神戸空港を造った巨大トンネルが「AI施設」に大変身!! 実は色々ある役目を終えた地下空間の意外すぎる再利用法
- 乗りものニュース |

神戸空港の建設を支えた巨大トンネルが「AI基地」に!?
神戸空港の建設には、山から海へ大量の土砂を運ぶため、巨大な地下トンネルが使われていました。空港が開港20周年を迎えた2026年、このトンネルに新たな役割が与えられようとしています。
山梨県甲州市にある「勝沼トンネルワインカーヴ」(志田 裕撮影)
2026年10月6日、三井不動産は熊谷組、ゲットワークスと共同で、兵庫県神戸市にある既存のトンネルを利用した「地中型データセンター」の開発に着手すると発表しました。
データセンターとは、大量のコンピューターや通信機器を設置し、さまざまな情報処理を行う施設のことです。今回の計画では、生成AIなどにも利用される高性能なサーバーを収容し、2027年末からのサービス提供を目指しています。
今回の計画に活用されるのは、神戸市が2005年9月まで土砂の運搬に利用していたトンネルです。神戸の山側と海側を結ぶその総延長は、約14.5kmにも及びます。
神戸市では、住宅団地や産業団地の造成によって発生した大量の土砂を海側へ運び、埋め立てに利用してきました。このトンネルは、山側から海側へ土砂を送り出す長大なベルトコンベヤーの通り道として整備され、神戸空港の建設にも使われました。つまり、かつて神戸の街づくりを支えた地下の輸送ルートが、約20年の時を経て、今度はデジタル社会を支える施設に生まれ変わろうとしているのです。
今回の計画では、全長約14.5kmのうち約3km、面積にして約1万7000平方メートルを利用します。トンネルの大部分は地下約40m以深にあり、その内部にコンテナ型のデータセンター設備を設置する予定です。
こうした地下施設を利用する大きな理由の一つは、地中ならではの安定した環境にあります。データセンターでは、大量のサーバーが稼働することで熱が発生するため、機器を冷却する設備が欠かせません。今回利用するトンネル内の温度は年間を通して15~20℃程度に保たれており、外気温の影響を受けにくいという特徴があります。
さらに、地下水を循環利用する水冷方式を導入することで、サーバーを効率的に冷却できるとしています。水冷方式は、冷却水を循環させて機器から熱を取り除く仕組みです。
また、事業者は、地下空間の高い耐震性や、外部から容易に接近できないことによる安全性も利点に挙げています。既存のトンネルを利用するため、新たな大規模掘削を減らせることもメリットです。三井不動産によると、既存のトンネルを利用して外部顧客向けの商用データセンターを開発する事業は、日本初とのことです。
実は、こうした役目を終えたトンネルを別の用途に再利用すること自体は、決して珍しいことではありません。
列車が走ったトンネルが、ワインの貯蔵庫に!
例えば、山梨県甲州市には、かつて列車が走っていたトンネルをワインの貯蔵庫として利用する「勝沼トンネルワインカーヴ」があります。
既存トンネルを活用した地中型データセンターイメージ(画像:三井不動産)
この施設は、1903年に開通した旧中央本線の「深沢トンネル」を再利用したものです。約1.1kmにわたって続くレンガ造りのトンネルは、1997年に鉄道としての役目を終えましたが、2005年にワインの貯蔵施設として生まれ変わりました。
トンネル内に並んでいるのは、列車ではなく大量のワインです。明治時代に造られたレンガの壁が続く空間にはワインの保管棚が設置され、地元のワイナリーや飲食店だけでなく、個人でもワインを預けられるようになっています。
かつて列車が行き交った場所が、現在ではワインをじっくりと寝かせる場所になっているのです。
ワインを長期間保存するには、温度が低く、急激な温度変化や直射日光の影響を受けにくい環境が適しています。地下に造られたトンネルは、こうした条件を自然に満たしやすいという特徴があります。
甲州市によると、勝沼トンネルワインカーヴの内部は、年間を通して温度が6~14℃、湿度が45~65%程度に保たれているそうです。外気温の影響を受けにくい地下トンネルは、いわば巨大な天然のワインセラーとも呼べる存在なのです。
同じような利用方法は、ほかの地域にもあります。
宮崎県高千穂町にある「トンネルの駅」は、鉄道用に建設されながら、一度も列車が走ることのなかったトンネルを再利用した施設です。全長1115mのトンネルは現在、焼酎の貯蔵庫として利用されており、内部には約1300本もの樽が並んでいます。さらに、観光施設として無料で見学できるようになっており、列車が走ることのなかったトンネルが、新たな形で人々を集めています。
大阪府東大阪市にある旧生駒トンネルも、1914年に開通した鉄道トンネルです。1964年に新しいトンネルが開通したことで、近鉄奈良線のトンネルとしての役割を終えましたが、現在は使われなくなった部分を利用して、ワインや日本酒などの熟成や商品開発が行われています。
こうして見ると、最新のAIを支えるデータセンターと、昔ながらのお酒を熟成させる貯蔵庫には、意外な共通点があります。どちらも、地下にあることで温度が安定しやすいというトンネルの特徴を利用しているのです。
かつて列車や土砂を運んでいたトンネルが、今度はワインや焼酎を熟成させ、さらにはAIを動かすサーバーを収容する場所になる。役目を終えたトンネルも、使い方を変えれば、新たな価値を生み出せるのです。
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