泣かずに読めない「最後の一葉」、ラスト1行でわかる感動の理由【知ってるようで知らない名作のあらすじ】
- マイナビウーマン |

親子で楽しみたい物語をご紹介している本連載「親子のためのものがたり」。今回はアメリカの有名な小説家、オー・ヘンリーの代表作「最後の一葉」をご紹介します。教科書に載っていたりもするので、ご存じの方も多いでしょう。感動的な結末をぜひ親子で一緒に味わってください。
「最後の一葉」を子どもに聞かせよう!
「最後の一葉」を書いたオー・ヘンリーは19世紀後半から20世紀初頭に活躍したアメリカの小説家です。約280の短編作品を残し、短編の名手と呼ばれています。「最後の一葉」は代表作の一つなので、知っている方は多いでしょう。思わず情景が浮かんでくるような一編となっているので、語り聞かせにもぴったりですよ。
「最後の一葉」のあらすじ
「最後の一葉」の舞台はニューヨーク。芸術家たちが集まる古いアパートで起こる、ある「奇跡」を描いています。最後に明かされる真実に感動せずにはいられない物語です。登場人物たちが画家であるという点が肝になっています。
若い女性画家ジョンジーが肺炎に
グリニッチ・ヴィレッジに芸術家たちが住む古びた安いアパートがありました。その三階建てのレンガ造りの最上階に、若い画家スーとジョンジーが暮らしていました。二人は定食屋で出会って意気投合し、共同のアトリエを持つことなったのです。それは数ヶ月前の5月のことでした。
しかし、11月になって肺炎が流行しはじめ、何十人もの犠牲者が出るようになります。そして、ある日ついにジョンジーも肺炎にかかってしまいました。ジョンジーはベッドに横になったまま動けなくなりました。その結果、窓ガラス越しに、レンガ造りの壁を見続けることになったのです。
ある朝、医者がスーに言いました。
「このままでは助かる見込みは十に一つだ。この先はあの子が生きたいと思う心にかかっているのだが、なぜか自分は良くならないと決めつけている」
スーが、ジョンジーはいつかナポリ湾を描きたがっていることを伝えると、医者は「絵だって? ばかな。ほかにはないのかね。私は医者として力の及ぶ限りのことは全てやったが、患者が生きるのを諦めてしまっては、どんな治療や薬も効果が薄い」と言うのでした。
その後スーがジョンジーの様子を見に行くと、ジョンジーは窓の外を見て何かを数えていました。「12……、11……、10……」と逆に数えています。
スーが窓の外に目をやると、庭の向こうにあるレンガの家の壁に、古いつたが這っているのが見えました。「どうしたの?」とスーが尋ねると、ジョンジーはささやくような声で言います。
「葉っぱよ、つたの葉っぱ。たくさんあったのにもう5枚しか残っていないの。最後の1枚が散るとき、私も死ぬのよ。 お医者さんは教えてくれなかったの?」
スーはこう答えました。
「まあ、つたの葉っぱとあなたが元気になることに、何の関係があるっていうの? そんなこと言わないで。お医者さんはすぐに良くなるって言ったのよ。その見込みは、ええっと、そう、「一に十」だってね。さあ、スープを少し飲んで」
窓の外を見たまま、ジョンジーは言いました。
「スープは結構よ。また1枚散ったわ。残りはたった4枚。暗くなる前に最後の1枚が散るのを見たいの」
スーはジョンジーにもう目を閉じてつたの葉を見ないように頼みますが、ジョンジーの気持ちは変わりません。「もう待つのは疲れたし、考えるのも疲れたわ。葉っぱと一緒に逝きたいのよ」
そこでスーは「もうおやすみなさい、私は明日までに絵を仕上げなくちゃいけないから、ベーアマンさんのところまで行ってモデルをお願いしなくちゃ。ちゃんと眠るのよ」と言ってジョンジーの部屋を出るのでした。
\ココがポイント/
✅肺炎が流行しジョンジーが発症してしまう
✅医者はジョンジーが助かるかどうかは生きたいと思う心にかかっていると言う
✅ジョンジーは窓の外に見えるつたの葉の最後の1枚が散るときに自分も死ぬと思っている
芸術家として成功しなかったベーアマン
ベーアマンというのは1階に住んでいる気むずかしい老画家です。長く絵筆を振るってきましたが、いつか傑作を描くんだと言うばかりで、芸術家として成功しているとは言えませんでした。広告に使う下手な絵を描いたり、時々、貧しい画家のためにモデルになり僅かな稼ぎを得ていたのです。今でもお酒を飲んではこれから描く傑作について語っていました。
スーがジョンジーの様子をベーアマンに話すと、彼はお酒で赤くなった目を潤ませて声を上げます。「葉っぱが散ったら死ぬなんて考えているのか。ばかばかしい。そんな話はきいたことがない」
