「日本の戦闘機が初めて欧州に来ます!」イギリスが前のめりになる、もっともな理由とは? 白羽の矢が立ったF-15J
- 乗りものニュース |

航空自衛隊のF-15戦闘機が初めてヨーロッパに展開する見込みだと、イギリスの国防相が発言。日英は安全保障面での協力を強化しており、今回の派遣は両国関係の新たな段階を示すものとなるかもしれません。
イギリス側から発表された「日本のF-15が来るよ!」
2025年8月28日、イギリスのジョン・ヒーリー国防大臣と中谷 元防衛大臣が防衛省で会談、共同記者会見でヒーリー国防大臣が、「近く、日本(航空自衛隊)のF-15戦闘機が、初めてヨーロッパに展開します」と述べました。
航空自衛隊のF-15J戦闘機(画像:航空自衛隊)
森田博安航空幕僚長は現時点で確定したものではないと述べていますが、中谷防衛相は29日に行われた記者会見で、将来的に航空自衛隊の戦闘機をイギリス含むヨーロッパへ派遣することを検討しているとヒーリー国防相に伝達し、同国防相は歓迎する意向を示したことを明らかにしています。
派遣の詳細については検討中とのことで明らかにされていませんが、中谷防衛相は「これが整い次第公表させていただく」と説明しました。
航空自衛隊はF-15J/DJ、F-2A/B、F-35A/Bを保有していますが、F-15の派遣が検討されている理由について中谷防衛相は、F-15J/DJが航空自衛隊保有の戦闘機で最も海外への展開経験が豊富であることを挙げています。
ここで中谷防衛相から紹介はなかったものの、航空自衛隊でF-15J戦闘機を運用する第201飛行隊と、イギリス空軍でユーロファイター・タイフーン戦闘機を運用する第3飛行隊は、2015年に姉妹飛行隊(シスタースコードロン)提携を行っています。
姉妹部隊とは言わば「姉妹都市」の軍事組織版で、姉妹部隊協定を締結した部隊は、情報や意見の交換、勉強会や交流会などを開催し、お互いの組織や国に対する理解を深めるものです。
第201飛行隊と第3飛行隊は姉妹飛行隊提携を行って以来、数次に渡って隊員の相互訪問などを行っており、この縁もF-15に白羽の矢が立った理由なのかもしれません。
念頭にあるのはもちろん…
第二次世界大戦の終結後、世界各地に保有していた広大な植民地を失ったイギリスは、その後もアジア各地に軍隊を展開していました。しかし軍隊の展開がイギリス経済にとって重荷となっていたことから、1968年、イギリス軍が駐屯していたアラビア半島のアデンからの即時撤退と、1971年までにマレーシアとシンガポールから撤退することを決定。この決定は俗に「スエズ(運河地帯)以東からの撤兵」と呼ばれています。
イギリスのジョン・ヒーリー国防大臣と中谷防衛大臣の会談(画像:防衛省)
これ以降、イギリスは安全保障の軸足を大西洋地域に置くことになったわけですが、21世紀に入ってこの姿勢に変化が生じます。その主軸にあるのは中国(中華人民共和国)との関係の変化です。
もともとイギリスは、1950年に他の自由主義陣営諸国に先駆けて中国を国家として承認し、1997年にはスエズ以東に唯一残っていた植民地の香港を円満に返還するなど、中国と良好な関係を築いていました。しかし、21世紀に入ってからの中国は、経済成長に伴って急速に質量ともに充実した軍事力を背景として「力による現状の変更」を試みる国へと変貌しています。
イギリスは伝統的に「法による支配」を重んじており、海洋の自由な利用によって最も恩恵を受けてきた国の一つです。このため中国の法に依らない現状の変更、とりわけ海洋の支配を試みる姿勢は、看過できるものではありませんでした。
ただ、現在のイギリスはスエズ以東に常時軍隊を展開しておらず、軍事力でプレッシャーをかけて中国をいさめることはできません。このためイギリスは密接な関係にあるアメリカ、オーストラリアなどとの連携を強化するとともに、法による支配や自由経済など、共通の価値観を持つ日本との安全保障面での協力強化を働きかけるようになりました。
空自F-15派遣はインド太平洋の「変化の象徴」に?
イギリスと日本は2004年に防衛協力の枠組みを導入。その後イギリス軍と自衛隊が相互に防衛装備品の技術移転や物品・役務を提供しあう協定を締結し、2017年には日英安全保障宣言を発出するに至っています。
東京港にやってきたイギリス空母「プリンス・オブ・ウェールズ」(画像:防衛省)
2022年にはイタリアを交えた日英伊3か国で新戦闘機の開発計画「GCAP」をスタートさせており、またイギリス海軍の空母打撃群やイギリス空軍のユーロファイター・タイフーンも来日して自衛隊と共同訓練を行うなど、単なる同志国以上の存在、言わば「準同盟国」とでも言うべき存在になりつつあります。
ヒーリー国防相は「インド太平洋とヨーロッパ大西洋の安全保障は不可分」と述べています。
第二次世界大戦以降の日本は、アメリカを唯一の同盟国と位置付けた安全保障体制を構築してきました。一方のイギリスも、NATO(北大西洋条約機構)の枠組みでの同盟に加えて、オーストラリアを交えた新たな安全保障体制の枠組み「AUKUS」を構築するなど、アメリカとの同盟関係を重要視しています。
アメリカとの同盟関係は依然として日英両国の安全保障の根幹をなすものですが、アメリカが国際社会に対する関与の方向性を変えつつある一方で、中国やロシアなど、力による現状の変更を試みる国家が共通の脅威として存在する以上、日英両国の安全保障面での協力関係はこれまで以上に強化・深化させていくべきだと筆者は思います。
航空自衛隊のF-15Jのヨーロッパへの派遣は、そのための絶好の機会なのではないでしょうか。
【戦闘機めちゃ載せ!?】東京に来た「英の巨大空母」の内部ぜんぶ見てきた!(動画で)
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