名古屋駅のホーム階段にある「謎のガラス板」正体は? 戦争中の暗闇を照らした“歴史の語り部”の秘密
- 乗りものニュース |

名古屋駅にある「蛍光タイル」とは?
全国屈指の利用者数を誇る名古屋駅。東海道新幹線の主要な停車駅のひとつであるとともに、中部・東海地方における最大級のターミナル駅でもあります。
国鉄時代の381系特急型電車。特急「しなの」として名古屋駅と長野駅のあいだを中央本線を使って結んでいた(画像:PIXTA)
長きにわたって愛知県内の交通結節点として活躍してきた名古屋駅ですが、その歴史の深さを物語る遺産が、駅構内の階段部分に残っています。蛍光タイルを埋め込んだ、いわゆる「光る階段」です。
そもそも、名古屋駅の原型ができたのは1886年です。当時は「名護屋停車場」と呼ばれる官設鉄道の駅で、現在の駅より200 mほど南方に設けられていました。翌1887年になると、今の名古屋駅に改称します。
当初、駅付近は名古屋市の中心から外れた郊外に位置していましたが、駅が開設されると人々が集うようになったことで、市の中心街になっていき、おのずと賑わうようになりました。そして1937年に名古屋駅は現在の場所へと移転。この駅舎は地上6階、地下1階という大きなサイズであり、東洋一の規模とも言われたそうです。
しかし、その4年後には太平洋戦争が勃発。戦争後半になると名古屋市でも空襲の被害が増加します。
特に1945年3月19日の名古屋大空襲では市全域が被災。完成してまだ数年の名古屋駅にも攻撃があり、鉄筋コンクリート製だった駅が焼け落ちるほどの被害を受けました。駅舎が炎に包まれる様子は遠方からでも確認できたそうです。
名古屋駅にある「蛍光タイル」とは?
大戦の物々しさを感じさせるものが、現在JR中央本線が停車する7~8番線ホームの階段にあります。この階段は駅構内の中でも特に年季が入っている場所であり、タイルは古びて、ところどころ色が剥げています。
1960年代の名古屋駅(画像:PIXTA)
この階段の両隅に正方形のガラス板が埋め込まれているのですが、これが「蛍光タイル」と呼ばれるものです。人の目に見えない紫外線などを吸収し、そのエネルギーを使って発光します。
戦時中は灯火管制によって、照明が自由に使えませんでした。その際に駅利用者の足元を照らし、移動を助けるために設けられたそうです。
空襲の被害を受けた名古屋駅ですが、それでも全焼は避けられました。戦後、復興するようになると駅も再建され、東海地区の玄関として再び活躍し始めました。今回の蛍光タイルはその再建前の姿を伝える貴重なものだと言えるでしょう。
平和な今となっては、この蛍光タイルが意識されることはありません。実際、愛知県が地元である筆者(鈴木伊玖馬:乗りもの好きライター)は、この蛍光タイルの存在こそ知っていたものの、意識していませんでした。
しかし、その機能はまだ残っているようで、紫外線を出すUVライトで照らすと淡い光を返すそうです。
最近では静岡県の鈴木康友知事が県内におけるリニア中央新幹線の工事着工を許可しました。リニア中央新幹線が開業すれば、その停車駅である名古屋駅の役割も一層高まると思われます。もしかしたら、駅周辺の再開発がスタートするかもしれないので、興味のある人は今のうちに見ておく方が良いでしょう。
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