「高熱で気持ちが落ち込んでいて、悲観的になってしまっているのよ」とスーは言います。
するとベーアマンは酔ってろれつの回らない舌で「ここは、 ジョンジーのようなお嬢さんが病気で寝込むところじゃあない。 いつかわしが傑作を描いたら、わしらは皆でここを出ていくんじゃあ」と叫ぶのでした。
それから二人は上の階に上がり、ジョンジーのいない部屋で一緒に窓の外のつたを見つめ、しばし顔を見合わせました。外は冷たい雨が降り続いていたのです。
次の日の朝、ジョンジーは降ろされた日除けを見つめていました。「日除けを上げて」とジョンジーがささやくように言うので、スーはしぶしぶ従いました。すると、昨夜の激しい雨と風にもかかわらず、つたの葉が1枚、レンガの壁に残っています。「これが最後の1枚ね。昨日のうちに散ると思っていたけれど。でも今日あの葉は散り私も死ぬ」とジョンジーは言うのでした。
しかし、昼が過ぎ、黄昏どきになっても、残った1枚の葉は枝にしがみついていました。やがて夜が来ると北風と雨が窓を打ち、ひさしからは雨粒がぼたぼたと落ちていきました。
\ココがポイント/
✅1階に住む老画家のベーアマンは芸術家として失敗し、酒ばかり飲んでいたが、今でも「傑作を描く」と言っていた
✅その日は一晩中冷たい雨が降り続いた
✅前の晩の雨風を耐えて、つたの葉が1枚残っていた
ジョンジーを勇気づけた最後の1枚の真実
朝が来て明るくなると、ジョンジーはまた日除けを上げるようにスーに頼みました。つたの葉は、まだそこにありました。ジョンジーは長いことその葉を見つめ、やがてスーを呼んでこう言いました。
「私はとても愚かだったわ。何かがあの最後の葉を守り、 私がどれだけ間違っていたか教えてくれたのね。ねえ、鏡を持ってきて。それから私の体を起こして」
それから1時間してジョンジーはこう言いました。「私いつかナポリ湾を描きたいのよ」
午後にはあの医者がやって来てジョンジーを診察したところ、しっかり看病すれば助かると請け負いました。そしてこうも言いました。「これから私は下の階にいるベーアマンという肺炎の画家を診なければならん。 高齢な上体も弱っているし、急性だ。 彼の方は助からんだろう」
次の日になるとジョンジーはもう危機を脱していました。スーはその午後、ベッドで横になったジョンジーの元を訪れてこう言います。
「今日、ベーアマンさんが肺炎で亡くなったの。昨日の朝に自分の部屋で倒れているのを管理人さんが見つけたんですって。靴も服もぐっしょり濡れていて、氷みたいに冷たくなっていたそうよ。あんな酷い夜に一体どこに行っていたのか、初めは想像もできなかったけど、 まだ明かりのついたランタンが見つかったの。それに梯子と、散らばった筆やパレットも。ねえ窓の外を、最後のつたの葉を見て。 風が吹いてもあの葉が動かないことを不思議に思わない? ああ、ジョンジー、あれがベーアマンさんの傑作なのよ。あの葉はベーアマンさんが描いたものなのよ、最後の1枚の葉が散った夜に」
(おわり)
\ココがポイント/
✅ジョンジーはつたの葉が散らないのを見て、生きる気力を取り戻した
✅ベーアマンが急な肺炎で亡くなった
✅ベーアマンが肺炎になったのは「最後の一葉」を嵐の中で描いていたからだった
子どもと「最後の一葉」を楽しむには?
ラストに思いもよらぬ真相が明かされる感動の物語ですね。つたの葉がどうなってしまうのかという点でハラハラ感もあるので、子どもも好奇心を持って聞けるのではないでしょうか。葉っぱの枚数を窓から見る場面は、子どもの様子を見ながらタイミングをはかって話したりしてもいいですね。
子どもに次のような問いかけをするのも一つでしょう。
・この物語を聞いてどんな気持ちになった?
・病気になって生きる気力を失うジョンジーに、自分だったらどんな言葉をかける?
・どうしてベーアマンさんは葉っぱの絵を描いたんだと思う?
また、ジョンジーのセリフなどはどうしても雰囲気が暗くなりがちなので、スーのセリフはなるべく明るいトーンを意識するとバランスがとれますよ。
まとめ
肺炎になり生きる希望を失った若い女性画家に希望を与えたのは、それまでうだつの上がらない人物として見られていた老齢の画家でした。老画家への見方が結末で見事に逆転します。スーの言うようにベーアマンは最後に最高傑作を描いたといえるでしょう。感動的なお話をぜひ親子で味わってくださいね。
(文:千羽智美)
※画像はイメージです
参考文献
「最後の一枚の葉」原作:オー・ヘンリー、翻訳:結城浩
Copyright (C) 1999 Hiroshi Yuki (結城 浩)
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