大雨でも水たまりが消える不思議な路面「なぜ水しぶきが上がらない?」実は“騒音”も激減
- 乗りものニュース |

まるでスポンジ? 水が吸い込まれる「排水性舗装」の正体
大雨の日に高速道路を運転していると、前を走る車の強烈な水しぶきで視界が遮られ、ヒヤリとした経験を持つ人は多いでしょう。しかし走行中、ある区間に差し掛かると、突然水しぶきが消え、大雨にもかかわらず路面に水たまりが全くない「魔法のような道路」に出会うことがあります。
水を吸い込む「高機能舗装」とは?(画像:写真AC)
この水が吸い込まれていく道路の正体は、「高機能舗装(排水性舗装)」と呼ばれる特殊な路面です。
一般的なアスファルト舗装は、砂や石を隙間なく詰め込んで水を通さない構造をしています。一方で、高速道路や主要幹線道路で近年採用が進んでいる高機能舗装は、あえて石と石の間に多くの隙間を残した構造になっています。
この舗装は「空隙率(くうげきりつ)」が15〜20%程度あり、まるでスポンジのように、路面に降った雨水を瞬時に内部へと吸い込みます。吸い込まれた水は、舗装の下にある水を通さない層(不浸透層)を伝って、路肩の排水溝へと流れる仕組みです。
これにより、タイヤと路面の間に水膜ができる「ハイドロプレーニング現象」を防ぎ、雨の日でも高いグリップ力と良好な視界を維持できるのです。
さらに、この「隙間」がもたらす恩恵は安全性だけではありません。実は、私たちが車内で感じる「あの不快なロードノイズ」を劇的に減らす効果も秘めています。
なぜ、スカスカな構造の道路を走ると、耳に届く音が変わるのでしょうか。
騒音も「吸い込む」道路? 静かな走りを支える物理の力
自動車が走行する際、タイヤと路面の間の空気が圧縮・開放されることで「シュイーン」「シャー」というエアポンピング音(ノイズ)が発生します。高機能舗装の場合、この圧縮された空気が舗装内の隙間へ逃げるため、音の発生そのものが抑制されます。
アスファルトが音も吸い込む?(画像:写真AC)
さらに、舗装内の無数の隙間は「多孔質吸音材」のような役割も果たします。発生した騒音を内部で吸収・拡散させるため、一般的に約3〜5デシベル低減するとされており、これは体感的に「交通量が半分になった」のと同程度の静けさに相当します。
安全のために水を逃がす道筋が、結果として「音」まで飲み込む理想的な路面を作り上げているのです。ハイテクな進化を遂げているのは車両だけではありません。私たちが普段何気なく走っている「路面」そのものが、日本の移動を支える精密なインフラなのです。
次に雨の高速道路を走る際は、水しぶきが上がらない路面の不思議と、晴天時に際立つその「静けさ」を、ぜひ肌で感じてみてください。
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