年、コロナ禍も相まってこの地は転換点を迎えています。
「JR SKISKI」キャンペーンの前 初代CMキャラクターは小泉今日子さん
1990(平成2)年12月20日。JR東日本は上越新幹線の越後湯沢駅(新潟県湯沢町)付近にあった保線基地に旅客駅を新設し、その周辺に大規模なスキー場を開業しました。ガーラ湯沢駅とガーラ湯沢スキー場です。開業にあたりCMが放送されました。メインキャラクターはアイドルの小泉今日子さんです。小泉さんは当時、JR東日本のシリーズCM「もっと^2」に出演しており、ガーラ湯沢の宣伝もそのひとつでした。
上越新幹線を走る、2階建て新幹線のE4系電車(画像:写真AC)。
さて、JR東日本のスキーのCMといえば「JR SKISKI」です。このキャンペーンは1991(平成3)年冬シーズンから始まりました。近年では2013(平成25)年の「ぜんぶ雪のせいだ。」が大ヒット。そのまま、あるいは「ぜんぶ○○のせいだ。」とネットスラングになるほどでした。事前告知キャンペーンのポスターに、音楽グループ「SEKAI NO OWARI」のピエロ姿で知られるDJ LOVEさんを起用し、キャンペーン開始で川口春奈さんに切り替わるという演出も話題になりました。
このあとも「JR SKISKI」は新進気鋭の俳優を登場させて話題を集め、CM好感度を高めていきます。しかし今季、2020年シーズンはテレビCMを実施していません。したがってキャンペーンソングもイメージキャラクターも設定されていません。ただし「JR SKISKI」キャンペーンは実施されています。特設サイトが設置されているほか、YouTubeではイメージビデオも公開されています。ガーラ湯沢スキー場もガーラ湯沢駅も営業中です。コロナ禍で影が薄くなっている感は否めませんが、そもそもJR東日本はなぜこの場所に、スキー場と駅を開業したのでしょうか。
駅チカに広大な土地 「新幹線で日帰りスキー」ができる
ガーラ湯沢スキー場が開業した1990年は、JR東日本の発足から4年目でした。国鉄時代に「民間企業の妨げになる」として抑制されていた副業が解禁されたため、新規事業としてスキー場の運営に取り組んだのです。事業は社内のアイデアとして募集されたものでした。
ガーラ湯沢駅(2012年4月、杉山淳一撮影)。
ガーラ湯沢スキー場の南隣、越後湯沢駅の近くには約70年の歴史を持つ湯沢高原スキー場があり、上越新幹線の開業で施設が充実しにぎわっていました。我々もスキー場をつくりたい。広大な土地を求め見渡せば、越後湯沢駅の近くに新幹線の保線基地がありました。「ここならば東京から新幹線を使って日帰りスキーができる」と考えついたわけです。
実はJR東日本グループは当時、別のスキー場を経営していました。岩手県の八幡平スキー場です。1979(昭和54)年に当時の国鉄が設立した東北リゾートシステムを引き継いでいました。スキー場がなぜ設立されたかは不明ですが、赤字だった国鉄の再建事業のひとつと思われます。しかし利用客が低迷し、事業を継承したJR東日本は2002(平成14)年に撤退します。
花輪線の大更駅(岩手県八幡平市)からバスで約30分という立地は、鉄道と関連しているといいがたい状況でした。一方ガーラ湯沢の開発は、八幡平の反省を踏まえ「駅から近い」を意識したといえます。「日帰り」にもこだわり、大規模なスキー場としては珍しくホテルがありません。これは越後湯沢駅付近の宿泊施設に配慮したとも考えられそうです。
越後湯沢駅から250円で新幹線車両に乗れる
ガーラ湯沢駅は鉄道ファンにも特徴が認知されています。まず「冬しか営業しない駅」です。スキー場の営業期間と連動しているためです。市販の時刻表にも夏の間は駅自体が掲載されません。巻頭の路線地図からも越後湯沢~ガーラ湯沢間の線路が消えます。そしてJR東日本から営業予定日が発表されると路線図に復活します。
次に「最も安く乗って来られる新幹線の駅」です。越後湯沢~ガーラ湯沢間の運賃は150円、特急料金は100円。合わせて250円で新幹線車両に乗れます。これはこの区間が在来線扱いで建設されたためです。新幹線車両しか走らないけれど在来線というわけです。同じ扱いの路線として、山陽新幹線につながっているJR西日本の「博多南線」があります。博多~博多南間の運賃は200円、特急料金は100円、計300円です。
ガーラ湯沢駅はスキー場と一体化しており、改札口を出るとそこは施設「スキーセンター カワバンガ」です。ゴンドラ乗り場、スキー用具レンタルショップ、ロッカールーム、売店、温泉施設、レストランがあります。
しかしスキー場と一体化していることが、ガーラ湯沢駅の強みであり、同時に弱点にもなります。少子化や趣味の多様化によるスキー客の減少、特に現在は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けています。そこで、JR東日本は新たな試みを始めました。観光地で余暇を楽しみながら働く「ワーケーション」です。
ワーケーションの定着で、ガーラ湯沢駅はオールシーズン営業になる?
2020年10月、JR東日本はガーラ湯沢スキー場で「ワーケーションモニターツアー」を実施しました。ゴンドラ山頂駅のレストハウス「チアーズ」を室内ワークスペースとして解放し、さらに個室も設置。レストハウス屋上やゲレンデも開放し、自然や豊かな仕事場を提供しました。仕事のリフレッシュのため、トレッキング、電動アシストマウンテンバイクの貸し出し、南魚沼産コシヒカリでのおにぎり作り体験、ドローン操縦体験などのメニューも用意されました。ちなみにモニターツアー実施時はガーラ湯沢駅を使わず、越後湯沢駅からスキー場までバスで移動しています。
ワーケーションの推進で、レストハウス「チアーズ」を開放(画像:JR東日本)。
ツアーの効果を受けて、この冬のスキーシーズンは、レストハウス「チアーズ」2階のレストラン「セランビ」内にワーケーションブースを3つ設置しています。これはJR東日本がエキナカで展開しているシェアオフィス「STATION WORK」と提携した施設です。
スキー場の夏場の利用法として、パラグライダー体験など高原スポーツを提供する施設はたくさんあります。しかし、ガーラ湯沢スキー場はサマーゲレンデなどがあるほかに、まだまだ開発の余地が大きいといえます。夏場のワーケーション利用が定着すれば、ガーラ湯沢駅への直通列車が設定され、ガーラ湯沢駅の通年営業も夢ではないかもしれません。
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