歯石除去に全身麻酔が必要…犬の「歯磨き」をサボるとデメリットだらけ うまく磨くコツを動物看護師に聞く
- オトナンサー |
犬を飼っていると、愛犬の健康が気になります。特に犬が食べ物をおいしく食べるために、歯のお手入れは必須と言えるでしょう。犬の歯の手入れを怠ってしまうと、人間と同様、歯周病や歯肉炎になる可能性があるといわれていますが、犬が歯磨きを嫌がることがあります。そこで、犬の歯をうまく磨くコツについて、動物看護師のfujimaruさんに教えていただきました。
週に2~3回磨くと歯石予防につながる
Q.犬の歯磨きは、1日に何回行うのが望ましいのでしょうか。歯磨きの際の注意点も含めて教えてください。
fujimaruさん「歯科医は一日一回、毎日行うことを推奨していますが、飼い主さんが仕事や家事などで忙しいと、毎日行うのはなかなか難しいと思います。犬の場合、歯垢(しこう)から歯石に変化するのに2~3日かかるといわれているので、週2~3回の頻度で磨いてあげることで予防につながるでしょう。
また、歯ブラシは犬のサイズに合ったものを選ぶのが良いと思います。チワワやポメラニアンのような小型犬は、人間の幼児用のヘッドが小さい歯ブラシがお勧めです。
一方、ダックスフントのようにマズルが長い犬種の場合は、犬用の歯ブラシを選んであげるのがよいかもしれません。動物病院やペットショップでは、犬の歯や口に合わせた歯ブラシも売っているのでそちらもお勧めです」
Q.犬の歯磨きが不十分な場合、どのようなリスクが生じる可能性がありますか。
fujimaruさん「歯がもろくなったり口の中が痛くなったりして、食欲の低下から体力の低下へとつながってしまいます。あとは、歯肉炎がきっかけで歯周病になって、口臭の原因にもなるんですよ。
また、歯周病が進行すると、顎の骨や歯茎に穴が開いてそこから菌が入り込み、頬の方まで浸食される『歯ろう』という病気につながることがあります。他にも末期の症状になると、口の中の細菌が歯茎の血管から全身に回って、各臓器が弱ってしまう可能性もあります。
基本的に、犬の歯石の除去は、病院で全身麻酔をかけてからでないと行えません。その過程で犬に痛みが伴う上に全身麻酔は犬の負担になり、飼い主にとっては時間もお金もかかるので、きちんと予防をして避けた方が賢明ですね」
Q.歯磨きの際に犬が嫌がる場合、飼い主はどのように対処したらよいのでしょうか。やるべき行為について、教えてください。
fujimaruさん「まずは社会化期という生後1~3カ月の間に、歯磨きトレーニングをするのがお勧めです。まだ歯が生えたてなので優しく行います。生後5~6カ月で乳歯から永久歯に生え変わるので、その頃の歯磨きも優しく行いましょう。
トレーニングの際はいきなり歯ブラシを口の中に入れるのではなく、口の中を触る練習からスタートしてくださいね。その後、歯ブラシに犬用のおやつなどを付けて、歯ブラシを口の中に入れてみる、歯磨き粉に変えて徐々に慣れさせていくという工夫がお勧めです。歯磨き粉も犬の好みに合ったものを選んであげると『歯磨き=おいしいもの』というイメージがつくので、ストレスにならずに行うことができますよ。
その他には、歯ブラシをかませたり、歯磨きガムに歯磨き粉を付けてかませたり、歯磨きシートを指に付けて拭いてあげたりするのもお勧めです」
* * *
犬の歯磨きは一日一回、人間と同様に毎日行うのが理想ですが、現実的には週に2~3回行うのを目指しましょう。口のケアを怠ると歯周病にとどまらず、全身に悪影響が広がる可能性があります。犬用のお菓子や歯磨きガム、歯磨きシートなども上手に使い、犬の歯磨き習慣を身に付けるようにしましょう。
オトナンサー編集部
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